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商業インキュベーター(チャレンジショップ)成功の要因 ‐夢CUBE誕生10周年を迎えて‐(奈良市)

商店街の組織力向上にも影響を与えた創業者育成とは

(2)開業・運営段階

選考された創業者は開業前に、中小企業診断士などの専門家から経営に必要な知識を得ることができます。さらに開業後は、引き続き定期的にディスプレイ講習などの勉強会のフォローがある上に、商店街で事業を営む先輩商人から日ごろのコミュニケーションなどを通して、店舗運営に必要な助言を得ることもできます。また、チャレンジャー店舗の売上などの経営状況は夢CUBE事務局長に報告されます。これらを元にした経営アドバイスもつぶさに行われます。

なお、夢CUBEのチャレンジ期間は最長で3年となっています。多くのチャレンジショップは、半年や1年といったスパンですが、経営ノウハウの蓄積や投資の回収などを考慮に入れ3年と決めました。この3年間に以上のようなフォローを受け、チャレンジャーの経営力は強化されていきます。

さらに、チャレンジャーは商店街内で協力して事業を行う大切さも学びます。例えば、商店街清掃や商店街イベントに積極的に参加するほか、夢CUBEの卒業生と現チャレンジャーで独自のイベントを展開し商店街の集客に一役買うなど、商店街内の縦のつながりだけでなく、夢CUBE内での横のつながりも強固にしながら商店街を盛り上げています。

以上のように、夢CUBEは、選ばれた出店者が、教育を受けながら若者特有の勘や感性を活かす。さらに、夢CUBE内の仲間や先輩商人と協働しながら切磋琢磨できる環境といえます。このような経験を積んだ夢CUBEの卒業生が商店街内に出店すれば、彼らが商店街の次世代の中心的存在として商店街を引っ張っていくことが容易に想像できます。