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『東北地域中心市街地および商店街関連セミナー~まちの人材育成編~』が開催されました②
2021年11月11日~12日、青森県八戸市で『東北地域中心市街地および商店街関連セミナー~まちの人材育成編~』(東北経済産業局・中小機構共催 以下 セミナー)が行われました。
開催報告②では1日目のグループ討議から、2日目の様子をレポートします。
セミナー次第
- 1日目
- ■挨拶
■パネルディスカッション
■商店街等と連携した民間事業者の取組紹介
■グループ討議
- 2日目
- ■講演 八戸市中心市街地活性化について
■八戸市中心市街地視察
■協同組合八食センター取組紹介及び視察
1日目後半:グループ討議
前半事例発表のパネリストがリーダーを務め、事前のアンケートに基づいて分けられた4つのグループに分かれ、テーマ別に討議しました。
ワークショップ発表
【グループA】若手グループ
テーマ
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『ヨコニワ』妄想図づくりで学ぶ、まちなか空地利活用とプロジェクト企画のイロハ
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リーダー
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伊藤大海氏(中心市街地活性化協議会支援センター/前大分県竹田市タウンマネージャー)
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メンバー
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まちづくり関連の業務経験5年以内の35歳未満の若手
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概要
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八戸中心市街地の人気広場「マチニワ」に隣接する空き地「ヨコニワ」をソフト的に柔軟に利活用していくことが課題となっています。グループで「ヨコニワ妄想図」づくりをしながら、まちなか空地の利活用とプロジェクト企画のポイントを学んでいき、提案を行う。
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「マチニワ」に隣接する場所に、空き地になっている通称「ヨコニワ」があります。このエリアには「八戸ポータルミュージアムはっち」やみろく横丁等の集客核があり、今後エリアの活力を維持して行くため、「ヨコニワ」をどう使うべきか、若手の柔軟な発想でアイデアを作るため2班に分かれてワークショップを行いました。
また、新しい試みとして、八戸市の職員でもある石木田誠氏がグラフィックレコーディング(※)でビジュアル化しながらイメージを共有しました。
※グラフィックレコーディング
議論や対話などを絵や図などのグラフィックに可視化して記録していくファシリテーションの手法。会議の内容を一つの絵として見せることで関係性や構造が直感的にわかり、全体を俯瞰できるため、参加者の認識が合わせやすくなるというメリットがあります。
ワークショップでは例えば、八戸市民が協働して「ヨコニワ」を芝生スペースに整備することでまちへの思いを高めるアイデア、レンガを活用したおしゃれな空間を作り「レンタルヨコニワ」としてキッチンカーやチャレンジショップ等の事業展開を行う場所と活用するアイデアや、隣接する飲食店の壁にボルダリングブロックを配置して健康づくりに役立てるアイデアなどが出されました。また、グラフィックレコーディングでビジュアル化することで付箋の文字のみではない更なるイメージの発展により、さまざまな意見が飛び交いました。
なお、今回のアイデアを受けて、株式会社まちづくり八戸ではヨコニワの活用方法を具体的に検討していく予定です。
【グループB】小規模都市グループ
テーマ
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まちづくり会社(法人)をどう経営するのか?課題の整理と解決のヒントを見つけよう!
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リーダー
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古川直文氏(株式会社楽市白河/福島県白河市)
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メンバー
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人口10万人未満の小規模都市でまちづくりに携わる方やこれからまちづくり会社設立を検討している方。
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概要
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大小規模に関わらず、まちづくりを継続して行う環境は厳しい状況にある。中でも小規模都市の場合、人材不足や財政面等の問題を抱えている場合が多い。そういったお互いの地域の課題を整理しながら、情報の交換を行い、解決のヒントを見つけ出す機会にする。
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楽市白河では不動産業を始めさまざまな事業を行っており、新型コロナ禍にあっても安定した経営を実現しています。分科会では楽市白河の取り組みやそのポイントについての事例を講師が紹介した後、受講生がお互いの地域のまちづくり会社の課題(人材・組織行政との関係作り等)について意見交換を行いました。
例えば人材・組織の面でいうと、まちづくり人材や地域の後継者問題、若い世代と交流していくための工夫について話題が上がりました。
震災以降、各地域で志を持って活動する学生や若い方が増えています。例えば、後継者不足も含めた人材不足に対しては、まちに対する「想い」等を地域内で伝えていくことで人材にアピールしつつ交流していくアイデアもありました。
行政との関係作りについていえば、白河市ではまちづくり会社と行政が連携しあい、意識して動きを作りながら民間事業者を巻き込みつつ事業に取り組んでいるのが特徴です。また、効果的な連携にしていくためにはまずはまちづくり会社と行政が「実際に会って話す機会を多く持つこと」という対話の重要性が挙げられました。
また、収益事業を作ることやまちづくり組織が人材を育成していくことも関心の高い課題です。当グループでは、それらに取り組むためにはまず「覚悟を決めて動き出す」こと、小さい事業から始めて成功体験を作っていくことが大切であるということが共通見解としてまとまりました。さらに、動き出したまちづくり組織が収益事業を作れるまで、行政が支援して行くことにより持続的なまちづくりが可能となる、とまとめました。
