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中心市街地活性化協議会支援センター

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下関駅周辺における民間主導のエリアマネジメントによるにぎわい創出の試み

ポイント

  • 駅周辺エリアが一体となった集客性、回遊性の実現
  • 公共空間の活用による賑わい創出
  • 市民の関わりによる新たなイベント創出と情報発信
場所:
山口県下関市
人口:
29万人(中心市街地人口約1万人)
分類:
【市街地整備・改善】【イベント】
協議会:
あり
支援策:
社会資本整備総合交付金(暮らし・にぎわい補助金)
参考URL:

http://ekimachi-shimonoseki.com/ 別ウィンドウで開きます


1.中心市街地活性化への取り組み

下関駅

 下関市では、平成20年10月に下関市中心市街地活性化協議会(以下「中活協」)が設立され、平成21年12月には下関市中心市街地活性化基本計画(以下「基本計画」)が国の認定を受けました。平成24年1月には、中活協の中に駅周辺部会が設置され、商業ディベロッパーやテナント、関係行政機関などにより情報を共有しつつ事業を推進する体制ができ、中活への取り組みが加速されることとなりました。さらに、平成25年からは、市民有志の「エキマチコンシェル」(後述)が加わり、下関駅周辺のエリアマネジメント(*)への取り組みが成果を生みつつあります。

(*)エリアマネジメント:地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取り組み(国土交通省策定『エリアマネジメント推進マニュアル』(平成20年3月)より)

(1) 下関駅にぎわいプロジェクト

 下関市は、基本計画の柱として、下関駅周辺を市の玄関口にふさわしい魅力ある集客・交流拠点としての整備を推進するため、下関駅舎の再建とともに駅前広場の拡張やにぎわい施設の増設などで構成される「下関駅にぎわいプロジェクト」を推進しており、民間活力を活用した「JR下関駅ビル(リピエ)」が平成26年3月に、「シネマコンプレックス・立体駐車場」が平成26年7月にオープンしました。また下関市は、駅前広場などの面的整備とともに、東西連絡通路(平成26年3月)、ふくふくこども館(平成26年4月)を完成させました。駅前広場は平成26年秋に完成予定となっています。

下関駅にぎわいプロジェクト

(2)駅周辺エリアマネジメントと市民有志「エキマチコンシェル」の募集と活動

人工地盤

 官民が連動して上記プロジェクトによるハード整備が進む中、中活協の駅周辺部会において、エリア全体としてのターゲットやそれぞれの施設の役割、オペレーション等の方向性について議論が積み重ねられました。この話合いの中で、下関駅周辺のエリア全体の名称を、出会いと活動の場「エキマチ下関」と名付けるとともに、<エリアマネジメント>の発想が芽生え、関係者が協力して「エキマチ下関」の賑わい創出に取り組むことへの期待が生まれました。

 「エキマチ下関」には、ゆっくり時間を過ごせる環境づくりや、多様な活動やビジネスの受け入れが必要との認識から、利用者側に立ったまちの使い方や「こうなったらいい。」という提案を日常的にできるプラットフォームを立ち上げることとなり、平成25年7月に、一般市民から自主的に活動する有志を募集しました。これが、<エキマチコンシェル>(市民による活性化応援団)です。

 ここには20代から60代の男女が約20人も集まり、養成講座を経て自らの参加動機や駅前に対する想いを共有し、活動を開始しています。取り組みのテーマとして着目したのは、平成3年に設置されたオープンスペースの「人工地盤」が、2階レベルで駅や周辺商業施設の出入口につながる利便性の高い位置にあるにもかかわらず、今まで効果的に使われてこなかったため、賑わい創出空間としていかに有効活用するかということでした。

エリアマネジメントのしくみ

(3)エキマチ下関推進協議会の設立

エキマチ下関

 エキマチコンシェルの活動成果が認識されるとともに、商業サービス施設のメンバーを中心に、将来的にオープンスペースの継続的な利活用運営やエリアの魅力発信、創造を担う民間主導の主体が必要との機運が生まれ、平成26年4月に、「エキマチ下関推進協議会」が設立されました。

 この協議会は、当面は情報発信、イベントの企画運営、清掃活動などから小さくスタートしたものの、今後、人工地盤等公共空間の利活用のルールづくりなどに取り組み、自主財源事業の可能性も視野に置いた、自立的な「エキマチ下関」の運営を目指しています。

 協議会の理事長である松永正道氏は、「人工地盤をエキマチ広場として自主的に運営していく仕組みを確立し、市民と一体となって活力ある賑わいを創り出していきたい」と意気込んでいます。

2.今後の課題

 「エキマチ下関」が、市民が主役の活き活きとした活動の場となるには、市民や来街者へのエリア魅力の伝達方法、公共空間の日常的な新しい使いこなし方、商業的販促事業と市民イベントの融合、収益事業の可能性などについての具体的な検討や、様々な活用方法についての実証的な積み重ねが必要です。

 今後、行政とエキマチ下関推進協議会が協力し、公共空間である人工地盤の利活用ルールや運営管理の方法について練り上げていくことが求められています。

3.終わりに

 下関駅前の「人工地盤」は市所有の施設であり、市民の財産となる全国でも貴重な資源といえます。市民・事業者が主体となって「エキマチ下関」を創造していくことは、エリアマネジメントの新しいモデルとしての展開が期待されています。

4.まちの概要

下関シネマコンプレックス

 下関市は、本州最西端に位置する海峡都市であり、平地の市街地が限られ、中心市街地は下関駅周辺地区と唐戸地区がやや距離のある二眼レフ構造をなし、都市機能が分散する傾向にあります。このため、下関市の中心市街地としては、下関駅から唐戸地区までを一体とした海峡都市としての魅力を高め、集客力を取り戻すことが課題となっています。

 下関駅周辺では、昭和52年に当時としては西日本最大の売場面積を誇る複合施設として「シーモール下関」がオープンしました。また、平成3年~6年には、当時では珍しい「人工地盤」(6,421㎡)が、JR用地と市有地で構成される駅前広場空間に整備されました。この人工地盤は、2階レベルの空中広場、周辺地区での遊歩道、オープンミュージアムとなることを目的に、市の道路工作物として設置されたものであり、拠点市街地としての都市機能が整備されてきました。



<取材日H26年9月>

関連リンク

協議会訪問

下関市中心市街地活性化協議会