本文へ

中心市街地活性化協議会支援センター

文字サイズ
まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

まちづくりノウハウの蓄積を図る(北海道稚内市)

市の総合計画からみた中心市街地活性化

全体最適化を図るため、稚内市の中心市街地活性化基本計画は市の総合計画のもと策定されました。市の基本となる総合計画は、稚内市の自然環境や産業などの地域資源を活かしながら、機能的な都市構築を推進するものです。総合計画には、「人が行き交う環境都市わっかない」を将来都市像とし、その具体化として、「人と環境にやさしいまち」「安全な食料供給基地・新たな産業の姿を目指すまち」「人と物が行き交うにぎわいのあるまち」「宗谷地域をけん引する中心都市」「市民が主役の地域自治を進めるまち」の5つのまちの姿を示されています。

この将来像の具現化の為、中心市街地活性化の果たす役割を明示するものが稚内市中心市街地活性化基本計画です。

まちの造りを理解し、調整協議を図る

このような市の総合政策や中心市街地活性化施策は、環境面から産業面に至るまで事業が多岐に渡ります。計画立案や事業実施にあたり、それらの基礎となる「まちの造り」がどのように成り立っているのかを理解する必要があります。具体的には、稚内市の港側の土地の多くは、産業活動の拡大に合わせ埋め立てにより造成されており、港側の活動と市街地(まち)の活動には、地図上に現れない暮らしの境界線があります。その境界線をもとに、市街地に合わせた開発、港に合わせた開発がそれぞれ分断的に行われてきたため、一体性に欠ける開発になっていました。

稚内市中心市街地活性化基本計画は、その問題を解消し、市街地と港が一体となり稚内ならではの魅力を発揮し「人が集まるマチ」として機能させようとするものです。

事業構想をまとめる際、大切にしたことは、まちの現状からどの程度の事業投資規模が適正なのか、市長をはじめとする議員や事業関係者に理解を求めるため、再開発事業の仕組みや財源確保のためのノンリコースローンの詳細など、専門性の高いものについては、勉強会から着手し理解を求めることです。勉強会では、まちの現状を正しく捉え、事業メリットだけではなくリスクについても理解することを意識しました。

こうしたまちづくり関係者が、事業に関連するメリットやリスクを正しく理解し、事業を推進したことが高い計画目標達成率や継続的なまちづくりにつながっているといえます。

また、計画・実施にあたり、まちづくり関係者が意識したことは、市街地側、港側のお互いのメリットとなる事業調整を図り、一体感を持ったまちづくりを推進することです。これは後述するキタカラの整備に表れています。このような調整協議は、道路交通整備について、国道・県道・市道の接結点となる交差点を整備する際にも同様に求められます。