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中心市街地活性化協議会支援センター

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令和7年度中国地域交流会「まちづくり交流会~稼げるまちづくりのためには~」レポート

 2025年12月2日(火)、山口県下関市において令和7年度の中国地域交流会を開催しました。
 「まちづくり交流会~稼げるまちづくりのためには~」というテーマを掲げ、開催地である下関の唐戸商店街の散策と取組紹介・基調講演・グループディスカッションという内容でした。41名の参加者が集まり、活気あふれる雰囲気の中で行われました。

 主催:経済産業省 中国経済産業局
 共催:独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)


会場の様子
会場の様子

目次

1.唐戸商店街の散策・一般社団法人からまちの取組紹介

2.基調講演

3.グループディスカッション

※各目次をクリックすると、それぞれの記事にジャンプします。

 【プログラム】 
12/2 1.唐戸商店街の散策・一般社団法人からまちの取組紹介 14:05~15:05
 一般社団法人からまち 副代表理事 梶原 康弘 氏

2.基調講演 15:15~16:15
「地方の商店街で一体何が起きているのか」
 富士山まちづくり株式会社 代表取締役 佐野 荘一 氏

3.グループディスカッション 16:25~17:55
 【ファシリテーター】
 富士山まちづくり株式会社 代表取締役 佐野 荘一 氏
 株式会社まちづくり三原 統括マネージャー 泉 太貴 氏
 株式会社まちあい徳山 代表取締役 河村 啓太郎 氏 
 株式会社まるにわ 代表取締役 齋藤 浩文 氏
 株式会社umika 代表取締役 谷田 恭平 氏


1.唐戸商店街の散策・一般社団法人からまちの取組紹介

 一般社団法人からまち 副代表理事 梶原 康弘 氏 

 山口県下関市の唐戸商店街は、関門海峡に近い商店街で、約200店舗が集まる地域の中心的エリアです。ドーム型アーケードが特徴で、周辺には唐戸市場や海響館、カモンワーフ等主要観光地が点在します。空き店舗増加による衰退が進んでいましたが、一般社団法人からまちによる活性化に向けた取り組みが評価され、「地域にかがやく わがまち商店街表彰2024」(主催:中小企業庁)に選定されました。

 一般社団法人からまちの梶原さんの先導のもと唐戸商店街の散策をした後、梶原さんから取り組みの紹介をいただきました。

  • 唐戸商店街 散策の様子
  • 唐戸商店街 散策の様子
  • 唐戸商店街 散策の様子
    唐戸商店街 散策の様子

登壇する梶原さん
登壇する梶原さん

 唐戸商店街の再生のきっかけは、複数の商店街組織の一体化でした。協同組合唐戸商店会と赤間本通り振興組合の2つに集約するとともに、一般社団法人からまちが設立され、取り組みの中心として活動しています。

 現在の取り組みとして、まず老朽化したアーケードの撤去と道路整備が挙げられます。解体費用は、道路整備に伴う道路上構造物の撤去にかかる迷惑料的な位置づけで3分の2を公費から支出し、残りの3分の1を商店街費で賄っているとのことです。商店街の収入源は会費のみで、来年度から8000円に値上げするとのこと。会員が「会費を払うメリット」を感じる取り組みが必要と考えているそうです。その1つが商店街内のゴミ収集費で、まとめて出すことで費用を抑えているとのことです。

 次に、賑わい作りとして、商店街内で行う夜市や、商工会議所と協力して実施するスタンプラリー等が紹介されました。夜市は現在約70店舗が出店しているそうで、将来的に100店舗まで拡大したいとのことです。商店街会員は割引価格で出店が可能で、このことも会費のメリットになっているそうです。

 創業者支援として、青年部を中心に作られた「唐戸はれて横丁」が紹介されました。若い創業希望者にチャレンジショップとして出店してもらうそうです。商店街内での新規開業や活動への参加にもつながっているとのことです。

  • 唐戸はれて横丁の様子と、出店者募集の張り紙等
  • 唐戸はれて横丁の様子と、出店者募集の張り紙等
  • 唐戸はれて横丁の様子と、出店者募集の張り紙等
    唐戸はれて横丁の様子と、出店者募集の張り紙等

 「唐戸のまちの成功事例が他の地域に横展開していけばよいと思う、50年先のまちのことが考えられる若い方の意見をもっと活かしたい」と、梶原さんは話されました。

 一般社団法人からまちは、2024年に都市再生推進法人、地域再生推進法人の指定を受けたとのこと。「この2つの指定をきっかけに、一層活動の幅を広げていきたい。民間ならではのスピード感を活かした積極的な取り組みの姿勢がまちづくりには必要」と結びました。


2.基調講演 「地方の商店街で一体何が起きているのか」

 富士山まちづくり株式会社 代表取締役 佐野 荘一 氏

登壇する佐野さん
登壇する佐野さん

 静岡県富士市は、富士山南麓にある駿河湾に面する工業都市です。「富士本町商店街」があるJR富士駅周辺地区と、旧東海道が通る「吉原商店街」がある吉原地区の2地区に、中心市街地が形成されています。このため、まちの中心が分かりにくいという市民の声も聞かれるそうです。
 なかでも吉原商店街の再生に取り組んでいるのが富士山まちづくり株式会社です。廃ビル等、商店街内の遊休不動産のリノベーションを軸に、1960年代に建築された防火建築街区の建物を「壊さず、使って活かす」取り組みを進めています。象徴的な例が1962年築の廃ビルを複合施設として再生した「マルイチビル」で、吉原商店街における遊休不動産活用の先駆けになったとのことです。

