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株式会社金沢商業活性化センター
取組のポイント
- まちづくり会社の自立的な経営
- 既存の中心市街地内の駐車場を活用した駐車場ネットワーク事業
- まちづくり会社による商業施設の運営
1.まちづくり会社の自立的な経営
一般的に、まちづくり会社の初動期は「人材」「収益(基幹)事業」が課題となりますが、株式会社金沢商業活性化センター(以下「金沢商業活性化センター」)は、共通駐車サービス券(以下「駐車サービス券」)の発行、商業施設プレーゴの運営によって、会社創立から約3年で一定の解決を図りました。
一定の収益事業を確立させることにより、持続的にまちづくりに携わる人材として、プロパー社員を6名(うち、1名パート)確保できました。また、社員の成長とともに、新たな自主事業として、金沢ショッピングライナー「まちバス」を運行し、また、イベント等の非収益事業を実施するなど多角的な事業実施機関へと発展させていきました。
このように、立ち上げ時の課題を、関係者一同が協力しながら解決した事により、様々なまちづくり事業を展開できるようになり、まちへの再投資(事業)を実現しています。
ここでは、会社設立時より、金沢商業活性化センターの収益事業の核となっている、まちP(駐車場)事業と商業施設プレーゴについてご紹介します。
(1)まちP(駐車場)事業
まちP(駐車場)事業とは、金沢の中心地の加盟店舗で買い物をすると、加盟している駐車場で共通に使える駐車サービス券をもらえるという仕組みの事業です。
この事業は、まちなかで買い物をすれば顧客の駐車料金の負担が軽減されます。店舗と駐車場の加盟については、金沢商業活性化センターから、賛同する店舗や駐車場が加盟するという方法で、現在加盟店舗は340店、駐車場は28ヶ所、収容可能駐車台数4,200台という規模(平成26年度)となっています。
この中で、金沢商業活性化センターは駐車サービス券の発行、販売、精算、まちPシステムの告知などを担っており、システムの運営により一定の収益を確保しています。(下図参照)。
利用者へのPR方法としてはキャンペーンの実施や、新聞・雑誌によるPR、リーフレットの作成などを行っていますが、当事業の工夫としては、100円券、200円券、400円券の3種類の駐車サービス券を制作したことで、店舗の自由裁量で組み合わせが可能となり、買物客へのサービスが拡充できるようになったことです。これにより、加盟店舗数の増加に結びつけました。
(2)商業施設プレーゴ
金沢市内でも人気のまちの一つである片町、ここにあった遊休地の有効活用を目的として事業が発足しました。まちづくり会社が運営する商業施設なので、地域に受け入れられる・愛される施設にしなければなりません。そのため、開発段階から商店街や行政などが協力しながら準備を進めていきました。
その結果、商業施設を建設する事となり、その際、テナントの選定が集客のカギとなりますが、テナントの選定では、コンセプトとの合致、周辺商店街への起爆剤となり得るかを重視しました。あっと驚くようなテナントを入れる事、つまり、地域の起爆剤となる商業施設とする事を目指し、女性や若者に人気のトップブランド店が入居することになりました。
なお、事業実施に際しては、国、県、市の支援を受けてテナントミックス事業を行ったという事も利点でした。補助金で施設の建設費の大半を賄えるよう、1階のみの設計とし、まちづくり会社の身の丈にあった規模としました。
来街者へのPR方法としては、各種広告媒体、ホームページの活用など、基本的にはまちP(駐車場)事業と同様の手法をとっています。
以上のように、まちP事業とプレーゴ事業という収益事業の確立に成功したことにより、まちづくりに持続可能な正社員を雇うことができ、様々な新しい事業にも取組むことができているのです。
2.今後の展望
現在、金沢市では、平成27年3月の北陸新幹線金沢開業を見据えて、行政をはじめ、商工会議所、商店街、金沢商業活性化センターが適切な役割分担を行いながら、重層的かつ多角的な、まちづくりに取組んでいます。
金沢商業活性化センターにおいては、国内外からの来街客に対する「おもてなし」の強化、まちなか情報の発信、はじめての来街者でも「わかりやすい」バスの運行など、求められるニーズに迅速に対応できることを意識しながら事業を行っています。
金沢市の沿革
加賀、能登、越中を合わせた加賀百万石の城下町として、元禄期には人口約12 万人、全国第4位、経済力においても幕府に次ぐ富を所有するほどに発展しました。明治4年(1871年)の廃藩後、金沢町となり、同22年(1889年)4月1日市制が施行され、太平洋戦争でも戦災を受けず、城下町のまちなみ、文化や伝統等を守り、石川県の県庁所在地として、政治、文化、経済の中心として発展を続けました。
