津山城を地域活性化に活かす城下プロジェクトの取り組み02
2.地域で取り組んでいる特徴的な取り組み
津山市中心市街地活性化協議会(以下「津山中活協」という。)は、主な取組みとして、以下の3つのプロジェクトに取り組んでいます。
(1)城下プロジェクト
新津山国際ホテル建設事業
津山城下(しろした)地区にある「津山国際ホテル」の運営会社が、平成26年5月末で撤退することとなりましたが、地元経済界は、ホテル存続の声を受け、「新津山国際ホテル株式会社」を設立し、事業を継承しました。
一方で、施設の老朽化が顕著であるため、移転建設を前提とする事業構想が提示されることとなり、津山中活協は、新ホテル建設と合わせた津山城下周辺のまちづくりについて、中心市街地活性化の視点から、平成26年度に国の補助による「津山城下地区まちづくりプラン」を策定しました。
新ホテル建設事業は、上記プランのトリガー事業と位置付けられ、延床8,110平方メートル(地上8階建て)で、レストラン・ラウンジ・コンベンションホールを併設したホテル建設構想が示されており、現在、実現に向け基本計画案を調整中です。
城下プロジェクトについて
新ホテル建設事業を契機とした、「津山城下地区まちづくりプラン」の策定に基づき、津山市中心市街地活性化の中核事業として「城下プロジェクト」を推進することとなり、新ホテル建設に伴う隣接地や周辺地域への波及、跡地の活用などが検討されています。
これは、津山城を観光資源とする回遊向上及び交流拡大のため、城下地区の「歴史文化観光ゾーン」を再編成し、城跡への眺望の保全、鶴山公園と一体となった広場空間の整備、歴史・文化機能の再生・強化、屋外広告物等の整序、マルシェなどのにぎわいづくりを推進していくものです。
このため、平成28年度からは、津山商工会議所に「まちづくりプロジェクト推進室」が創設され、また、津山中活協には、城下地区まちづくり事業に関するワーキンググループが設置されるなど、今後、官民の連携を強め、城下地区の一体的な街づくりを推進していくことが期待されます。
(2)食のプロムナード事業
津山地域は古くから牛馬の流通拠点で、牛肉のすばやい処理技術が普及要因となり、明治以前から全国でもまれな「養生喰い」(健康のために食べること)の本場であったことから、食肉文化が育まれました。地元では、「そずり鍋」「ヨメナカセ」「干し肉」「煮こごり」などの津山独自の牛肉料理が定番となっており、地域ブランドになる可能性を秘めています。また、「津山ホルモンうどん」がB級グルメのB-1グランプリで受賞するなど、食肉文化を活かした活性化策に期待が持たれています。
このような津山に根付く食肉文化を柱に、空き店舗対策と津山市中心市街地活性化に貢献する施策として、コンセプト化したのが「食のプロムナード事業」です。
空き店舗の目立つ、鶴山通り沿いの商店街を中心に、牛肉料理などを提供する店舗の新規開業を促進することにより、津山の特色ある食肉文化を切り口とした「食のプロムナード」の形成を促進し、津山内外に強くアピールし、来津者を増やすことが目指されています。
津山中活協が、新規開業希望者と空き店舗のオーナーのマッチングを行い、平成26年3月に、国の補助を得て「津山肉ビル」が整備され、肉食を活かす店舗「颯花(そうか)」「いぶし銀」の2店が新規オープンしました。また、同時に「食のプロムナード」形成の一環として、グルメと観光のガイドマップ「Bee-Food-Map」が発行し、近隣の飲食店や人気店と連携した情報発信を行っています。
さらに、本町三丁目商店街では、健康にやさしい食材の活用を推進する「BIOタウン構想」を「食のプロムナード事業」の連携事業として実施していくことが構想されており、津山の特徴としてまちなか全般に展開する動きになりつつあるといえます。
(3)まちなか健康サポート事業
城下地区南側に位置する城南商店街エリアでは、健康をテーマとした取り組みを進める「まちなか健康サポート事業」の実施により、健康増進サポート施設「Globe fitness & studio」が整備されました。施設では、こどもから高齢者まで、エネルギッシュに健康的な生活を過ごせるように、ダンス、ヨガ、フィットネス、塾など、時代が求めるメニューを提供するとともに、城南商店街と連携して、賑わいの創出や健康増進イベントなどが開催されており、1日に約100人が来店するなど、まちなかに新たな人の流れを生んでいます。
また、健康サポート施設の2号店として「半鐘屋本店」の整備が予定されており、中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が、平成27年度に「中心市街地商業活性化診断・サポート事業(プロジェクト型)」で事業計画のブラッシュアップを支援しました。
今後、中心市街地東部に位置する城東地区の歴史的町並みの保存との連動により、観光回遊の拡張が期待されています。