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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

豊田市中心市街地活性化協議会

取組のポイント

  • 意見を述べるだけの協議会ではなく、事業推進していく協議会組織
  • 第1期計画時からさらに強化された事業推進部隊
鳥取市の位置

1.協議会の概要

協議会名:
豊田市中心市街地活性化協議会
所在地:
愛知県豊田市
設置日:
平成18年10月10日
法定組織者:
【都市機能増進】豊田まちづくり株式会社

【経済活力向上】豊田商工会議所
参考URL 豊田市中心市街地活性化協議会 別ウィンドウで開きます

2.まちの概要

面積:
約918.47 km2
人口:
約42万3千人(平成25年8月1日時点)
位置:
名古屋市の中心部から約25 km東方

3.中心市街地の現状

人 口:

中心市街地の人口、世帯数は中高層集合住宅建設の効果により、平成23年度には一時的に増加傾向を示しましたが、現在では横ばいとなっています。また、高齢化率は27%を超えています。

通行量:

中心市街地の歩行者・自転車通行量は大幅な減少傾向にありましたが、平成19年の中心市街地活性化基本計画認定後は、緩やかな減少となってきました。

商 業:

大規模小売店舗の郊外進出等が進む中、中心市街地の商店数は落ち込んでおり、平成24年において、空き店舗率は11%程度となっています。

4.まちの概要

豊田市は名古屋市の中心部から約25 km東方に位置し、県下最大の市域約918.47 km2(愛知県全体の17.8%)と県下2番目の人口約42万3千人(平成25年8月1日)を有する中部圏の経済を支える中核都市のひとつです。また、トヨタ自動車(株)の企業城下町として発展し、製造品出荷額等が第1位を誇るわが国を代表する産業拠点となっています。

当市は、基幹産業である自動車産業の発展とともに市町村合併を繰り返した結果、広大な市域に市街地が分散する“多核分散型の都市構造”となっています。

5.「チームによるまちづくり」を行ってきた豊田市

(1)第1期計画時の「豊田シティセンターマネジメント」
沖縄市中心市街地の商店街

平成18 年8 月に改正中活法が施行されると、豊田まちづくり(株)と豊田商工会議所が設置者となって、平成18 年10 月10 日に「豊田市中心市街地活性化協議会」が設置されました。  

 中心市街地活性化基本計画における事業は、官民それぞれの役割・責任のもと着実な実行が求められますが、一方では官民の連携が不可欠で、官民が共に力をあわせた推進組織が必要となります。 そこで、基本計画推進・実行に関し協議する役割をさらに進め、具体的な事業の推進・調整及び誘導等を行う官民連携の推進組織「豊田シティセンターマネジメント(以下、TCCM)」を豊田商工会議所副会頭 河木氏をタウンマネージャーとして平成20 年4 月に発足し、活性化に取り組んできました。

 TCCMは、英国のまちづくり組織「TCM」を参考に組織されました。設置に際しては、協議会に参画する商店街、商工会議所、豊田まちづくり(株)などの関係者が英国を訪れ、まちをどうマネジメントしていくのかを視察し、有識者の話を聞きながらその取り組みを調査しました。

 TCCMチームでは、月1回、市の担当者も参加した定例会議を開催し、行政、民間の連携がより強化された中で、事業の進捗管理や新規事業の掘り起こしに取り組んできました。事業の進捗管理においては、各事業についてTCCMとしてのアクションプランを作成し、PDCAを実践してきました。

植物工場
(2)さらなる強化が必要となった「豊田シティセンターマネジメント」

TCCMが行った推進事業としては、例えば、桜町本通り商店街においてこの通りをどう活用していくのかということで朝市や花飾り事業というものを展開し、「新・がんばる商店街77 選」として認められたものがあります。それに加えて、商業的な活性化事業ではない道路整備、基盤整備にかかわる部分で、住民参加の官民連携事業として電線類地中化とバリアフリー化を計画し、これについても、事業の後半部分をTCCM でサポートするなど、各種事業について支援を行ってきました。

また、他にもオープンカフェの実験を行うことによって、道路の使い勝手をどうしていくのかということを、商店街や地域住民の方にお聞きしながら、今後のにぎわい事業に活かしていくという取り組み等を実施するなど、来街目的を高める事業を通して商業の活性化を進めています。

しかし、事業推進していく中で、毎月1回の定例会議も議題がなく単なる報告会となることもしばしばありました。また、定例会議のメンバーとして事業主体者が参加することもなく、事業主体者の思い等は事業担当マネージャーからの報告等となっていました。活動の中で事業推進組織としての問題点が出てきました。

6.チームでのまちづくり-「豊田シティセンターマネジメント」の強化

第2期計画実施に向け、TCCMについて再度どういった組織にするか、どういった役割等を担うのかを考えることで、第1期でのTCCMの課題を解決できる体制づくりを図ることとなりました。これについては、中小機構として中心市街地診断・サポート事業によりおよそ半年間かけてじっくりと協議し合いました。
およそ半年間の協議の結果、今後、次のようにTCCMを進化させることとしました。