平成8年(1996年)4月1日には中核市となり、自然・歴史環境、学術・文化、これらを基礎とした地場産業、さらに福祉とコミュニティの土壌を大切にしながらも、絶えず革新への営みを心がけ、自ら世界に向け発信していく世界都市を目指しています。
人口:464,287人、世帯数:198,046世帯(平成26年5月1日現在)
金沢市中心市街地活性化基本計画の概要
(認定第2次基本計画 平成24年4月~平成29年3月)
中心市街地の活性化に関する基本的な方針
金沢市の中心市街地は、「金沢らしさ」を表現する藩政期の遺構などの歴史・文化資源や、商業・業務施設や公共施設などの都市機能がコンパクトに集積しています。
中心市街地を活性化させることは、まちのアイデンティティを保つとともに、日本海側の中核都市としての拠点性を向上させるほか、市域全体の発展を図る上で不可欠です。このため、中心市街地の活性化の方向性としては、金沢固有の資産を活かしたまちづくりを基本に、「住む」、「集う」ことはもとより、世代、地域、まちづくりの多様な主体等を「つなぐ」などの各機能をさらに強化する観点から、次の5つの方針に沿って取組みを進めます。
- 快適で潤いある住環境の整備
- 伝統と創造による個性あるまちづくりの推進
- 魅力と活力のある商業環境の形成
- 国内外との多様な交流活動の促進
- 人と環境に優しい交通体系の確立
中心市街地の活性化の目標
1.誰もが暮らしやすい中心市街地
中心市街地人口の年間社会動態
現況値 +26人/年 → 目標値 +35人/年
2.にぎわいと交流が生まれる中心市街地
①主要商業地の休日の歩行者・自転車通行量
現況値 113,089人 → 目標値 115,000人
②中心市街地の観光施設の利用者数
現況値 5,869千人 → 目標値 6,193千人
3.過度に自動車に依存しない中心市街地
公共レンタサイクル「まちのり」の利用回数
目標値 100千回/年
株式会社 金沢商業活性化センターの設立
北陸の中心地としての長い歴史の中で、文化・伝統を培い、産業の求心力を維持してきた金沢市の中心商業地においても、経済情勢の変化や郊外大型店の出店ラッシュ等により、空き地・空き店舗が目立ち始めるなど、県都金沢の顔ともいうべき中心商業地の機能低下が表面化していました。
こうした背景の中、平成10年6月に旧中心市街地活性化法が制定され、中心商業地の活性化を図るため、行政、商工会議所、商店街・大型店等が一体となり、重要な課題等を解決すべく、「まちづくり機関(TMO)」としての㈱金沢商業活性化センターを設立しました。
会社概要
- 会社名:
- 株式会社 金沢商業活性化センター
- 所在地:
- 石川県金沢市南町4番47号 明治安田生命ビル7階
- 設立日:
- 平成10年10月7日
- 資本金:
- 46,000千円
- 株 主
- 金沢市、商工会議所、商店街、大型店、銀行・信用金庫等
- 代表者:
- 代表取締役社長 篠田 健
- 取締役:
- 11名
- 社 員:
- 6名(民間からの採用)
沿革
- 平成10年10月:
- 会社設立
- 平成11年4月:
- TMOとして活動開始(TMO構想の認定)
駐車サービス券「5タウンズパーキングネット」の開始
- 平成13年3月:
- 商業施設プレーゴの開業
- 平成13年4月:
- 駐車サービス券「むさしパーキングネット」の開始
- 平成19年6月:
- 金沢ショッピングライナー「まちバス」の運行(無料)
- 平成20年4月:
- 金沢ショッピングライナー「まちバス」の運行(有料)
- 平成23年2月:
- 駐車サービス券「5タウンズパーキングネット」と「むさしパーキングネット」を統合し、
金沢まちなかパーキングネット「まちP」の運営開始
会社初動期の課題
- 経営基盤となる事業の確立(基幹収益事業)
- プロパー人材の確保(中長期を見据えた人材の登用)
㈱金沢商業活性化センターの自主事業
商業施設「プレーゴ」の運営 (平成13年~)
遊休地を借り上げ、商業施設を建設・運営
金沢ショッピングライナー「まちバス」の運行 (平成20年~)
まちなかの拠点を結ぶ、ワンコイン・ショッピングバスの自主運行
まちなかパーキングネット「まちP」の運営 (平成23年~)
駐車サービス券の発行(28駐車場・340店舗加盟)
近年の中心市街地活性化事業
まちなかキッズステージの開催 (平成23年~)
子どもたちのダンスや音楽などの発表の場を提供(親子三世代の集客)
かなざわまちなびの発行 (平成23年~)
まちなか全域マップとして、1,100店舗、10大型店掲載(県外客への情報発信)
まちなかショッピングナビゲーターの開催 (平成25年~)
県外客を中心に、金沢駅で、まちなかのショッピング・グルメ情報などをご案内