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中心市街地活性化協議会支援センター

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『令和4年度第2回東北地域中心市街地及び商店街関連セミナー』レポート①

 2023年2月16日~17日、山形県山形市で『令和4年度第2回東北地域中心市街地および商店街関連セミナー』(東北経済産業局・中小機構共催)が開催されました。
 2日間にわたり基調講演、グループ討議、事例発表や視察など盛りだくさんの内容で行われ、東北エリアを中心に22地域から49名の参加者が集いました。本セミナーの様子を2回に分けてレポートします。レポート①では、基調講演(別稿)とグループ討議についてご紹介します。

<セミナー次第>
(1日目) 
 ■開会挨拶
 ■支援制度説明 東北経済産業局、中小機構まちづくり推進室
 ■基調講演 一般社団法人多治見市観光協会(たじみDMO) COO 小口英二氏
 ■グループ討議
(2日目)  
 ■グループ討議結果発表
 ■事例発表ⅰ 山形市商工観光部山形ブランド推進課 街なか・商業グループリーダー 池野晃央氏
 ■事例発表ⅱ 七日町御殿堰開発株式会社 代表取締役 結城康三氏
 ■現地視察
  • 会場の様子
  • グループ討議の様子

<レポート①の目次>

1.セミナー趣旨

2.「TMOからDMO 多治見モデルの公民連携まちづくり」

3.グループ討議

※各目次をクリックすると、それぞれの記事にジャンプします。


1.セミナー趣旨

 本セミナーは、東北エリアにおいて中心市街地や商店街の活性化に取り組む各地域が、効率的かつ効果的に事業を展開し、持続可能なまちづくりを進めていくためのきっかけづくりとして、令和3年度より継続して開催しています。
 地域全体でまちづくりを検討する体制構築への足掛かりとするため、まちづくり会社、自治体や支援機関の担当者、まちづくりコーディネーター等のネットワークや連携を強化し、課題解決のためのノウハウ共有と向上、まちづくり人材のスキルアップを図ることが目的です。
 開会にあたり、主催者の東北経済産業局産業部 商業・流通サービス産業課長の伊藤ひろみ氏より、挨拶とともにセミナーの趣旨、目的について説明がありました。
 また、開催地である山形市を代表し、商工観光部山形ブランド推進課次長(兼)課長の高橋大氏より挨拶がありました。

  • 東北経済産業局
    伊藤ひろみ氏
  • 山形市
    高橋 大氏

(支援制度紹介)

 続いて、東北経済産業局産業部 商業・流通サービス産業課の安倍優香氏より、経済産業省の中心市街地活性化等支援事業として、「地域商業機能複合化推進事業」「面的地域価値の向上・消費創出事業」の説明がありました。

(外部リンク)地域商業機能複合化推進事業 別ウィンドウで開きます

(外部リンク)面的地域価値の向上・消費創出事業 別ウィンドウで開きます

  
 また、中小機構まちづくり推進室の志田竜彦室長代理より、中小機構のまちづくり支援制度として、「セミナー・勉強会の講師派遣」、「アドバイザーの派遣」、「プロジェクトチームの派遣」、「専門員等の巡回支援」、「中心市街地活性化協議会支援センター」の紹介がありました。

(外部リンク)中小機構 支援策パンフレット 別ウィンドウでpdfファイルを開きます

  • 東北経済産業局
    安倍優香氏
  • 中小機構
    志田竜彦氏

2.基調講演「TMOからDMO 多治見モデルの公民連携まちづくり」

 岐阜県多治見市の一般社団法人多治見市観光協会(愛称:たじみDMO) COO小口英二氏より、「TMOからDMO 多治見モデルの公民連携まちづくり」と題して基調講演がありました。
 たじみDMOは、2022年4月に多治見まちづくり株式会社(中心市街地活性化)と多治見市観光協会、株式会社華柳(まちなか観光)の3者が統合した、中心市街地の活性化と観光・産業の振興を目的に観光地域づくりを行う、新しい形のまちづくり組織です。
 小口氏は、多治見まちづくり株式会社の代表取締役として中心市街地活性化事業に取り組んできました。たじみDMOではCOO(最高執行責任者)として、引き続き商店街等の活性化を目的としたカフェや複合施設等の収益事業のほか、観光の情報発信強化を手掛け、また組織体制の強化にも取り組んでいます。
 多治見市においてまちづくり団体が統合された背景や目的、事業体制、統合に際しての工夫、統合した組織ならではの強み等について、講演いただきました。

