創業者育成から開業後の事業継続まで一気通貫の空き店舗対策2
「商店街は誰のもの?」商店街における経営を学ぶ理事たち
さまざまな商店街活性化策を打ち出した岩村田本町商店街ですが、それには世代交代を行い組織の若返りを図る必要がありました。旧中山道の宿場町から発展してきた岩村田本町商店街ですが、長野新幹線開通やそれに付随する大手ショッピングセンターの出店などの外部環境変化に対応が遅れ、衰退してしまったのです。若手の力を活用し環境変化に対応するため、平成8年に若手の経営者を中心に「岩村田本町商店街振興組合」を設立しました。商店街活性化に向けて若手へのバトンタッチがここで行われたのです。
世代交代を図った岩村田本町商店街が、外部環境の変化に対応するためにまず行ったのは若い理事自身のレベルアップです。「後継者養成塾(以下、養成塾)」という長野県の経営者育成プログラムを活用し商店街活性に必要となる経営の基礎を学びました。理事たちは、養成塾の費用を自費で払い学んだといいます。この養成塾は長野県の中小企業診断士である滝澤恵一氏の指導の下、1か月に1度1泊2日で行われました。前半の講義は夕方6時から深夜の2時まで、後半の講義は翌朝6時から夕方6時まで行いました。前半の講義が終了から、後半の講義が始まるまでの4時間も復習や宿題などに充てることを考えると、自身の商売の合間を縫ってハードスケジュールの中、学んだといえます。理事たちはこれを1年半行いました。
その養成塾で理事たちは、「商店街は誰のものか?」「商店街を継続させるために今後何をすべきか?」を徹底的に議論し、お客様のために商店街を継続させるため、まずは商店街のコンセプトを作ることにしました。
商店街のコンセプト作り
養成塾で学んだ理事たちは、今後の商店街の方向性を明確にするため、周辺地域の視察や個店の持つ魅力などを洗い直すことで商店街の強み・弱みを分析し、商店街のコンセプトを打ち出しました。岩村田本町商店街は、古くからの造り酒屋や味噌醤油製造販売店、和菓子製造販売店など伝統技術を活用した商店が多くあります。それらが大手ショッピングセンターなどと差別化が図れることに気づいたのです。岩村田本町商店街は「手作り、手仕事、技の街」をコンセプトに再出発することになります。このコンセプトは空き店舗対策だけでなく、イベント展開など様々な事業の基礎になります。