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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

ハード整備とソフト事業の相乗効果を図るには(後編)-ハード事業に彩りを加えるソフト事業の展開-(株式会社まちづくり藤枝)2

1.スタッフの強みを活かした事業運営

参考)「て~しゃばストリート105」告知ポスター

まちづくり藤枝は、代表取締役専務の栃本 英雄 氏を始め、正社員2名、パート3名(うち2名は駐輪場担当)で構成されています。栃本氏が醸し出す明るい雰囲気のもと、まちづくり藤枝は中心市街地活性化に日々邁進しています。まちづくり藤枝の人材配置は、スタッフの得意分野を基準に決められています。具体的には、不動産や建築のノウハウを持つスタッフやイベント企画・運営を得意とするスタッフ、デザインセンスに優れたスタッフなど、それぞれが自分の持ち味をまちづくりに活かしています。例えば、先述の「て~しゃばストリート105」開催のためには170団体を越える多様な参加団体の確保や調整などを行うプロデュース役が必要になります。また市民に対して来場を促す際にはハイセンスなポスターやホームページでの告知などの販促物を手掛けるデザイナーも必要です。これらのイベントプロデュースや販促物デザインをイベント会社やデザイナーに委託することなく、スタッフのスキルを活かして行っています。

2.女性の力の活用

まちづくり藤枝のスタッフの特徴の一つに女性が多いことが挙げられます。女性ならではの視点を活かしたイベントも盛んです。具体例として、BiVi藤枝内の映画館、藤枝シネ・プレーゴと連携したイベント、「ママシネマ」があります。これは3歳までの子供を持つ母親に映画を楽しんでいただくイベントです。参加者全員が子連れで映画館に来ることで、周囲に気兼ねなく映画を楽しむことができます。会場にはミルクを作るためのお湯の用意や、泣いた赤ちゃんをあやしながら映画を見るスペースを設置するなど、母親への細かい気遣いが感じられます。加えて、このイベントは平日の昼間に行われます。ベビーカーを押す母親にとっても比較的人通りの多い週末を避けることで気軽に来館できる仕組みになっています。また、平日昼間は、映画館の閑散する時間帯であり、閑散時間の売上向上につながっています。

この他に、母親に対するイベントに「子育てママの自分磨き」があります。これは子育てに忙しい母親に一息ついていただくための、ランチやフィットネス、ネイルが楽しめる中心市街地のミニツアーイベントです。具体的には、託児所と連携し子供を預けられるようにし、その間、母親はランチやフィットネスを楽しむことができます。ランチやフィットネスなどは、駅周辺の個店を活用するので、中心市街地活性化にもつながります。  これらのイベントは告知後すぐに満員になるなど人気の高いものになっています。イベントのターゲットに対し、女性ならではの視点を盛り込んだ結果といえます。

参考)ママシネマの様子

3.イベントのブラッシュアップ

参考)まちづくり藤枝はイベントを行うごとにアンケートを取り次回に反映している

多様で効果的なイベントを展開するまちづくり藤枝ですが、すべてのイベントが最初から上手くいっていたわけではありません。例えば、「て~しゃばストリート105」は主に9~11月の第2・第4の土・日曜日に開催されていました。その中には、内容が洗練されておらず集客が難しい時もあり、「うるさい!!道路を通行止めにしてまでやることか。」と苦情が出たこともありました。しかし、まちづくり藤枝はイベントごとに参加者に意見を求めることや、アンケートを取るなどでニーズを反映させ、イベントのブラッシュアップを図りました。

(参考)
平成24年度に「て~しゃばストリート105」の経済波及の調査・分析を行ったところ、イベントを実施した10日間(指定土・日曜日)で約1億2千万円の効果があり、そのうち約6割が周辺店舗等に経済波及があったことが判明しました。

イベントが洗練された結果、積極的に「イベントに参加したい」という市民が多くなり、大きく発展してきました。さらに、「イベント自体を主催したい」という民間事業者を創出するまでに至りました。つまり、まちづくり藤枝のイベント業務が、民間事業者と分担できるようになり、イベント回数増加に耐えられる体制が構築されてきたということです。