下関市中心市街地活性化協議会
取組のポイント
協議会、幹事会、部会、ワーキンググループの活発な取組
行政、(財)下関21世紀協会、下関商工会議所の緊密な連携
1.協議会の概要
- 協議会名:
- 下関市中心市街地活性化協議会
- 所在地:
- 山口県下関市
- 設置日:
- 平成20年10月1日
- 主な構成員:
- 【都市機能増進】(財)下関21世紀協会
【経済活力向上】下関商工会議所
- 主な構成員:
- (株)山口銀行、西中国信用金庫、JR西日本下関地域鉄道部、 サンデン交通(株)、(株)下関大丸、下関商業開発(株)、 商店街組合、旅館組合、飲食組合、(社)下関観光コンべン ション協会、(社)下関青年会議所、連合自治会、連合婦人会、 下関市、(財)山口経済研究所 他
2.まちの概要
(1)位置・人口・交通アクセス
下関市は本州の最西端に位置し、関門海峡をはさみ対岸はすぐに北九州市です。 北九州市とは関門トンネル(車道・人道)、関門橋、鉄道トンネル(新幹線・在来線)、渡船で結ばれており、古くから陸と海の交通の要衝で、多くの歴史の舞台にもなってきました。
下関駅と商業集積の厚い小倉駅(北九州市)とは在来線で2駅、15分という近さです。 人口は約28万人で山口県1の規模を誇り、2005年に旧豊浦郡4町と合併し、中核市の指定を受けました。
3.中心市街地の現状について
(1)現状と課題
下関市の中心市街地地区は下関駅地区を西端として約2.5Km東の行政機関や市場のある唐戸地区までの215haで、南の海沿いに商業集積が展開されています。 この商業集積ですが、近年の下関市の郡部地域と近隣地域への大型SCの進出、新幹線・橋の整備による通過型としての都市の色彩の強まり、基幹産業だった造船業と水産業の衰退、そして大都市北九州市と福岡市の強い商業力の影響などにより厳しい状況になっています。 人口も合併時の30万人から28万人に減少しています。
(2)主な活性化策
基本計画が2009年に認定され、下関駅地区と唐戸地区の2カ所を核に、賑わいと回遊性の向上をめざす事業が次のとおり推進されています。
①下関駅にぎわいプロジェクト
活性化の主要事業で、下関駅と一体となった駅ビルを建設し、シネマコンプレックスと子育て支援施設を配置するとともに立体駐車場も整備し、多くの市民と観光客の交流ゾーンにしよう、というものです。
下関市は昭和の最盛期には22の映画館が軒を連ね映画のまちとして栄え、有名俳優・女優(田中絹代、松田優作 他)も多く輩出しました。
このシネマコンプレックスは、たくさんの市民が待ち望んでいる施設です。
これに既存SCシーモール下関と百貨店そして駅前ペデストリアンデッキでのソフト事業も連動させ、高い効果を狙っています。
②あるかぽーと民間開発
唐戸地区にある海峡に面した大規模空地に大型アミューズメント施設と飲食店を建設し、隣接の観光施設でもある唐戸市場、水族館、商店街等との連動により観光客と市民を集客しよう、というものです。
2013年春にはカフェがつくられ、同年秋に観覧車を含むアミューズメント施設がオープンすることになっています。
4.協議会の概要
(1)組織
「協議会」は各構成員のトップを中心に組織されており、その下に、準トップをメンバーとした「幹事会」が、その下に駅周辺の事業者等による「駅周辺部会」が設置されています。事業実施上の具体的な検討作業は部会内に設置されたワーキンググループ(以下「WG」という。)が担っています。
今後、唐戸地区の取組が始まりますが、その時には「唐戸周辺部会」等が設置される予定です。
また、2012年9月には専門家として活動を支えていた泉 英明氏がタウンマネージャー(以下「TM」という。)として就任しました。
泉TMは次のように語っています。
「部会は各事業者が実務の目標を共有し具体的なプランや行動に落とし込む場です。そのため、部会で各々が何を求めるかの議論が浅いまま設置すると活動が活発になりません。今の駅周辺部会も同様ですが、次の唐戸地区を対象とする部会も、関係者が議論を尽くし機が熟してから設置する予定です。各事業者の問題意識や事業スケジュール、基本計画期間の終期(2014年3月)を意識して設置のタイミングを探っています。」
(2)開催状況
2012年4月から12月までの開催をみると、協議会が2回、幹事会が2回、駅周辺部会が3回そしてコンセプトWGが4・5月に3回、デザイン管理運営WGが6~8月に6回開かれています。
「WG」の取りまとめ案が「部会」へ報告され、これが「幹事会」の協議を経て「協議会」へあげられ承認されます。
「駅周辺部会」は、担当事業実施計画の進捗確認も行っています。
また、計画施設のイメージは最新のパソコン技術により立体画像化されており、上下左右どこからの視線でも移動しながら見ることができ、これを活用して各会議の議論の深化と共有を図っています。
(3)事務局
行政、(財)下関21世紀協会、下関商工会議所の3者により構成されており、事務局長は商工会議所の担当部長、次長は3機関それぞれから1名ずつ、そして事務局員は市と商工会議所から合わせて3名の職員が就いています。
また、3者は2012年10月から毎月1回定期的に開かれるタウンマネジメント会議の他、普段からコミュニケーションを密にし歩調を合わせて活動しています。
事務室は、会議も可能な広さの独立したスペースが商工会館3階に設けられています。
また、協議会独自の ホームページ 別ウィンドウで開きます を2012年10月から立ち上げており、規約、組織をはじめ協議会の議事録や配布資料などが公開されています。
5.今後の課題
駅ビル建設が2012年12月から始まり、駅周辺地区は具体的な取組に入りました。一方、唐戸地区の民間開発はこれからです。この立ち上げと唐戸地区商業者の活性化への意識の深まりが求められています。
また、ハード整備と並行して、それに連携する市民を巻き込んだソフト事業への仕組みづくりも大きな課題です。
これについて宇原泰司事務局次長(下関商工会議所地域振興課長)は次のように語っています。
「息の長い自発的で活発な市民活動が沸き起こるよう、潜在している市民サポーター・ボランティアの人材発掘を仕掛けています。行政や商工会議所が中心に活動するのではなく、そもそもまちの中心であるべき市民による活動の活発化を期待しています。」
6.取材を終えて
協議会の組織構成がしっかりしていることを興味深く取材しました。
歴史の重みある下関市のまちづくりは具体的に緒につきました。これから下関駅周辺と唐戸両地区の工事とソフト事業の展開が待っています。
また、2核をつなぐ約2.5Kmの街区での回遊性向上策も求められています。
この大きな目標の達成を見守りたいと思います。
取材日 平成24年12月