 商店街は30年ほど前から衰退が進み、賑わい作りのためにイベントを開催しても、当日だけ賑わって他の日は閑散とした状態に戻るようなことが続いていたそうです。そこで佐野さんはNPO法人を立ち上げ、シャッターアートや高校生の部活によるチャレンジショップ等を展開したとのことです。NPO法人では市民活動センターの指定管理も担い、利用者が増え、やがて商店街内で多様な相談が寄せられるようになったそうです。その後に現在の会社を設立し、民間だからこそできる実験的な取り組み——立体駐車場での宿泊イベントや、タワーパーキングへのプロジェクションマッピング、廃ビルを巡るツアー等を次々と支援し実施してきたとのことです。

 「マルイチビル」は600万円で購入し、3000万円を投じてリノベーションをした」とのこと。資金も人も足りない中、大学生インターンや「モルタルを削るワークショップ」等で費用や人手を工夫して確保したそうです。空きビルで活動したいアート関係者にも場を提供し、月額40万円の収入を見込み10年償還の計画でした。その後「沢田ビル」等の空きビルのリノベーションを次々と行っていきました。

 事業では少人数私募債を活用した資金調達も行い、またMINTO機構と地元金融機関の連携によって誕生した「ふじのふもとまちづくりファンド」からの投資も受けているそうです。
 最近の取り組みとしては、2024年、吉原商店街内に「ARCADE HOTEL(アーケードホテル)」を開業したとのことです。

 関連のNPO法人が継続する事業に「ふじソーシャルビジネス支援ネット」もあります。金融機関や商工会議所等と連携し、ソーシャルビジネスの創業・開業を支援する取り組みです。起業相談や事業化への伴走、まちなかで活動したい人への支援体制づくりを進めており、地域の課題解決型ビジネスを後押ししているとのことです。

 マルイチビル完成から10年が経ち、周辺では148件もの新規出店が確認され、新しい人がまちに入ってきているそうです。「持続可能なエリアマネジメントにおいては、行政に依存することなく、民間が主導すること。事業者=住民のように外から来た人が働き、活動できるまちを目指すことが大切」と話し、「まちの関係人口を根付かせるために、無理にまちが一丸となる必要はない。各々が好きなことに取り組んでいくことの積み重ねがまちを創る」と結びました。


3.グループディスカッション 

 グループディスカッションでは、参加者が5つのグループに分かれ、各地でまちづくりに取り組む方がファシリテーターとして入り、事例を交えながらすすめました。ディスカッションの最後には、各グループからのまとめが発表されました。

Aグループ 富士山まちづくり株式会社 代表取締役 佐野 荘一 氏
Bグループ 株式会社まちづくり三原 統括マネージャー 泉 太貴 氏
Cグループ 株式会社まちあい徳山 代表取締役 河村 啓太郎 氏 
Dグループ 株式会社まるにわ 代表取締役 齋藤 浩文 氏
Eグループ 株式会社umika 代表取締役 谷田 恭平 氏
 
 
グループディスカッションの様子
グループディスカッションの様子

【Aグループ:若者の参画】
 「若者がまちから出ていくこと」と「若者をまちづくりに巻き込むこと」は考え方が異なるとし、まちづくりの視点では、若者をプレイヤーとして巻き込むことが重要としました。巻き込みのポイントとして「若者の活動を邪魔しない」「地域のため等の大義を意識し過ぎない」「好きなことをやってもらう」等が挙げられました。そして、活動する若者を、地域で歴史を背負っているような人(地域の有力者等)が後ろ盾となる等して、若者が自由に動ける環境を整えることが大切としました。

【Bグループ:地域の合意形成】
 そもそも合意形成が必要か、ということから考えることが大切としました。その上で、商店街では、一人ひとりの話を聞く等して丁寧に合意形成をすることが求められるが、まちづくりの視点では、個々のプレイヤーの活動での合意形成が不要なこともあるとしました。また、合意形成の過程において、重要な人物には必ず話を聞いておく、直接顔を見せることが関係構築や理解につながることもある、信頼を得るまでgiveし続けるマインドを持つ、等が重要としました。地域の中で中庸な立場の人(例として地域の住職等)がいれば、積極的に巻き込む方が良いという意見もありました。

【Cグループ:収益源の確保】
 まちや取り組みによって、自主事業やイベント等多様な収益源があるとしました。まちづくりの活動への出資者はまちのなかに埋もれていることもあり、その人たちと接続しているか、接続する努力をしているか、接続できる第三者の協力を得られるか(行政等)等を明確にする必要があるとしました。

【Dグループ:関係人口の創出】
 広島県廿日市市で、市が設置した商店街内の広場の活用について意見が交わされました。行政が、商店街等関係者への説明が不十分ななか設置したことで、広場の活用が思うように進んでいないことが挙げられ、今後は、商店街の内外のプレイヤーや新規出店者等からの話を聞いて取り組みを進め、広場に関わる方を増やしていきたい、とまとめました。

【Eグループ:リノベーションまちづくり】
 行政と民間が、それぞれの活動を認め合うことが大切としました。また、民間事業においては行政の補助金や認証制度があるとよい、行政による賑わい創出のための場づくりが周辺の商店の売上低下につながる場合もある等を挙げ、まち全体のことを考えて取り組む、そのための話合いをきちんと行うことが必要としました。

 最後に、全体を通して佐野さんから総括的なコメントがありました。
 「まちづくりは楽しい」と大きな声で言われた後、まちづくりではさまざまな軋轢が起こるが、あきらめないこと、たたかうこと、笑顔で課題を解決することが大切、としました。「突き詰めれば、皆、好きだからやっていること。好きであることには何もかなわない。これからも楽しんで取り組んでいってほしい」と結びました。