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中心市街地活性化協議会支援センター

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『東北地域中心市街地および商店街関連セミナー~まちの人材育成編~』が開催されました①

 2021年11月11日~12日、青森県八戸市で『東北地域中心市街地および商店街関連セミナー~まちの人材育成編~』(東北経済産業局・中小機構共催 以下 セミナー)が行われました。
 2日間にわたり事例学習だけではなく分科会に分かれたワークショップやディスカッション、八戸市内の視察など盛りだくさんの内容で行われたセミナーには東北地域を中心に22地域から69人の参加者が集まりました。セミナーの様子をレポートします。

セミナー次第

1日目
■挨拶
■パネルディスカッション
■商店街等と連携した民間事業者の取組紹介
■グループ討議

2日目
■講演 八戸市中心市街地活性化について
■八戸市中心市街地視察
■協同組合八食センター取組紹介及び視察

セミナーの趣旨、目的について

 今回のセミナーは東北地域において、中心市街地や商店街活性化に取り組む各地域が効果的、効率的、持続可能なまちづくりを進めていくためのきっかけとして開催されました。
 まちづくり会社、自治体や支援機関の担当者、まちづくりコーディネーター等のネットワークや連携を強化し、課題やその解決のためのノウハウの共有と向上を図ることが目的です。特に今回は今後、地域を担っていく若手人材のスキルアップに着目してテーマが設定されました。

セミナーの様子

主催者、共催者挨拶

 開会に先立ち、主催者の東北経済産業局産業部 商業・流通サービス産業課の伊藤ひろみ課長より、開会の挨拶とともに今回のセミナーの趣旨、目的について説明がありました。
 続いて、開催地である八戸市まちづくり文化スポーツ部の前田晃部長より、八戸市における中心市街地活性化基本計画の推進状況について説明がありました。

  • 東北経済産業局産業部 
    商業・流通サービス産業課 伊藤ひろみ課長
  • 八戸市
    まちづくり文化スポーツ部 前田晃部長

八戸市の中心市街地について

 セミナー開催地である八戸市は、平成20年に第1期中心市街地活性化基本計画認定を受けてから現在3期目の認定計画を推進中で、行政・商工会議所・まちづくり会社が連携した官民一体の取り組みが特徴です。
 多目的な市民活動拠点としての『八戸ポータルミュージアムはっち』、公営の書店『八戸ブックセンター』、全天候型広場『八戸まちなか広場マチニワ』、令和3年11月3日にオープンした『八戸市美術館』など、商業機能だけでなく多様な市民活動の場を整備し、ハード整備とソフト展開の両輪で活性化をけん引しています。
(八戸市の中心市街地活性化の取り組みは事例紹介に掲載いたします)

事例発表とパネルディスカッション

 経済産業省の補助事業を活用した東北地域の事例の中から、地域の関係者がネットワークを構築し、合意形成を進めながら拠点形成を行った2つの事例発表と、それぞれの発表を受けたパネルディスカッションが行われ、パネリストからのアドバイスや取り組み事例のポイントなどについての発言がありました。
 ・事例① 青森県黒石市(こみせ通り商店街)<複合宿泊施設整備>
 ・事例② 秋田県能代市(能代駅前商店街)<コミュニティ拠点整備>

※各事例の詳細は別ページに紹介しています(リンクは下記文中より)

(パネリスト)50音順
・伊藤大海氏/中心市街地活性化協議会支援センター/前大分県竹田市タウンマネージャー
・苅谷智大氏/株式会社街づくりまんぼう 街づくり推進課長
・下田孝志氏/山形まちづくり株式会社 常務取締役
・古川直文氏/株式会社楽市白河 常勤取締役

(ファシリテーター)
後藤毅氏/合同会社ミア・カーサ経営支援室 代表 

事例①【青森県黒石市(こみせ通り商店街)】 <複合宿泊施設整備>

(発表者)こみせ通り商店街振興組合 理事長 村上陽心氏、事務局長 中田和道氏

左:中田和道氏  右:村上陽心氏
 
(事業名)
中町こみせ通りを活用した複合宿泊施設整備による黒石市中心商店街観光消費創出事業
(活用した事業)
平成31年度商店街活性化・観光消費創出事業
(取組概要)
複合的な商業施設を整備
【ハード】
 
