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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

歩いて楽しい・活気あふれる伊丹まちなかバル

ポイント

  • 多くの地元組織と官民学関係者が係る回遊性と賑わいの創出
  • 新しい人材の発掘と協働化
地域のシンボル的景観 白雪長寿蔵
場所:
兵庫県伊丹市
分類:
【イベント】
人口:
19万人
協議会:
あり
実施主体:
伊丹市中心市街地活性化協議会
NPO法人いたみタウンセンター
(伊丹まちなかバル実行委員会)
参考URL:

http://itami-tc.com/index.html 別ウィンドウで開きます

http://itami-tc.com/tyousa/ikkatujosei/bar.html 別ウィンドウで開きます


まちの概要

規模・人口

 伊丹市は、兵庫県南東部に位置し、神戸市から約20km、大阪市から約10km の圏域にあり、面積25.09k ㎡、人口約19 万人を有しており、周囲を兵庫県尼崎市、西宮市、宝塚市、川西市、大阪府豊中市、池田市の6市と接しています。

交通など

 交通手段として、JR 福知山線および阪急伊丹線を利用することにより、大阪・神戸方面へのアクセス性は高く、また、『大阪国際空港のあるまち』として全国的に知られています。中心市街地からは空港直通バスが運行するなど、県外に移動するアクセス性も高いです。

まちの特色

 中心市街地の大部分は、かつては有岡城の城下町として栄えた「伊丹郷町」と称され、摂津国の中心地として歴史的に由緒のある地域としても知られています。

 領主・近衛家の産業奨励策もあって酒造業が発展し、江戸へ下った伊丹の酒は「丹醸」と賞賛され上質酒の代名詞となり、将軍の御前酒になるほどの大評判を博し、江戸時代の伊丹は『酒造りのまち』としても栄えました。

 現在では、いたみホール(文化会館)・アイフォニックホール(音楽ホール)・アイホール(演劇ホール)・みやのまえ文化の郷(美術館、工芸センター、柿衞文庫など)・商工会議所・消費生活センター・コミュニティ放送局「FM いたみ」が入居する「産業・情報センター」や、ボランティア・NPO 活動などの市民活動を支援する「市立市民まちづくりプラザ」などの都市機能が集積しています。

事業概要

 2010年5月に兵庫県伊丹市で第2回目の「伊丹まちなかバル」が開催されました。5枚綴りのチケットを購入し、まちなかにある飲食店5店を歩き回るツアーです。1人でも多くの人に伊丹の飲食店を知ってもらい、店とお客さん、お客さんとお客さんの会話から交流が進み、そしてまちなかを回遊することにより店と店の繋がりもできてくることを狙う一石三鳥のイベントです。「バル」とはスペイン語、英語では「バー」を意味します。日本では函館市から始まったものです。この日の「バル」には、老若男女、市長も市民も、そして県外からも多くの人が集まり、まちなかを歩いています。この日のために市民ボランティアの方々が一生懸命集めた80店が紹介されているマップを片手に「次はどこの店にしようか」とみんな楽しそうに歩いています。

 「バル」当日の午後4時の伊丹商工会議所の会議室。正午から始まったバルの裏側で、伊丹まちなかバルの取り組みについて語る市役所のスーパー職員と市民のスーパーボランティアの話しに熱心に耳を傾ける30人ほどの集団がいました。この日のためにわざわざ滋賀県守山市と和歌山県田辺市から来た中心市街地活性化に取り組む市民のグループです。市役所や商工会議所の職員も参加しています。地元でのバルの開催を決めて先輩伊丹の取り組みを聞きに来たのです。すでにバルに参加しほろ酔いで少し赤い顔をしている輩もいますが、地元でのバルの成功に向けてその顔つきは真剣そのものです。

 9月19日にも、過去最大の82店舗が参加による第3回目の「伊丹まちなかバル」が開催され、大いなる賑わいを見せました。「バル」としては恐らく日本最大と思われます。市民参加型のこのイベントは、知り合いが知り合いを呼び参加者も毎回増加しています。第4回目もどのくらいの参加者が集まるか今から楽しみです。

第2回伊丹まちなかバルの風景

支援策

第3回伊丹まちなかバルの案内

 このイベントは、多くの方々に伊丹のまちを歩いてもらい、まちや個店の魅力を肌で感じ、ここで住む・働く人たちと交流することで伊丹を好きになってもらうことを目的に取り組んでおり、結果、中心市街地の活性化、商業の活性化に繋がっています。また、行政や中心市街地活性化協議会は、運営にあたっての意見調整など組織がもつ得意分野で積極的に協力することにより実行性を高めています。

 また、補助金に頼らない継続性のあるイベントを目指しており、成功事例のひとつであると言えます。

取り組みの効果

 同イベントの開催には、商店街・商店主、民間企業、市民団体・個人、商工会議所、まちづくり会社、行政など多くの組織・関係者が参画しており、まさに市をあげての市民参加型のイベントといえます。

また、このイベントの運営者として、お客をもてなす側として、あるいはお客として参画することにより伊丹の良さを再認識し、まちづくりに興味を示す人が増えており、まちづくりに携わる人材の育成・拡大の場にも繋がっています。

さらに、この取組みは伊丹市に留まらず近畿圏内に波及しており、滋賀県守山市では通年実施しているイベントにあわせて既に実施されており、10月16日に奈良県奈良市、11月6日に和歌山県田辺市でも開催が予定されています。

今後の課題

 商業活性化の取組みとして、全国で脚光をあびている100円商店街を実施する商店街も出てきており、活性化の取り組みはますます勢いを増しています。その一方で、市街地の空き店舗対策は進んでおらず、今後の重要課題と捉えています。

関係者の声・まちの声

 伊丹まちなかバルに参加するお店の若手従業員の方にお話を伺う中で、「バルの活動を通じ、この土地に愛着を感じ、活性化に向けた熱い議論を交わす中で、自身の活動に自信や誇りを持っている人が増えてきている。このような人達をいかに増やしていくかが活性化の鍵だ。」と力強く語っておられたことが印象的でした。