街なか回遊とまちの担い手を創出する手作りマップ(田原市)04
街なか回遊マップの効果
街なか回遊マップは作成の段階からプレスリリースなどを通じ、周知されました。また、完成後は、駅の休憩所や店舗等にも置かれ、マップは市民を始め市外の方にも利用されるようになりました。街なか回遊マップ導入後の効果を以下に記します。
効果1 顧客の増加と関係性の強化
マップの作成者が楽しみながら作成したマップは様々な効果を生み出しました。市民目線で取材されたスポットは、目的地までのルートや店舗の基本情報はもちろんの事、その場の空気感や店主の人柄が分かる内容となっています。さらに、手作り感があふれるマップからは、楽しさや親しみが感じられます。
地図は目的地までの最短ルートを調べるのに用いられるのが主ですが、この街なか回遊マップは思わず寄り道したくなる、寄り道するための地図と言えます。街なか回遊マップを片手に店舗を訪れた顧客が、店主に寄り道したいスポットのルートや様子を聞き来るケースも増えるなど、寄り道する顧客を創出するだけでなく、街なか回遊マップを媒体とした店舗と顧客のコミュニケーションの創出にも発展しています。
効果2 リピーター・口コミ効果の創出
街なか回遊マップで紹介されているまちの楽しさや、店舗の特徴を来街者が実際に体験することで、共感が生まれます。共感が生まれることでリピーターや口コミに繋がりやすくなります。街なか回遊マップに紹介されたスポットを数回に分けて体験する来街者が他市から出てくるなど、田原市街地の魅力が確実に伝わっていることが窺えます。
効果3 店舗同士の協力関係の強化
街なか回遊マップを作成する過程で、店舗の運営者でもある作成者と取材を受ける店舗間でつながりが強まりました。加えて、まちに対する愛着もさらに増してきました。このような変化が起点となり、それぞれの店舗が、それぞれの顧客に対して、店舗の良さを伝え合う行動に発展したのです。例えば、魚屋さんになじみがない若い主婦がパン屋に訪れた際には、「切り身からでも売ってくれるわよ」や「食べ方に応じてさばいてくれるよ」などパン屋が魚屋の魅力を顧客に伝えるなどです。
マップ作成に携わった店舗がまちのファンとなり、そこが情報発信源となって、店舗同士の関係性強化につながったのです。
効果4 まちづくり組織間の交流・連携による相乗効果
街なか回遊マップは前述の4つの中活組織が中心となり作成しました。マップ作成を通して4つの組織のコミュニケーションが活発となり、マップ作成後も頻繁に中活に対する話し合いが生まれるようになりました。異なる組織の意見交換から「街なか回遊マップを民間の観光事業に応用できないか」など、新たな事業を思考するようになったのです。
このように、街なか回遊マップの本来の目的である回遊性や来街頻度の向上をはじめ、店舗間協力体制の強化、中活人材の発掘と連携といった相乗効果が見られます。