  • たじみDMO COO 小口 英二氏
  • 基調講演の様子

※基調講演の詳細は、事例として別稿でご紹介しています。


3.グループ討議

 当セミナーでは、参加者が抱える地域課題の解決のための、ノウハウ共有やスキルアップを目的として、テーマ別に少人数に分かれてまちづくりについて話し合うグループ討議を実施しました。
 テーマ別の5つのグループに、まちづくり支援の専門家や先進地の実務家をグループリーダーとして、参加者は地域課題や関心あるテーマのグループに分かれて討議を行いました。

(各グループリーダー)50音順
・伊藤 大海氏/中小機構 中小企業アドバイザー
・苅谷 智大氏/株式会社街づくりまんぼう 街づくり事業部長
・下田 孝志氏/山形まちづくり株式会社 常務取締役
・古川 直文氏/株式会社楽市白河 常勤取締役
・柳沢 拓哉氏/株式会社まちづくり八戸 
 <グループごとのテーマ>
グループ
リーダー
テーマ
A
下田 孝志氏
まちづくり会社における事業化のステップとポイント
B
柳沢 拓哉氏
まちづくりにおける地域資源の発掘方法と活かし方
C
苅谷 智大氏
地元民?観光客?新たな商店街のターゲットの定め方とまちづくりの進め方
D
古川 直文氏
まちづくり会社は必要なのか?課題・問題は何かを見つけ出しヒントをつかむ
E
伊藤 大海氏
とある地域を題材にした「妄想近未来地図づくり」ワークショップを学ぶ

Aグループ <まちづくり会社における事業化のステップとポイント> 

 山形まちづくり(株)の事例をもとに、事業化のステップとポイントを討議しました。持続的なまちづくりを行うには、まちづくり組織が自主財源を確保しながら地域をマネジメントすることが求められます。事業化する上で重要なのは、「何をやるか」ではなく、「何のためにやるか」「なぜやるのか」という意識です。また、主な事業の種類として、地域課題から考える「課題解決型」と地域に必要な事業を考える「価値提案型」がありますが、今回は後者に重点を置いて討議しました。討議では、地域に必要な事業に取り組む中で、その地域の課題も解決できていくのではないかという考えが導かれました。
 また、参加者ごとの個別ワークを実施し、顕在化されていない地域の魅力や強みを如何に事業に組み入れるかを考えました。目指すべき地域(まち)の姿を描き、これから自分の地域をどうしていきたいのか。地域のありたい姿を実現する事業を自分事として企画し、当該事業を実施することで、地域にどのような波及効果をもたらすか、どのように収益化を図るかを考えました。

  • 討議の様子
  • 個別ワークの様子
  • 発表の様子

Bグループ <まちづくりにおける地域資源の発掘方法と活かし方> 

 まちづくり事業の初動期やトライアル企画等における地域資源の発掘方法や活かし方、地域資源を基にした事業企画の立て方の事例紹介と事業化の検討を通じて、今後のまちづくりに必要なポイントや手法を考えました。
 参加者は自地域の課題を可視化する「まちの課題抽出ワークシート」を事前に準備して討議に臨みました。討議では、(株)まちづくり八戸の事例を参考にしながら、参加者同士で自地域の強みや弱みを共有し合い、それらの活かし方を検討しました。
 まちの特徴を可視化し、他地域と共有することで新たな視点で自地域を見直すことができます。視点を変えると、まちの課題を強みに変えることができるという考え方、施設単体で完結せずに、回遊性の向上や、他の施設や取組みと連動させる工夫を学びました。
 中心市街地が、新しい情報や価値観との出会いを楽しめる場であり続けられるよう、小さくても事業を積み重ねながら、情報発信等の取組みを継続することが大切であるという考えを得ました。

