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創業塾卒塾生、りんご並木の空き店舗をレトロモダンにリノベーション

ポイント

  • 知識修得だけでは終わらない創業塾
  • 出店者と共に創出する「レトロモダン」な空間
場所:
長野県飯田市
人口:
約10万人
分類:
【市街地整備・改善】【商業施設】【空き店舗・空きビル】【研究会・勉強会】【人材育成】
協議会:
あり
実施主体:
飯田まちなか創業支援ネットワーク(NPO、まちづくり会社、商工会議所、市等で構成)
関連記事:
株式会社飯田まちづくりカンパニー

http://machikan.jp/index.php 別ウィンドウで開きます

1.まちの概要

飯田市は、長野県の最南部の圏域に位置し、人口105,921人(平成25年4月末現在)の都市です。まち並みは、かつての城下町の面影を残す碁盤目状の道路や「裏界線」(昭和22年の大火後に整備された幅2メートルの避難路)、そして中心市街地を横断し、まちのシンボル的存在である「りんご並木」などが特徴です。

2.まちの活性化への取組

りんご並木横町プロジェクト説明会チラシ

飯田市は、平成19年に飯田市中心市街地活性化協会を設立し、平成20年に中心市街地活性化基本計画の認定を受け、中心市街地活性化の先進事例として高く評価されています。

現在進められている「りんご並木横丁プロジェクト」は、りんご並木の周辺建物を対象とする取組です。具体的には、「不動産の所有と利用の分離手法」を活用し、りんご並木周辺の木造空き店舗群をリノベーションするとともに、中心市街地に出店意欲を持つ者とマッチングさせ、古いけれど新しい「レトロモダン」な空間を創出することを目的とした商業施設の整備計画です。

この「りんご並木横丁プロジェクト」の一環として、「りんご並木横丁事業説明会(以下、「説明会」)」及び「まちなか空店舗再生創業塾(以下、「創業塾」)」が実施されました。 「説明会」は、平成24年1月にりんご並木沿道での起業・出店希望者を対象に「りんご並木横丁プロジェクト」を説明するために開催し、107名が参加しました。

その後6月から、NPO、まちづくり会社、商工会議所、市等から構成される「飯田まちなか創業支援ネットワーク」が実施主体となり、「まちなか空店舗再生創業塾」が開始されました。

この取組は、起業や空き店舗活用において、飯田まちなか創業支援ネットワークが仲介者となって、起業・出店がしやすい条件を整えることを目的に実施されました。また、中心市街地では、商店街組織の解散など地域で共に生きるというコミュニティの基本精神が失われつつあることも課題になっており、主に起業・出店者がコミュニティの創造・再生を学ぶことも目的とされました。

「創業塾」では、起業・出店に関する基本的知識を得るための前期講座(全10回)に26名が参加し、その中で起業プランを発表した16名が商業によるコミュニティ再生の考えを育むための後期講座(全4回)に参加しました。

プログラムでは、複数の専門家を講師とする講義に加えて、飯田市街地内の街歩きや他都市の先進地区を視察しつつ起業・出店計画のブラッシュアップを行いました。同時に、グループワークを通じて塾生間のネットワークが築かれました。

3.取組の成果、及び今後の課題

最初の成果として、「創業塾」の卒塾生による起業・出店を含む創業チャレンジ複合店舗「本町壱番館」が本年2月にオープンしました。

ここに出店する卒塾生の5店は、講座プログラムで得たノウハウを活かすとともに、実際の接客対応やスタッフ管理を通じて多くの実践的ノウハウを身につけています。

今後の課題としては、「創業塾」出身の起業・出店者の経営が軌道に乗ることがあげられます。また、こうした起業・出店者の経営をサポートする側のレベル向上も課題となっています。

本町壱番館の様子

4.関係者の声

「創業塾」の取組ポイントについて、飯田まちなか創業支援ネットワークを構成する(株)飯田まちづくりカンパニー及び飯田市の担当者は3点を強調されました。

一つ目は、設置した創業相談窓口に優れた人材をコーディネーターとして配置できたことです。このコーディネーターが、塾生の意欲を持続させ、起業・出店を後押しした立役者であったと口を揃えて語られました。

二つ目に、「説明会」において100名以上の起業・出店意欲を持つ人材を集められたことです。その結果、支援機関が限られたネットワークの中から人材を一本釣りして出店要請する方法ではなく、公募によって「創業塾」の塾生を集めることで、自主性のある意欲的な姿勢の塾生を対象にプログラムが進められました。

三つ目に、「説明会」では、あえて「りんご並木横丁プロジェクト」のコンセプトについて、「古いけれど新しい『レトロモダン』な空間の創出」ということ以外に細かい点を参加者に提示しなかったことです。これは、従来のテナントリーシングのようにオーナーの意向を押し付けて、起業・出店者の豊かなアイデアを削ぐのではなく、起業・出店希望者と共にプロジェクトコンセプトを醸成するといった新たな手法に挑戦したものです。したがって、「創業塾」でも、塾生各自の事業コンセプトを決まった枠に押し込むことなく、起業・出店者のアイデアを大事にするように心がけて進められました。

5.取材を終えて

約10万人規模の都市において、「りんご並木横丁事業説明会」に起業・出店意欲を持つ100名もの人材が集まること自体が、飯田市のまちの豊かさを示しているのかもしれません。

また、チャレンジショップへの出店という出口を見据えながら、参加者が意欲的に受講できた「まちなか空き店舗再生創業塾」は、起業・出店の「意欲」を「カタチ」に変えた優れた取組であったといえるでしょう。

関連リンク

協議会訪問
飯田市中心市街地活性化協会の取組 別ウィンドウで開きます
ちいきクローズアップ
飯田市におけるエリアマネジメントへの取り組みとまちづくり会社の活動 別ウィンドウで開きます
<取材日H25年5月>