“きらり素敵な街・函館~交流拠点整備で賑わいを創出” 市民、観光客の交流拠点をきっかけに、さらに魅力度が上がる街、はこだて (北海道函館市)2
2.まちの活性化への取組み
(1)まちの現状と課題
函館市の商業集積は、昭和50年代の前半まで「函館駅前・大門地区」と「本町・五稜郭・梁川地区」の二つの商業集積を中心に発展してきましたが、昭和55年に長崎屋とイトーヨーカ堂が美原地区へ進出したことにより、商業集積は大きく3地区で形成されることになりました。その結果、函館市民及び周辺市町村からの買い物客は、主に3エリアの商業集積地に分散され、その影響を受けて函館駅前・大門地区に立地していた和光デパート(昭和43年開業)は、平成9年1月にファッションビルに業態転換、平成25年10月31日に閉鎖となり、さいかデパート(昭和35年開業)は平成10年8月に閉店を余儀なくされました。人口減少が波となって押し寄せて消費が落ち込む中、中心市街地商業の地盤沈下が著しい状況にありました。
函館市は他の都市と同様、郊外への転出による中心市街地人口の減少、郊外型の大型店の進出などにより、中心市街地は衰退傾向にあります。函館駅前周辺に有名な朝市など観光施設がありますが、駅に近接する大門商店街などへの回遊が減少傾向で、賑わいの回復と観光消費の誘発が長い間課題となっていました。そこで、中心市街地を中活事業による大きなプロジェクトを起爆剤として、まちの賑わいを創り出すために数々の取り組みを重ねています。
今回は中活計画エリアとして拡大した駅前・大門地区および本町・五稜郭・梁川地区での再開発を中心に、まち歩きで回遊がしやすい魅力あるまちづくりに向けての取り組みにクローズアップしたいと思います。このように複数の活性化プロジェクトが同時進行していく“はこだての街”は今、注目です。
(2)まちの活性化への取り組み~新たな拠点となる施設~
函館の中心市街地活性化への取り組みは、平成25年度から29年度までの「中活計画」が進行中で、ちょうど折り返しを過ぎた現在、佳境に入っています。中心市街地エリア拡大により、駅前・大門地区から拡大した本町・五稜郭・梁川地区に新たに加わり賑わいのある集客拠点作りが進む「キラリス函館」「シエスタハコダテ」の2拠点を紹介します。いずれも未来に向かって函館市の顔にふさわしい中心市街地の商業施設づくりが求められている時期に合わせてオープンする複合施設で、大きな2本の柱となっています。
ア.函館駅前若松地区第一種市街地再開発事業【キラリス函館】
平成29年4月に全体が完成する「キラリス函館」を拠点とした再開発事業です。函館駅前・大門地区の商業核の1つであった「旧和光ビル」の再生ですが、単なる建物の建て替え事業ではなく、駅前大門地区の商業再生をかけた事業で、北海道を代表する国際観光都市にふさわしい玄関口、顔づくり事業としても大きな期待がかかる事業になっています。
JR函館駅前の複合施設「キラリス函館」の1階商業フロアは、先行して平成28年7月29日にオープンし、カフェ、ベーカリー、みやげショップ、コンビニなど、多彩な6店で営業しています。この秋以降はその利便性から旅行中の休憩や待ち合わせ、買い物スポットとして活用され、賑わいが出てきました。2階は物販店のテナントが、地下については、現在、飲食店舗が入る計画が進められています。なお、地上3階~4階は函館市の公共施設(はこだてみらい館・はこだてキッズプラザ)として、平成28年10月15日オープンしています。現在、地上5階~16階は分譲マンションとして整備中で、建物全体は平成29年4月にフルオープンする予定で整備を急いでいます。事業概要の全体や詳細については以下の参考リンクをご参照下さい。
参考リンク)
- 函館駅前若松地区第一種市街地再開発事業 別ウィンドウで開きます
- キラリス函館公式サイト 別ウィンドウで開きます
- キラリス函館の最新情報 別ウィンドウで開きます
- はこだてみらい館、はこだてキッズプラザ公式サイト 別ウィンドウで開きます
- はこだてみらい館、はこだてキッズプラザ紹介記事(函館市公式観光情報サイト) 別ウィンドウで開きます
- はこだてみらい館 はこだてキッズプラザ紹介記事(事業構想) 別ウィンドウで開きます
キラリス函館の開業オープンは新たに集客を図る既存の商業施設等と連動する動きとなっています。例として、衣料品中心から観光客や若者、ファミリー層重視にターゲットを変えて売り場リニューアルをした、創業80年を迎えた地元の老舗デパート「棒二森屋」と連携し「はこだてスイーツ&カフェ」を新設しました。様々な取り組みにより、最近は観光客だけでなく、地元客が増えるなどで相乗効果が次第に現れるようになってきました。
イ.「函館本町地区優良建築物整備事業」【シエスタハコダテ】
「シエスタハコダテ」は地下1階地上19階建てのビルで、公募で選ばれた名称がつけられました。ここにスペイン語で昼寝や昼休憩を意味する「siesta(シエスタ)」から、「みんながくつろげる、休みに訪れるスペースに」との願いが込められています。 地下1階から地上3階までは民間の商業施設「はこだてマルシェ」、4階に公共施設「函館コミュニティプラザ」5階から19階は分譲マンションで構成されています。平成29年4月に一斉オープンする予定です。
「はこだてマルシェ」は民間により、生活コミュニティの拠点となる集客可能となる商店街への波及効果につながる地産地消型のデザイン性ある商業空間を整備しています。入居テナントなどの詳細は近日中に発表される予定です。
なお、この「はこだてマルシェ」の整備は中小機構北海道が平成26年度に中小機構商業活性化診断・サポート事業プロジェクト型などで、その事業化について支援してきました。
函館コミュニティプラザは、中活計画に基づき、若手起業家の活動支援や若者が長時間活動できる環境づくりのために整備し、指定管理者制度を導入して管理する公共施設で、多目的ホール、イベントスペース、キッチンスペースなどが設置され、市民が相互に交流する場として期待されています。
施設の運営は、ITやデザイン分野や音楽、ダンス、スイーツ菓子製作等で市民、特に若者に関心が高い分野で様々な事業が実施される見込みです。
参考リンク) 函館コミュニティプラザ施設のご案内 別ウィンドウでpdfファイルを開きます (PDF)