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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

まちづくりノウハウの蓄積を図る(北海道稚内市)

キタカラにみる稚内市の中心市街地活性化事業の構築

以上のような取り組みは官民複合施設である「キタカラ」ビルの整備に表れています。吉川氏は、キタカラの事業構築・展開にあたり、「市民が欲しいと思っていたものを整備することはもちろん、採算性も考慮しながら使い勝手の良い仕組みを構築することを意識した」と語ります。

キタカラの外観(キタカラのホームページより)
キタカラの外観(キタカラのホームページより)

キタカラは、商業床、交通拠点、公共床、住居スペースで構成されています。商業床は、お土産品販売や飲食店、コンビニエンスストア、シネマコンプレックスなどで構成され、交通拠点として、JR稚内駅、バスターミナルが整備されています。また、道の駅の指定を受け、無料駐車場が整備されています。公共床は、まちなかの情報提供や多世代交流を促進する地域交流センターが整備されており、3階から5階の高層部は36戸の高齢者住宅となっています。

 

キタカラのフロアガイド 別ウィンドウで開きます

 

さらに、港と街を結ぶ駅前広場の整備によりフェリーターミナルなどの港湾関連施設と商店街が連携しやすいようにしました。市民の利便性を図りながら、市街地側と港側との連携を図り市街地の再集約の拠点となったキタカラは、市民の支持を受け、平成24年の年間入込客数目標値である427,000人に対し、実績値は645,197人と好調なスタートを切り、直近の年間入込客数は、平成28年は約118万人、平成29年は約123万人と順調に推移しており、まちづくり稚内も黒字経営を続けています。

これらの多機能を有する複合施設を一体的・効果的に運用する上で、商業店舗等の保留床を、特定目的会社(SPC)を活用して取得したこと、公共公益スペースを含めまちづくり会社であるまちづくり稚内が運営管理を行うこと、官民双方が使用できる共用スペースを設けたことがポイントとなりました。また、キタカラ整備の上で活用した支援策は次の通りです。

参考:稚内市中心市街地活性化基本計画で活用された支援策

■稚内駅前地区第1種市街地再開発事業
事業主体:稚内駅前地区市街地再開発組合
支援策:社会資本整備総合交付金(市街地再開発事業等)(平成20~23年)

■賑わい再生拠点施設整備事業
事業主体:株式会社稚内駅ビル開発(特定目的会社)
支援策:戦略的中心市街地商業等活性化事業補助金(平成21年及び23年)

■地域交流センター
事業主体:稚内市
支援策:社会資本整備総合交付金(都市再生整備計画)(平成23年)

■中小企業基盤整備機構:「中心市街地商業活性化診断・サポート事業」
事業主体:株式会社まちづくり稚内
支援テーマ
1稚内駅前地区集客交流施設の1階商業床部分の店舗配置等について
2商業核施設整備の事業手法について
3株式会社まちづくり稚内の役割の明確化と体制強化について

まとめ

吉川氏は、「まちづくりに関わるノウハウは、様々な関係者との調整や協議を通じて得たもので、まちづくりのための経験値の蓄積を財産として継承することが大切」と語ります。人任せにするのではなく、まちに必要されることをとことん学ぶ。その学びを地域特性に落とし込み、課題解決のために関係者と調整を図る。課題が残れば、原因を究明し対策を講じ続ける。そんな吉川氏の姿からは学ぶべき点が多いと感じます。中心市街地の商業活性や、最近増えつつある交流人口の取り込みなど課題はありますが、課題解決に動き続ける稚内のまちづくりに今後も注目です。

 

稚内市の概況

人口 34,423人(2018年6月末現在)
協議会 有り

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