まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
再開発 そこから始まるまちづくり(愛媛県西条市)5
(3)再開発後の課題とこれからのあるべき姿
数十年後を見据えたハード(街区)は完成し、来街者の視点からまちの機能強化や心地よい空間づくりに向けてのソフトを磨いていくことが求められます。再開発で生まれ変わったまちですが、若手のリーダー格の高橋輝雄さんは危機感を覚えるといいます。「今こそみんなが同じベクトルを向いてひとつのことに全力で取り組む。そこから次の展開が見えてくる」と商店街の垣根を越えて価値観や理念を共有し行動することの大切さを仲間に訴えています。
あいさつ、笑顔、清掃といった基本に、まちを挙げて取り組もうとする気運が若手有志から問題提起されるようになりました。凡事徹底は行動から意識に働きかける魔法です。それがきっかけとなって個店が商店街の魅力を高め、商店街の行動が住民の共感を集めて個店の水準を高める好循環に持っていくことができるのではないでしょうか。さらに、専門店ならではの知識やノウハウを少人数で提供してお客様との関係性をつくっていこう、などの提案も聞かれるようになりました。
東日本大震災を経て、人々の幸福への価値観が変わろうとしています。来街者がさまざまな体験を通じて紺屋町との関係性を構築すること、例えば多様な世代で賑わう場づくりや新たな挑戦者(創業予備軍)をまちに誘引、育成するなど、人づくりからまちづくりを行うことが期待されています。