本文へ

中心市街地活性化協議会支援センター

文字サイズ
まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例
  • HOME
  • まちづくり事例
  • 地域資源を活用し、コト消費の空間を創出 ~「観光客の回遊性向上と商店街組合員の増加」を図るイベント策~ 神奈川県湯河原町3

地域資源を活用し、コト消費の空間を創出 ~「観光客の回遊性向上と商店街組合員の増加」を図るイベント策~ 神奈川県湯河原町3

現在の「ぶらん市」に発展するまで

手作り市の賑わいは「出店者(参加する作家等)の数と質に比例する」といっても過言ではありません。明店街にとっては来場者に湯河原の魅力を発信でき、旅の思い出を提供できるような出店者の継続的な確保が重要な課題といえるでしょう。

先述したように、「ぶらん市」の出店者は名産品等を扱う販売店・飲食店と手作り作家に分かれます。

湯河原町の基幹産業は観光であり、名産品等を扱う店舗の割合は他の地域よりも高いと考えられます。このことは、出店者を確保するうえで湯河原町の強みといえ、村上会長が明店街や近隣の商店街で湯河原の名産品等を扱う店主、あるいは農家などに出店を呼びかけていることが出店者確保のポイントになっています。さらに、村上会長は地域住民にも声をかけています。村上会長は電器店を営んでおり、商品の配達や修理のために地域を回っています。日常業務の中で地域に在住している手作り作家を見つけ、出店を募っているそうです。また、後述する「ふわはぁと」など地域の団体とのネットワークも、手作り作家を開拓するうえで貴重なリソースとなりました。

手づくり作家としては「ぶらん市」が作品に対する自身の思いを語る場となるばかりでなく、客から作品に対する意見を収集する場にもなるメリットがあります。このようなメリットを繰り返し出店対象者に声をかけていくことで人口約2万5千人の町でありながら30店舗以上の出店者を確保することが出来ています。

参考)ぶらん市の出店者
参考)ぶらん市の出店者

この他、ステージイベントの企画やプロモーション、会場設営などには横山企画事業部長をはじめとする30~40代の若手役員4人が携わっています。プロモーションの手法はチラシやポスターが中心。新聞折込のほか、温泉街の旅館、老人ホームなど地域の各種施設に配布しています。デザインは専門の業者に頼まず独自に作成しており、Twitter・Facebookなどのソーシャルメディアを活用した情報発信にも積極的です。

こうした、若手人材の取り込みは全国の中心市街地・商店街の課題の一つといえますが、明店街では木村前会長の時代に後継者が集う「明友会」を組織化しています。リーダーシップを発揮しながら地域を牽引している村上会長も「明友会」への参加が、商店会活動を始めるきっかけとなったそうです。今でも「明友会」には6人の後継者が参加し、酒席を中心とした活動により親交を深めています。その結果、役員は総勢11人に対して若手役員が4人と、役員のおよそ1/3を占めるようになりました。

この他、ステージイベントを盛り上げる子ども会をはじめ、NPO法人湯河原げんき隊、湯河原商工会、湯河原観光協会といった地域の各種団体との協力体制も構築されています。

子ども会を通じて、「ふわはぁと」という子育て世代の女性サークルとの出会いもありました。「ふわはぁと」は美容や飲食、雑貨販売、ファイナンシャルプランナーなど様々な業界で活躍する子育て中の女性で構成されており、参加型のイベントを定期的に開催しています。ハンドメイドのアクセサリーやインテリア小物など、「ふわはぁと」メンバーのお店は「ぶらん市」出店者の常連となっています。

NPO法人湯河原げんき隊とは地域資源を発掘し、活力あるまちづくりを推進するための調査研究・商品開発・情報提供等を行う団体です。神奈川県内の各種団体が集まる異業種交流会が湯河原駅前通り明店街との架け橋となりました。「ぶらん市」では無料で利用できる足湯を提供しており、来場者は気軽に温泉気分を味わえます。この他、湯河原商工会は「ぶらん市」の実施に伴う事務処理のサポートや備品の貸出などを行っています。

参考)ステージを盛り上げる子ども会
参考)ステージを盛り上げる子ども会
参考)会場の様子:ステージを楽しめる飲食スペース(写真手前)と盛況を見せる出店スペース(写真奥)
参考)会場の様子:ステージを楽しめる飲食スペース(写真手前)と盛況を見せる出店スペース(写真奥)
参考)第19回ぶらん市のチラシ
参考)第19回ぶらん市のチラシ