 
【ソフト】
 
「こみせの宿ホテル逢春」の建設
→市の中心市街地の結節地点に、新たに複合宿泊施設を整備
 
①黒石こみせまつりと連携した屋台村(夜市)の開催
②地元の弘前大学と連携した、インバウンド向けモニターツアーの実施
③商店街・飲食店多言語マップ及びHPの作成
事例の紹介はこちら黒石市 中心市街地活性化の取り組み(下のボタンをクリックしてください)

<パネルディスカッション>

 発表を受けて、アフターコロナを踏まえた観光まちづくりといった観点から、パネリストよりアドバイスや取組み事例等についてコメントがありました。

伊藤大海氏        古川直文氏       苅谷智大氏     下田孝志氏


[苅谷智大氏(石巻市:株式会社街づくりまんぼう)より]

 いかに関係する人を増やしてまちづくりを進めていくか、ということはそれがまちそのものの良さに繋がり、関わる人の幸せ、まちを訪れる人の幸せにつながる。それが体現されている。黒石市ではこれまで長年、素晴らしいまちづくりの取組みをされてきている。この発表では語られなかったまちづくりの流れ、人のつながりがあって、今活躍している人が生まれている。
 一方で、観光も力を入れてきた黒石市ではコロナ禍により大きな影響を受けている。石巻市でも観光まちづくりを行ってきた。インバウンドでどう観光客をふやすか取組んでいた矢先のコロナ禍だったが、現在、インバウンドで観光客を集めることは難しく、県内から足しげく通ってもらう戦略に変更する必要があると考えている。
 これまで漫画を活用した観光まちづくりを行ってきたが、漫画以外の観光ニーズを求める人がいるのではないかと考えはじめた。震災のボランティアで来たことがある人、東京から離れたところで自然に触れながら仕事をしたい人も広い意味での観光ターゲットになる。黒石市においても、これまで関係してきた中でターゲットとして見てこなかった人をどうターゲットにしていくかが課題だと思う。

[古川直文氏(株式会社楽市白河)より]

 写真にある古い建物の雰囲気をみると、こういった古い建物がまちなかにあること自体が財産だと思う。白河市は城下町だが、こういった古い建物が並んでいるところはほぼ無いので羨ましく、この財産をどう外にアピールしていくかがポイントだと思う。
 コロナ禍で宿泊関係は厳しい場面があると思われるが、必ず解決策は出てくる。白河市でもまちづくり会社を運営する中で何度も苦境に陥ったことがある。仲間が真剣に話し合い、それを乗り越えたから組織も伸びるし人も伸びると実感している。
 白河市でも、衰退したまち中において単純な物販業は難しい。女性が利用するサービス業であれば成り立つと考え、テナントを誘致している。現在、当社が管理する9店舗の商業施設のうち、シェアオフィス以外はすべて飲食店になっている。コロナ禍でも閉店せずやっていけているのは、飲食店もワンオペで運営できるような小さいお店(八戸の屋台村のような)だと思うので、こみせ通りの雰囲気に合わせた飲食店があると集客核のひとつになりそうだと感じた。

事例② 秋田県能代市(能代駅前商店街)<コミュニティ拠点整備>

(発表者)のしろ家守舎 代表社員 湊哲一氏、
    能代市環境産業部商工労働課 中心市街地活性化室 室長 堀口誠氏

  左:堀口誠氏   右:湊哲一氏

 
(事業名)
MARUHIKO PROJECT(秋田県能代市から発信する、新しいコミュニティ商店街活性化事業)
(活用した事業)
令和3年度地域商業機能複合化推進事業
(取組概要)
空き店舗の「丸彦商店」の改装
【ハード】
 
 
 
