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(第2回)高山市が展開するインバウンド対策について(岐阜県高山市)

地域のもてなし

高山市は、個店や宿泊施設などのおもてなしを提供する側にも支援を行っています。「もてなしの匠・心得帳」という接客力を高める冊子を個店や宿泊施設に配布し、年に一度研修会を行うことで接客力の向上を図る取り組みです。この研修で共有されることは、文化・風習の違いを踏まえた、外国人観顧客への対応策などです。例えば、国や宗教により食べられない食材があることや、住環境の違いを把握し、それぞれの対応を学んでいます。

まちのとある中華料理店は、この取り組みから文化・風習による違いを理解しサービスに活かしています。旅館の女将とともに勉強会を開いて学んだ英語で身振り手振りを交えながら積極的にアプローチを仕掛けています。この英語をきっかけに各国の「おいしい」や「ありがとう」などの言葉を、外国人客から教えてもらい熱心にメモを取り、さらに知識を増やす努力をしています。こうしたやり取りが、温かみのあるコミュニケーションにもつながり、口コミやリピーター創出につなげています。また、こうしたコミュニケーションがニーズ収集にも役立ち、ベジタリアンメニューの開発・提供など行うなどで、さらなる支持を得たのです。 

このような外国人に対する文化・風習の違いを知識として学んだ上で、心温まるサービスにつなげる取り組みが各所で見られ、宿泊情報サイトでは高山の宿泊施設の評価が高い傾向があるなどの成果につながっています。

また、市民の観光施策参画も見逃せません。飛騨高山ウルトラマラソンでは、地元の小・中学生が、ランナーのために応援カードを作成し、ランナーをもてなしています。さらに、実際のレースにおいては、市内の町内会や企業、公募者など約1,000人がボランティアで参加協力するほか、市民が沿道に集まり、ランナーの応援を積極的に行います。これらの取り組みが功を奏し、高山市のウルトラマラソンが、マラソン専門サイト「RUNNET」による全国ランニング大会100選に5年連続で選ばれました。

ウルトラマラソンには約1,000人の市民ボランティアが協力する(飛騨高山観光公式サイトより)

高山は古くから交通の面で不利であったことから、地域外からの来訪者を大切にする文化が根付いているといいます。高山に訪れた外国人は、「高山の景観と人に癒され元気をもらった」「時間がゆっくりと流れている感覚を味わえた」などの感想を残しています。こうした高山に満足した観光客がリピーターとなり、口コミを広げる優良顧客となるのです。