【グループC】中堅&マネージャーグループ
テーマ
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ライバルから学ぼう、まちを動かす『巻き込み力』
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リーダー
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苅谷智大氏(株式会社街づくりまんぼう/宮城県石巻市)
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メンバー
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まちづくり関連の業務経験10年程度の方。
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概要
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商店街振興は専門の人材が関わるだけでなく、地域内の様々な分野とつながることで課題解決や発展することが多々あるため、そのような地域の潜在的な人材を発掘・連携し、巻き込むためのノウハウやスキルを共有することで、手法を明確にする。
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当グループのワークショップでは、まず各自が現場で抱えている課題を洗い出すことから始め、リーダーの苅谷氏が準備した「まちづくり人材虎の巻を作ろう」というワークシートを埋めていきました。ワークシートでは「目指したいまちの姿」をあらかじめ定めていき、それを実現するための人材像(どんなスキルを持ち、どこに所属し、どのような経歴を持っているか等)を深掘りし、欲しい人材を見える化していきます。
さらに、自身が持っている人的ネットワークを6名挙げ、職業・属性・スキルだけでなく、すぐ相談できる近い人なのかどうかも含めて見える化し、自身がやりたいことに対して必要な人材は足りているか、足りないなら何が足りないかを書き出します。グループでは参加者がそれぞれ時間をかけてワークシートを検討していきました。このワークにより、参加者各々の「弱点」が明らかになる結果となりました。今後、活性化事業を進めていくうえでの人材の巻き込みなど、どのような戦略を行っていけばいいか、見える化が出来ました。
【グループD】商店街及び公的機関グループ
テーマ
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まちづくり組織の経営課題としての人材育成
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リーダー
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下田孝志氏(山形まちづくり株式会社/山形県山形市)
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メンバー
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商店街等の振興に密接に関わる行政職・支援機関等の方等。
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概要
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まちづくり会社や商店街などまちづくり組織の人材育成については、人材へ投資する考え方や環境(財政や雇用など)が見過ごされていることが多い。そういったまちづくり組織の経営面にも目を向けつつ、まちづくり組織における共通課題としての人材育成のあり方や、その意味を考える。
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当グループの参加者は自治体や支援機関の担当者が多いことから、主に支援する立場からまちづくり組織の経営課題である「人材育成」について討議しました。
リーダーからのレクチャーとディスカッションから、まちづくり会社はこれまでのように「こういう人材が欲しい」「こういう人がいると良い」など、外部の人材や商店主等のボランティアに期待をするのではなく、まずは組織自体が「まちづくり人材を育成する」ことに考えをシフトする必要があることが共有されました。そのうえでまちづくり組織が人材育成を経営課題として捉えることが重要であり、まちづくり人材を育成して増やすためには財源をしっかり考えていく必要があることについてもまた、共通認識となりました。
「まちづくり会社が財源を作ること」についてさらに討議を進めましたが、参加者はそれがいかに難しいかという壁に直面しました。これまでのまちづくりと違い、ボランティアではなく「まちづくりを本業としている人」を作っていくことが、持続性のある組織をつくり、まちの活性化につながるのだということを考える機会となりました。
≪セミナー2日目≫
講演『八戸市中心市街地活性化について』
2日目は、「八戸ポータルミュージアムはっち」にて、『八戸市中心市街地活性化について』と題して八戸市の中心市街地におけるこれまでの取組みについて講演が行われました。
講演者の柳沢拓哉氏(株式会社まちづくり八戸)は「八戸ポータルミュージアムはっち」の準備、立ち上げ時より企画立案職を11年間務めており、地域資源を活用することを意識し商店街との連携事業等に取り組んでいます。
来場者は昨年度作成した八戸市中心街PR動画【湯気と中心街】予告編を視聴した後、柳沢氏より3期にわたる取組みを聴講しました。
八戸市中心街PR動画【湯気と中心街】予告編 別ウィンドウで開きます
(八戸市の中心市街地活性化の取組みの詳細は、事例紹介に掲載しています)
八戸市 中心市街地視察
講演後は、1日目のワークショップのグループに分かれて八戸市の中心市街地を視察しました。多目的な市民活動拠点『八戸ポータルミュージアムはっち』、市営の書店『八戸ブックセンター』、全天候型広場『八戸まちなか広場マチニワ』、令和3年11月3日にオープンした『八戸市美術館』など、八戸市中心市街地活性化事業として実現した施設などをまちづくり会社スタッフの案内を受けながら見学し、参加者は理解を深めました。
協同組合八食センター取組紹介及び視察(任意参加)
八戸市中心市街地視察の後、参加者は中心市街地から移動。地域の食を支え、観光集客拠点でもある八食センター(協同組合八食センター)を訪れました。
八食センターは1980年にオープンした市場です。全長170メートルに約60店舗が並び、新鮮な魚介類、青果、精肉、乾物や珍味、お菓子等、八戸の名物が多く揃っています。
参加者は八食センター事務局の松橋寛氏より、補助金を活用し従来の市場機能に新たな価値を付け加えた事業について説明を受けました。その後、紹介された事例の一つである『くりやランド』(2階にある子ども向けの遊び場)の視察や、八食センター内の視察を行いました。