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下町情緒あふれる“元祖・博多の台所”を伝える「ランチバイキング」

ポイント

  • イベントを通して商店街の下町情緒あるイメージを伝えて行く。
  • 商店街全体を使ったバイキングで、商店街内の回遊を高める。
  • 無理をせず、長く地道に続けることで少しづつ商店街のファンを増やしていく。
商店街風景
場所:
福岡県福岡市博多区美野島
人口:
146.7万人
分類:
【イベント】【商店街販促】
協議会:
なし
実施主体:
みのしま連合商店街振興組合
支援策:
--
参考URL:

http://www.minochan.com/ 別ウィンドウで開きます


1.まちの概要

規模・人口

 福岡県福岡市は、九州一の人口146万人が暮らす政令指定都市で、福岡県だけでなく九州管内においても中心都市としての役割を担っています。

交通アクセスなど

 美野島は、福岡を代表するターミナル駅であるJR博多駅から南に1km程の所に位置しています。かつては国鉄の筑前簑島駅が最寄駅としてありましたが、30年近く前に廃駅となり、現在はバスが唯一の公共交通機関となっています。

まちの現状

 JR博多駅からバスで5分程度の距離ですが徒歩で訪れるには若干距離があります。また観光客も多く訪れる商業地区の天神方面とも方向が違うため、来街者は近隣の住民が中心です。 美野島の商店街は生鮮や総菜の店舗が多く、昔から「元祖・博多の台所」として地域住民の買い物の場として親しまれてきました。現在も町人町としての下町情緒が残る商店街ですが、近年は郊外大型店への顧客流出や商店主の高齢化による閉店など、空き店舗も増えてきています。

2.まちの課題と活性化の取り組み

(1)イベント実施のきっかけ

社会実験のポスター

 イベントのきっかけは、平成17年に市内のNPOが国土交通省などの支援を受けて行った社会実験「お外に出ようプロジェクト」でした。これは、商店街通りを歩行者天国にするなど安全を確保して、看板やフラッグなどのサインや休憩所の整備、空き店舗を活用した休憩所やマーケットの設置など、様々な仕組みで多くの人がまちなかで過ごせるような場をつくる取組みでした。「ランチバイキング」もその中で企画されたものの一つです。

 当初は、テレビや新聞などでも多数取り上げられ、遠方からも多くの方が来ました。現在は月1回50食限定で行っているランチバイキングですが、社会実験期間中の1カ月間は当初用意した100食では足りず、150食まで増やす程でした。

 社会実験終了後、商店街では継続的な商店街イベントとして、自主的な実施を決めました。その後は、無駄な費用をかけないよう備品に改良を加えるなど工夫しながら、月1回のペースで現在まで5年以上続けています。

(2)事業内容

 みのしま連合商店街振興組合が主体となって、基本的に月1回12:00~14:00のランチタイムに実施しています。参加者は、組合事務所前で500円10枚つづりのチケットを購入し、箸と専用の弁当箱を受け取ります。商店街内の参加店舗10数店でランチバイキング用の商品をチケットと交換していくことで、参加者は各々オリジナルの弁当を作っていきます。当日は、商店街内にいくつかテーブルとイスが置かれるので、弁当を完成させた来街者はそこで食事が出来るようになっています。

ランチバイキングポスター

 肉屋がランチバイキングのためだけにハンバーグを作ったり、普段105円のシュークリームがチケット1枚(50円相当)で買えたりと、参加店舗の努力によって、500円で豪華なお弁当が出来上がります。

 難点は、アーケードがないためイベントが天候や気候に大きく左右されることです。天気の悪い日は商店街内でNPO博多まちづくりが運営するまちづくりショップ「ゆらりん」のスペースを借りて食事をとってもらうなど工夫をしていますが、暑さが厳しい真夏や寒い冬場はイベント実施が難しいのも現状です。そこで、真夏は従来から行っている夏祭りに力を入れたり、冬場はランチバイキングの代わりに、スープなど紙コップ1杯100円の商品を購入しながら街あるきを行う「食べあるき・鍋あるき」を行うなど、他のイベントと組み合わせることで気候に対処した継続的な賑いづくりを行っています。

まちづくりショップ「ゆらりん」

3.取り組みの効果

最初は皆悩みます

 参加者は老夫婦、中年男性、小さな子供連れの家族、若い女性、学生のグループ、若いカップル、小学生のグループなど老若男女様々ですが、指定の弁当箱を持って商店街を歩いている人は皆ランチバイキングの参加者だとすぐにわかるため、店主達からも声をかけてコミュニケーションをとりやすいようです。

 様々な食材を詰め込んだ弁当箱を持った来街者に商店主が「あっちにデザートがあるよ!」などと親切に教えてくれたりと、コミュニケーションをとっている姿が見られます。

 特に子どもたちが楽しそうに商店街を行き来しながら商店主と会話をしている姿は、昔ながらの下町情緒を残す美野島の商店街の趣を良く表す場となっています。

 このような雰囲気は周囲にも自然に伝わるようで、イベント時にたまたま通りかかった人が興味を持ち、その後商店街のファンとなって新たな人を連れて繰り返しイベントに参加してくれるなど、地道ではありますが商店街のイメージを広める効果を発揮しています。

  また、参加店舗の店主たちにとっては、月一回のこのイベントに向けて新たな商品開発をしようという動機づけにもなっているようです。

  現在の参加店舗は10店舗程ですが、参加者は何を食べようかじっくり考えながら、商店街を何度も往復してしまうほど、十分に楽しめるイベントになっています。費用や大がかりな仕掛けがなくても、実施できるのもこのイベントの特徴であり、また、長く続けるための秘訣なのかもしれません。

行列のできる店も

4.今後の課題

 最近は商店街の中に飲食店が増え、お昼時には近くで勤務するサラリーマンも見かけるようになったそうです。商店街としては、そうした方々にもより商店街のお店を知ってもらおうと、月一回の土曜日だけでなく平日も含め定着させて行きたいとの思いもあるようです。

 また、既に提供しているうなぎや刺身を使ってオリジナル丼をつくる企画や、麺類も導入するなど、様々応用が考えられるイベントでもあり、新たな取組みを進めて行きたいとのこと。

 一方で、あまり無理をしても長く続かなくなってしまう懸念があります。現在の商店街全体の体力に見合った範囲を見極め、継続できる体制をととのえながら新たな取組みに着手していくことが今後の課題と言えそうです。  

5.関係者の声・まちの声

 「少しずつでも美野島の商店街を知ってもらうきっかけとなってほしい」と商店街事務局の馬場さん。

 「パソコン教室の通り道でいつも自転車で通っているが、前から気になっており初めて参加してみた」と言った方に会ったり、今でも地元テレビ局などでたまに取り上げられたりと、ランチバイキングの継続的な活動は、商店街の存在を着実に伝えて行っているように感じられました。

<取材日H23年5月>