  • 討議の様子
  • 討議の様子
  • 発表の様子

Cグループ <地元民?観光客?新たな商店街のターゲットの定め方とまちづくりの進め方>

 観光客を新たなターゲットとして、歴史等の資源を活かした観光まちづくりが各地で進められています。一方で、商店街のターゲットがすべて観光客となるわけではなく、またターゲットの切り替えが簡単に進まない状況もあります。参加者の実体験や事例をもとに、商店街の業種転換を進めていくためのポイントについて考えました。
 宮城県石巻市における取組事例を共有し、地域資源の磨き上げや取組みを後押しする体制をどのように作るか、各参加者の地域について考えながら討議を行いました。また、観光客とは誰を想定しているのか、地元のニーズとは具体的にどういったものか等、改めて自分たちのまちをリサーチするワークを行いました。
 人との繋がり、そこでしか買えない物・そこでしか出来ない体験など、市民や観光客のニーズを明確にすること。何に取り組むのかを定めてから、そのために必要なデータを商店街等の協力を得て収集する必要があるという考えを学びました。

  • 討議の様子
  • まとめ
  • 発表の様子

Dグループ <まちづくり会社は必要なのか?課題・問題は何かを見つけ出しヒントをつかむ> 

 「地域でまちづくり会社が立ち上がらないのはなぜか?」「まちづくり会社がうまく運営されていないのはなぜか?」というテーマを掲げました。(株)楽市白河における取組事例を参考にしながら、各参加者の地域における課題を共有しました。そのうえで、地域の課題や問題点を明確化し、今後どのような対策が必要か、課題の解決策について討議を行いました。
 まちづくり会社の役割は、まちの中で儲かる仕組みを作り、先導する姿を見せることです。「まちづくりは儲かる」ことを事業者に気付かせることができると、自ずとまちへの投資が生まれます。
 一方、行政に期待する役割は、国や銀行等への制度面・資金面に関する働き掛けなど、まちづくり会社単独では交渉が難しい部分を支えること等が挙げられました。特にまちづくり会社が軌道に乗る前の最も苦しい時期にこそ行政からの支援が求められる、といった意見が上がりました。

  • 討議の様子
  • 討議の様子
  • 発表の様子

Eグループ <とある地域を題材にした「妄想近未来地図づくり」ワークショップを学ぶ>

 福島県白河市では、中小機構の支援制度を活用して、同市の本町北裏エリアを集中的に魅力化する取組みを進めています。このエリアを題材にした「妄想近未来地図づくり」ワークショップでは、各自がアイデアを出し合い、図面へ書き込んで未来のまちを可視化しています。
 目の前の課題だけに捉われず、エリアの目指すビジョンやイメージを持って取り組むこと、プレイヤーを巻き込んでいくことは、限られた資源を活かして地域を魅力化し、商業者等の事業環境づくりに繋げていくうえで有効です。
 参加者は、ビジョンをもとにした活性化策の展開の考え方、エリアマネジメントの必要性及びワークショップの方法を実体験しました。また、制約や実現性を考慮しない「妄想アイデア」から考え始めることで、より魅力的な計画の実現へ繋がることを学びました。
 どの参加者も熱心に取り組み、「ワークショップの概念が変わった」「自分の地域でもやってみたい」といった前向きな声が聞かれました。

  • 討議の様子
  • ワークショップ
  • 発表の様子

 本セミナー報告2回目のレポート②では、山形市商工観光部山形ブランド推進課及び七日町御殿堰開発株式会社の事例発表についてご紹介します。