 
【ソフト】
 
①シェアオフィス・コワーキングスペースの設置
②「こどもの遊び場」の設置
③カフェ・物販ブースの設置
④DIYブースの設置
 
①創業支援及びチャレンジショップ支援
②子育て支援及びコミュニティ機能
③住民参加型の地元木材を活用したDIYプログラム、自身で行う空き店舗リノベーションのノウハウ支援
事例の紹介はこちら能代市 中心市街地活性化の取り組み(下のボタンをクリックしてください)

<パネルディスカッション>

 発表を受けて、コミュニティ拠点整備の観点、行政や関係者の巻き込み方の観点から、パネリストよりアドバイスや取り組み事例等についてコメントがありました。

[下田孝志氏(山形まちづくり株式会社)より]

 能代市は東北でも有名なシャッター商店街ではあるが、駐車場もあり、空き店舗空き家の状況を棚卸して対策することで地域を活性化できるチャンスは十分にあると考えている。
 空き店舗対策については、物件の把握とリストアップがまず必要になる。「空いているがすぐ使える」、「改修すれば使える」、「使えない」、「数年後空き店舗になる」など4区分くらいで色分けして、空き家、空き店舗の現状を把握することが第一歩目になる。使える物件については、地権者の協力が得られるところからリノベーション等に着手して、良いものを作っていけば、自然と物件利活用の追い風や波及効果は生まれると思う。
 また、人の巻き込みに関して言えば、県外・市外からの移住者は地域内で頼れる人がいないため、そういった方は地域の情報、子育てのアドバイスを求めて地域の子育てコミュニティにくる傾向がある。そのような人たちはポジティブに町の良いところを探そうとする。山形市ではそういう視点を生かして、「ママさん達の意見をもとに作ったマップ」を作った。運営する側だけではなく、利用する側の意見を反映していくことができると次の展開、親和性のあるビジネス、連携への発展が考えられる。

[伊藤大海氏(中心市街地活性化協議会支援センター/前大分県竹田市タウンマネージャー)より]

 マルヒコプロジェクトの建物をみたとき、角地をうまく抑えて、周辺への波及など次の展開をしっかり考えられたのではないかと思った。角地の作りこみはまちの顔・印象になる。そこに人が集まって賑わっているところを見せることで、通行する人がまちや活動に興味を持つきっかけになる。
 拠点立ち上げに関していうと、機能を複合化し、多様な事業者等を呼び込むことで家賃を分散して負担を軽くし、事業資金をきちんと回収することがポイントになる。この取組みではまずソフトの場づくりをうまくしながら人を発掘し、連携につなげられていると思う。
 一方で、のしろ家守舎のようにまちづくりにかかわる会社の事業は、安定的な運営になるまでの助走期間中に行政の伴走的支援がどのように得られるかがポイントになる。「成果を上げたら支援する」という行政が多いが本来は順序が逆で、公益性の比率が高いまちづくり会社はいつまでたっても成果づくりや自立が難しい。この取組みではしっかり伴走支援している行政の姿勢もポイントだと思う。また、自分たちが学んだことを次に引き継いで支援していこうというプラットフォーム的な視点も持てているのも今後の展開をしっかり考えており評価できると思う。

商店街等と連携した民間事業者の取組紹介

 続いて、商店街の振興につながるツールのひとつとして、民間事業者が行っている取り組みの紹介がありました。

①株式会社Great Value『商店街組織と連携した地域おこしツールの提供』

発表者:代表取締役 廣澤孝之氏
 商店街が買い物をする場から生活を支える場に変わっていく中、地域のコミュニティ作りを促進するアプリの提供を行っており、具体的な活用事例等をご紹介いただきました。

廣澤孝之氏

豊田通商株式会社『東北地域における「ユニバーサル商店街」推進について』

発表者:営業開発部空港事業グループ 課長補 黒田和彦氏
 地域と連携しながら誰もが気軽に参画を楽しめる場をつくり、地域経済の活性化につなげるユニバーサルツーリズム(障害の有無や年齢などに関係なく,すべての人が安心して楽しめるような旅行活動)を、東北地域において推進する試みをご紹介いただきました。

黒田和彦氏

 2社の発表が終わり、セミナー前半は終了しました。続いて、後半はグループ討議を行いました。後半のグループ討議の様子は、会議報告②でご紹介します。