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(第2回)中心市街地×農業地域で市の魅力発信を図る「まちなかワイナリー」(茨城県水戸市)

地域と連携して水戸市の魅力を発信する

前回は、農業地域の魅力を発信してきた泉二丁目商店街に、宮本氏がまちなかワイナリーを設置し、さらなる魅力発信に動き出すまでをお伝えしました。第二回となる今回は、宮本氏が、ファン顧客や農家、さらには教育機関など地域と連携して、ドメーヌ水戸の魅力だけでなく、地域の魅力の発信する取り組みついてお伝えします。

顧客との連携

ドメーヌ水戸は、ファーマーズマーケットのファンを始めとする地域住民を、ドメーヌ水戸の「ひとくちオーナー」制度を活用してドメーヌ水戸のファン顧客として取り込みました。ひとくちオーナーに登録するとドメーヌ水戸が醸造したワインが贈呈されるとともに、ぶどうの収穫からワイン醸造までのワイン造り体験ができる特典があります。この体験イベントを通して、ドメーヌ水戸と顧客の関係性強化や顧客間の関係性の構築から新たな地域コミュニティ形成につなげています。

収穫体験や醸造体験の様子
収穫体験や醸造体験の様子

参考URL)ドメーヌ水戸のひとくちオーナー制度(ドメーヌ水戸ホームページ) 別ウィンドウで開きます

地域農家との連携

地元農家との連携策として先述の通り、地元産ぶどうの活用がありますがその他に、ワインツーリズムがあります。ひとくちオーナーの構成は、水戸市ならびにその周辺の住民が四分の三を占めますが、四分の一は都内在住の水戸市ゆかりの方やワイン愛好家です。こうした方に向け、東京駅発のワインバスツアーを展開しました。茨城県の農林水産部の補助事業を活用し、バス運賃をドメーヌ水戸が負担し、ぶどう畑の見学と収穫体験、さらにはドメーヌ水戸での醸造体験を行い、市内の飲食店や観光地などでワインと食事を楽しむというものです。このバスツアーにひとくちオーナーの口コミから首都圏のワインサークルがバスツアーに参加するなど、水戸市の農産業や中心市街地の魅力を発信しながら、活性化に繋げる取り組みとなっています。
加えて、JRと茨城県が協働で展開する鉄道旅行商品「いばらきよいとこプラン」にも水戸市のぶどう畑やドメーヌ水戸を核としたワインツーリズムを出品し人気を博しました。こうした取り組みからワイン愛好家は想像以上に行動的であることが分かり、市を挙げてワインを核としたクラインガルテン(市民農園)に発展させ、中心市街地活性化につなげていこうとしています。

バスツアープログラムの一つである千波公園における食事会の様子
バスツアープログラムの一つである千波公園における食事会の様子

学校との連携

また、茨城大学との協働は、人文学部のアクティブラーンニングとしてドメーヌ水戸のワインを活用したワインツーリズムをプロジェクト化する取り組みです。茨城大学の学生は、ぶどうの収穫から醸造体験を通して、ドメーヌ水戸のワインが中心市街地活性化においてどのような位置づけであるかを学び、来街者を増やすための戦略を立てています。
水戸の魅力である歴史「偕楽園、弘道館」と食「鮟鱇鍋」に、新しい魅力となる「水戸ワイン」を組み合わせたワインツアーを企画し、高い満足度を得ることでリピーターになってもらえるような行程を組み、実施しました。

ワインタイムカプセルワークショップの様子(水戸ワイン_adpのツイッターより)
ワインタイムカプセルワークショップの様子(水戸ワイン_adpのツイッターより)

参考URL)茨城大学との販売促進企画の様子(sucseed2018インスタグラム) 別ウィンドウで開きます

sucseed2018ツイッター 別ウィンドウで開きます

茨城大学プロジェクト演習Facebook 別ウィンドウで開きます

  

このように、ドメーヌ水戸が、商店街の集客装置、ひとくちオーナー制度の共同作業による商店街や住民のコミュニティ形成の場、ワインツーリズムによる農業地域延いては水戸市の魅力発信に取り組むことにより、中心市街地が市の顔となる役目の一翼を担っています。

ドメーヌ水戸を中心とする組織関係図と各組織のメリット
ドメーヌ水戸を中心とする組織関係図と各組織のメリット

多様な組織との関係性構築にあたっては、宮本氏が中心市街地活性化の視点を持ち、まちづくり勉強会や検討会に出席することできっかけを作りました。

また、あるツールを通して参画協働する仲間が増えるとそのツールを通して伝えるメッセージは強くなっていきます。ワインというツールを通して、産官学民が協働し水戸市活性化の想いが強くなっていくことが期待されます。

まとめ

天下井氏は、以上の取り組みを始めとして、様々なプレーヤーが中心市街地活性化の取り組みに参画しているといいます。水戸市にはソフト事業に活用できるスペースが3か所あり、市民プレーヤーが盛んにイベントを展開しています。

イベントに活用できるスペースの例:水戸芸術館広場で行われる「あおぞらクラフトいち」(左)と、まちなか・にぎわい・スポーツ広場(通称M-SPO)で行われるマルシェイベント「ガンゲット」(右)
イベントに活用できるスペースの例:水戸芸術館広場で行われる「あおぞらクラフトいち」(左)と、まちなか・にぎわい・スポーツ広場(通称M-SPO)で行われるマルシェイベント「ガンゲット」(右)

さらに、水戸市出身の企業家が市内に投資する動きもあり、まちなかの機能が多様化しています。このような様々な取り組みを通して、宮本氏を始めとする若手まちづくりプレーヤーの輪が広がりを見せ、水戸市中心市街地活性化協議会では、下部組織である専門部会に若手のまちづくりのプレーヤーが多く所属しています。

また、まちづくりプレーヤーや中心市街地で経済活動を始めとする様々な主体が取り組みを構築する場として、コワーキングスペースやまちなかと地域コミュニティを結ぶカフェの設置が進んでいます。これらの動きを有機的に連携させることで、さらに魅力的な取り組みを展開したいと天下井氏は目を輝かせながら語ります。

コワーキングスペース(左)とまちなかと地域コミュニティを結ぶカフェVILLAGE310(右)
コワーキングスペース(左)とまちなかと地域コミュニティを結ぶカフェVILLAGE310(右)

水戸市は多様なプレーヤーが一体となって中心市街地活性化に寄与する仕組みを構築しつつあり、今後の動きにも期待が高まります。