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エリアマネジメントによる高山本町4丁目商店街エリア活性化
(岐阜県高山市)

 岐阜県高山市は、歴史的資産や自然が豊かな観光都市として有名です。
 これまで、インバウンド対策による外国人観光客誘致施策、道路や施設、情報など様々なバリアフリー整備等による高齢者、障がい者の受け入れ体制構築、広域観光として重要な連携先の開拓など、様々な観光施策を打ち出してきました。

≪過去の記事リンク≫

 高山市では、平成31年度から中心市街地活性化の取り組みの一つとして、本町通り商店街(3丁目、4丁目)のエリアマネジメント構想の作成支援に取り組んでいます。

高山市中心市街地活性化取り組みの状況

 新型コロナウイルス感染症の影響により、まだ観光客が戻らない中、商店街も人がまばらな状況が続いていますが、昨年度は行神橋(ぎょうじんはし:高山市中心部の宮川に架かる歩行者専用橋)が完成、宮川朝市から本町商店街への行き来がしやすくなり人の流れも変わり始めました。このように中心市街地でも新しい動きが出てきています。

地図出典:高山市中心市街地活性化基本計画より
(赤線は中活エリア、青線内は本町3丁目、4丁目)

 昨年度より本町4丁目商店街における取り組みを開始していましたが、コロナ禍で活動できない状況が続きました。高山市の緊急事態宣言明けに伴い、活性化に向けての取り組みを再開することができました。

キックオフセミナーの開催

 2021年10月、改めてのキックオフとして「エリアマネジメントで高山本町4丁目商店街エリア活性化を図るなら」というテーマでセミナーを開催しました。
 本町4丁目商店街が今後どのような方向を目指していくのか構想をまとめる上で、考え方や参考になる事例について、集まったメンバーに知ってもらうことが主な目的です。
 講師は株式会社プランニングコンサルト 代表取締役大橋賢也氏、4丁目商店街の商店主や高山市役所職員が参加しました。
 セミナーでは、講師が一方的に話をするのではなく、講師から参加者に問いかけ、また参加者からも質問を行う、双方向の形式で行われました。

商店街の活性化とは

 これまで本町4丁目商店街で実施してきたイベントを取り上げ、「どんな目的で行われたのか?」「ターゲットは?」「目標値はあったか?」「どうなれば成功だと考えていたか?」など、講師から参加者に問いかけ、それに参加者が答え、これまでの取り組みを振り返りました。

(セミナーの様子)

 大橋講師が長年にわたり各地域の商店街や自治体と共に活動してきた中行きついた持論として、商店街の活性化を考える際に必要な要素をお話いただきました。
 「売上高=客数×客単価の図式を商店街に置き換えてみると、商店街の活性化は、商店街の集客力を向上させること、個店の販売力を向上させることの図式が見えてくる。」
 「商店街で行うイベントの中には、着想が素晴らしく、面白いものが多い。ただし、商店街の活性化のため、その着想を活かすために必要な考え方として、何か行うなら、目的を明確に、適した方策を用い、目標値を設けて測定していくが重要である」、とお話し頂きました。

(大橋講師の資料より抜粋・掲載)

 これまで本町4丁目商店街で行ってきたイベントについて、また今後の方策について、改めて考えることができ、良い機会になったようです。

まちの活性化とは(商業者が取り組むまちづくり)

 インターネット環境が普及して買い物の手段が変化している中、地域住民と特別な関係を作るためにも「まちづくり」に関わることは有効な手段と考えられること、事業者がまちづくりに関わるメリットとして、「地域になくてはならない店になる」「地域の顧客と特別な関係になれる」ことがあげられました。

 これに関連して、昨年度に発表された報告書「地域コミュニティにおける商業機能の担い手である商店街に期待される新たな役割~「商店が集まる街」から「生活を支える街」へ~」では、商店街に商業機能以外の多様な機能を担うことが期待されていること。「国の政策は地域に貢献する社会的存在を支援するという政策に変わってきており、地域の方がまちづくりに関わる認識になっている」と、大橋講師より情報提供がありました。

(出典:「地域コミュニティにおける商業機能の担い手である商店街に期待される新たな役割」より)

 大橋講師は「商店街活性化の考え方と異なり、まちの活性化は単純な式で表すのは難しい。中心市街地の活性化はまちの価値の向上と考えられる。もし商業者がまちの活性化に取り組むなら『どんなまちを目指すか』『どのようにして実現させるか』を明確にしておくと、考え方や方針がぶれない」とまとめました。

(大橋講師)

エリアマネジメントとは

 「エリアマネジメント」にはいろいろ定義がありますが、エリアマネジメント推進マニュアル(H20.4国交省)によると、「一定の地域における 良好な環境や地域の価値を、維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組み」とあります。

 大橋講師は、まちづくり会社は「エリアマネジメントを推進する会社」と定義しました。

 全国でも約160社しかないまちづくり会社ですが、自治体型(自治体の出資比率が高い)、商店街型(商店街が自ら作っていること)、民間型(商店街も関係なく民間が作っている)のいずれにおいても、商業まちづくりにおけるまちづくり会社の役割は、「地域に消費と投資(人と店)を呼び寄せ、これを目的として(まちの活性化)、戦略を立て実施していく事業会社であること」という考えと、「事業会社としては、やってみせることが大切である」ことを、お話いただきました。

事例の紹介

 最後に、商店街やまちづくり会社の中から、エリアマネジメントを行っている事例を紹介いただきました。

(大橋講師の資料より抜粋・掲載)

 事例紹介後の質疑応答では、事業のスキームについての質問や、成功している商店街において「取り組みを進める際に、どう住民に理解してもらったか」など、本町4丁目商店街での実施を想定した具体的な質問が飛び交いました。

総括

 最後に、高山市を代表して商工労働部長の倉畑政之氏より閉会の挨拶がありました。倉畑部長は、「本日のセミナーを受けて、4丁目のみなさんが目指していること、こんな商店街にしたいというのを実現していきたい。魔法のような取り組みはなく、これが正解というものもないが、4丁目の将来に向けて共に考え、行政ができることは対応していきたい」と総括しました。

今後の展開

 コロナ禍により取り組みを中止せざるを得ない状況の中試行錯誤してきましたが、今日のセミナーにより、本町4丁目商店街が向かう方向性についての共通の認識ができました。
 今後、高山市では、今回のメンバーを中心に、本町商店街4丁目エリア活性化のための事業構想を共に考え、取り組みを支援していく予定です。