継続的イベント実施を実行する力~埼玉県秩父市 みやのかわ商店街振興組合3
先進的事例について
1.買い物代行と出張商店街
今では広まっている買い物代行サービスも秩父では2007年から始めています。きっかけは、ある障がいを持った方との出会いでした。その方はご飯を買うのに、家からタクシーに乗って介助していただきながらコンビニでお弁当を買う、といった大変なご苦労をされていました。そこで考えたのが買い物代行でした。テレビ番組「ガイアの夜明け」でこの買い物代行を特集するということもあり、みんながやる気になったことも成功した要因と言います。
地元の介護施設などを周り、買い物代行サービスの事業開始案内を行なった中、あるヘルパーから言われたことが新たな事業構想を生み出します。
「あなたは何もわかっていないですね。シニアの方々の楽しみは買い物をすることなんです。」便利だけど利用したいことでないのだと島田会長は理解したそうです。そのような中で生み出された企画が出張商店街楽楽屋です。これは高齢者施設や山間地域など「買い物がしたくてもできない」買い物弱者対策として商店街が丸ごと出張するものです。希望の商品などがあれば事前に連絡いただければ準備するサービスも行なっています。
やりたい人だけがやる、というスタンスではじめた出張商店街。初めて出張した時に、普段買い物が困難な高齢者から声を上げて喜んでいただいたそうです。また、この出張商店街はひとり暮らしの高齢者の見守り機能も担っており、現在も3日に一度行うなど、地域のコミュニティ機能として活動しています。
2.ボランティアバンクおたすけ隊
秩父では人口11万人うちシニア世代が3万人と高齢化が進んでいます。その状況下、島田会長の逆転の発想が事業を生み出します。
高齢化が進んでも秩父には元気なシニアが2万5千人いる。この方々を活用しよう。高齢の方、障がいのある方、子育て中など援助を必要としている人に対し、元気なシニアを派遣する。協力いただいたシニアの方々にはお礼として商品券を進呈するといったボランティアバンクおたすけ隊ができました。この仕組みはまさしく共助の仕組みだと埼玉県知事が共感し、今ではこの仕組みを埼玉県全域で取り組んでいます。
3.コイン型商品券
「なぜ通貨は紙幣もコインもあるのに商品券は紙だけなんだ。」数ある商品券が紙ばかりという疑問を抱いた島田会長。そこで銅の産地という歴史もあり和同開珎というコイン型商品券を作りました。現在400店舗で使用できます。1枚1,000円、加盟店から3%負担、うち2%分を顧客に還元(980円で買える)しています。使用期限はなく、今では年間2億5千万円の流通があります。
その他、触ると運が高まるなどの効果を打ち出した100もの案内板建造物や、大型店のスペースを借りて出店するという大型店との協働“チャレンジ祭り”など、多くの先進的事例を生み出す力は島田会長のリーダーシップと人材育成術、そして遊び心あふれる発想力にあるのだと、取材を通して感じました。