小さな事業から着実にまちに変化を与える(福井県越前市)
実現性の高い計画策定と実施
まちづくり武生は、まちづくりの方向性は歴史的な地域資源の活用であると認識しているものの、具体的に何から始めたらよいか模索していました。そこで、地域資源の活用にあたって課題となることを抽出・整理するため、商店主や住民の意見を集めることにしました。株式会社全国商店街支援センターのトータルプラン作成支援事業を活用し、専門家からアドバイスを受けながら地域課題の解決やまちの活性化に熱心な商店主や住民と半年に渡り20回以上の会合を重ね、まちなか商店街のビジョンや地域資源の活用について協議し商店街活性化プランを策定しました。
以上の会合にあたり、過去の失敗から以上の2点を強く意識しました。また、小さな事業(実現性が高い事業)をすぐに行動に移し積み重ね、小さな変化を多くつくることでまちの雰囲気に変化を与える目的もあったことから、計画実施期間を2016年から2018年の3年と定めました。
- 自分たちが行動主体となる計画を作り、必ず実行する
- 計画実行に充てる時間を確保するため、立派な報告書は不要
- 京町界隈の空き家再生事業(事業実施主体:まちづくり武生)
- 総社通り商店街ファサード等整備事業(事業実施主体:総社通り商店街)
- 総社通り表参道空き家再生事業(事業実施主体:まちづくり武生)
実現性の高い計画を定めたことによる効果
この活性化プラン策定の流れは、まちづくり会社の事業範囲を限定することに繋がりました。事業範囲を限定することで密度の高い支援が可能になるのです。例えば、まちづくり武生が定めた事業のひとつに「にぎわい創出と商業振興を図るための空き家・空き店舗活用」があります。空き家・空き店舗活用においては、下の図にある通り、京町界隈と総社表参道の空き家をターゲットとしました。まちづくり武生は足で空き家・空き店舗情報を稼ぎますが、事業範囲を2つのエリアに絞ったことで、空き家・空き店舗所有者からの理解を得やすくなりました。つまり、対象エリアを絞ったことで、空き家・空き店舗所有者との話し合いが密になり、物件の貸出し許可を得ることや若者が出店しやすい賃料設定を実現することにつながったのです。まちづくり武生は、創業希望者と不動産事業者・物件所有者の間で潤滑剤の役割を果たしています。
さらに、京町界隈の空き家再生事業を考えていく中で、「武生てららプロジェクト」の構想が生まれました。京町界隈は20年以上も前に地域住民が、寺社や町屋が多く落ち着いたまちの景観を守るため建築協定を締結しました。この協定は次第に隣接する街でも締結されてきたことから、それぞれのエリアの特性を生かしながら賑わいや居住につなげる事業を計画的に取り組んでいくことにしました。現在飲食を誘致するエリアとして進めている京町界隈は通り名にちなんで「寺町通り編」として取り組んでいます。