(1)TCCM の位置づけ

  • TCCMの位置づけは、第1期計画時と同じく中心市街地活性化協議会内に設置。
  • 豊田市中心市街地活性化の官民による実質的な司令塔(意思決定組織)の役割を担う。
  • 毎月の定例会議を行うのではなく、必要な際にタウンマネージャーが会議を開催する。

(2)TCCM の機能・役割 

  • あらゆる事をTCCMが行うのではなく、中活事業の中でも民事業・官民事業推進のみを行う。
  • PDCAによるマネジメントを実施。
  • 民事業・官民事業のコーディネート・調整を実施。

(3)TCCMの体制 

  • タウンマネージャーが民事業・官民事業推進に向けてすべてを総括する。
  • タウンマネージャーの強い推進力に各機関が連携し、集中的な取組みを行うことで、成果を上げることを目指す。

(4)構成組織/団体

  • 行政は庁内調整担当の商業観光課、民間は豊田商工会議所、豊田まちづくり(株)、商業団体代表、住民代表(区長代表1名)とする。
  • タウンマネージャーは中活協会長が指名し、中活協の承認を得る。
  • 専門的な能力が必要とされる事業については、適宜TCCMにアドバイザーを招き、事業推進を図る。
  • 事務局は豊田商工会議所、豊田まちづくり(株)が共同で担当。
  • 事業内容によっては、TCCMに適宜事業主体(関係者)が加わり、効果的な事業進捗を実現していく。

第1期計画の時よりも強力に“チームによるまちづくり”を図るために、平成25年5月16日の第23回中活協(全体会)にて以下の組織体制が報告されました。

植物工場

新TCCM体制としての大きな特徴は、(1)これまでの定例会議のメンバーの一部を『協力(者)』とし、よりコアメンバーで責任ある推進体制となったこと、(2)適宜、事業主体者を参加させることでより事業主体者への働きかけ・支援等が可能となったこと、(3)行政の委員会等にもタウンマネージャーが必要に応じて参加することで、市長や部課長との情報共有・意見交換が図られることで、中活計画事業がより強力にすすめられることにつながるところにあります。

推進体制の変更と共にTCCMの規程も改訂されました。

これまでは、TCCMは中心市街地活性化にかかわる事業構想と検討・立案、長期ビジョンに関すること、協議会の事務処理と多岐に及んでいましたが、より活動の実効性を高めるために重点的に力を注げる“事業推進部隊”として存在している点がよく分かります。

植物工場

7.関係者の声

沖縄市中心市街地の商店街

豊田シティセンターマネジメント(TCCM) タウンマネージャーの河木照雄氏は、「TCCMに求められるのは、スピーディでタイムリーな事業推進のための行動力です。

 そのためには常に中心市街地の現場にいて、そこで必要とする情報を集め、各方面と連携して的確な判断のもとで行動しなければなりません。そして常にその事業にかかわるものは、事業遂行後のイメージを共有し、そこに至る事業の中で生じる課題に対して力を合わせて解決するようにしなければなりません。」と熱く語られています。リーダーシップを発揮しながらTCCMの運営を行っているところです。

8.取材を終えて

改正中活法における「中心市街地活性化法協議会(以下、中活協)」の役割とは、

  • 中心市街地活性化の総合的かつ一体的な推進に関して必要な事項について協議をする(法第15条第1項)
  • 市町村が作成する基本計画、認定基本計画の実施等について、市町村に意見を述べることができる(法第15条第9項)
  • 民間事業者が特定民間中心市街地活性化事業計画を作成する際の協議(法第40条第1項)
    という記載があるが、いまや全国的に『協議会が形骸化している』との話があることはご存知のとおりです。

中活協に期待される役割は、各地域で異なると思いますが、中心市街地協議会支援センターの『タウンマネジメントのススメ』(平成21年1月発行)では、『協議会は、自らの役割としてこれまで主に「関係者間、行政と民間の情報共有や連絡調整役」として貢献してきましたが、今後は、具体的取り組みに関する事業推進・掘り起こし、関係者間の利害調整に取り組むべきと考えているところが多くなっているという』調査結果があります。

豊田シティセンターマネジメントは、中活協が形骸化していると言われている中、「チームによるまちづくり」を実践し、中活協が活発に活動している先進事例と言えます。

“第1期で伸び悩んだ『歩行者通行量』を改善させる(テコ入れする)ことが必要なため”に策定された第2期計画の民間を主とした事業に、TCCMがどれだけ貢献できるか、今後のTCCMの活躍に期待します。

※掲載した図表等資料は、中活協から提供いただいたものです。

<取材:平成25年8月>