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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

健康サービスで地域活性化(医商連携の取り組み)

ポイント

  • 運動でためたポイントで買い物
  • 健康づくりと地域活性化のマッチング
場所:
熊本県 熊本市 北区 植木町
人口:
約3万人(植木町)
分類:
【医療・福祉】【交流施設】
協議会:
あり
実施主体:
熊本市、株式会社くまもと健康支援研究所
支援策
地域総合健康サービス産業創出事業(経済産業省)
医療・介護周辺サービス産業創出調査事業(経済産業省)
関連記事:
かがやき館
 

http://www.kwsi.co.jp/kagayaki/ 別ウィンドウで開きます


1.まちの概要

(1)規模・人口

植木町の位置

 植木町は面積約65k㎡で、人口は約3万人の町でしたが、平成22年3月に旧熊本市、旧城南町と合併し、新しい熊本市として生まれ変わりました。現在の熊本市は面積約389k㎡で、人口は約73万7千人(平成24年9月時点)の都市です。

(2)交通アクセスなど

 熊本市の北部に位置する植木町の中心部には国道3号線が縦に走っていて、国道208号と十字に交差しています。また、九州自動車道植木ICがあるほか、JR鹿児島本線が町の西側を走っており、熊本県北の玄関口の役割を担っています。

(3)まちの状況

 植木町は江戸時代、豊前街道と三池住還の分岐点・宿場町として発展し、明治時代には西南戦争の主戦場(田原坂)にもなりました。その後、町村合併により植木町が誕生しましたが、平成22年には熊本市と合併しました。現在の中心市街地活性化基本計画は合併前に植木町の取り組みとして平成21年に内閣総理大臣の認定を受けており、合併後は熊本市の植木地域の取り組みとして、継承されています。

 植木町の中心部にある植木商店街の年間販売額・商店数は減少していますが、周辺の大規模小売店舗の年間販売額は増加しています。

2.まちの活性化への取組

(1)中心市街地活性化基本計画

 平成21年に認定された中心市街地活性化基本計画において、「植木町の顔となる快適で暮らしやすいまちづくり」が基本方針の1つとして掲げられ、植木町では少子高齢社会の中で、子どもがのびのびと育ち高齢者が悠々と余生を送ることのできる生活環境の回復が求められています。

熊本県植木地区中心市街地活性化基本計画より抜粋

(2)活性化の取り組み

(ⅰ)「かがやき館」

かがやき館

「かがやき館」は、平成15年に植木町の中心市街地北部に健康と福祉の拠点として誕生しました。検診室、リラクゼーションルームの他、プールとトレーニング室も備えた複合施設です。高齢者の利用が多いですが、特に午前中には高齢者、午後は主婦、夜は勤労者が利用している傾向にあります。

(ⅱ)「健康マイレージ」

 「かがやき館」に来館し、運動をするとポイント(健康マイレージ)がたまり、近くの商店街で使用できる商品券を貰えるという取り組みが行われています。 地域住民が健康づくりのためにまちに出てきて、そのついでにポイントを使って、商店街で買い物をするという地域住民の健康づくりと商業が連動する医商連携の取り組みとなっています。(近隣のショッピングセンター「ウエッキー」でも商品券を利用できます。)

 具体的には、「かがやき館」で運動をするとスイカードに1ポイントたまり、50ポイントたまると1,000円の商品券が発行されます。

スイカードと商品券

(ⅲ)「健康弁当」の宅配

 健康マイレージの取り組みと同時に、「健康弁当」の宅配事業も行っています。これは、個人の健康状態に応じたメニューの弁当を作り、宅配するという取り組みですが、医療機関などから患者の情報提供を受け、その患者に適した「健康弁当」を宅配するという連携も進んでいます。(例えば、人工透析の患者に適したメニューの「健康弁当」を宅配するなど)

(ⅳ)空き店舗でデイサービス

ウエッキー

 ショッピングセンター「ウエッキー」の空き店舗を利用して、デイサービスを展開するという取り組みが行われています。デイサービスとして高齢者を連れてきて、ショッピングセンター内で買い物リハビリをします。これにより、買い物に行けなかった高齢者の生活支援とリハビリを同時に行え、しかも、ショッピングセンターの利用者が増えます。

 ※デイサービスとは
 介護を必要とする人が昼間の一定時間、専門の福祉施設で日常生活上の世話や機能・適応訓練などを受けること。 (「大辞泉」より引用)

3.取り組みの効果

利用者促進の旗

 「がかやき館」は年間約6万人に利用されています。

 「かがやき館」で運動してたまったポイント(健康マイレージ)により商店街に買い物にくる顧客は、「ポイントがたまったので、初めてお店を利用してみた」という顧客もおり、商店街にとっては、新規顧客の開拓につながっています。

 また、商店街でも「かがやき館」の宣伝を行い、新たな「かがやき館」利用者が生まれるなど、良い循環ができつつあります。

 「かがやき館」での取り組みは、今まで、あまり外出をしなかった高齢者などの地域住民がまちに出てくるきっかけとなっていて、更に、運動でたまったポイントで商店街に買い物へ行くことで、まちのにぎわい創出や回遊性向上にも貢献しています。

 地域経済の観点においても、①健康マイレージで消費意欲促進、②健康弁当作りにより地元の弁当業者の受注増加、③デイサービスによる買い物リハビリでショッピングセンターの買い物客の増加など、地域内の資金循環に寄与しています。

 また、高齢者が家にとじこもることなく、まちなかで運動し、健康づくりに励むことで、医療・介護コスト削減にもつながっています。

4.今後の課題・取り組み

 今後は健康マイレージの提携商店を増やしていくことが必要となります。

 新たな取り組みとして、現在、健康弁当の宅配業務の宅配を「かがやき館」の利用者に配達してもらうことを検討しています。地域住民(特に高齢者)が少しでも経済活動に参加し、労働対価を得られるような仕組みを作ろうと考えています。

5.関係者の声 まちの声

 高齢者が「かがやき館」で運動することにより、身体的に健康になることはもちろんですが、「かがやき館」はコミュニケーションを取り合う地域コミュニティの場ともなっていて、精神的な健康づくりにも寄与しています。

 また、健康マイレージやショッピングセンターを利用したデイサービスなどの取り組みは「うえきモデル」と呼ばれ、他地域で実践され、活かされていくことが期待されています。

6.取材を終えて

 医商連携の取り組みは全国でも珍しく、とても興味深いものでした。少子高齢社会の中で、高齢者が、まちで元気に活動することは今後の中心市街地活性化において、非常に重要なファクターになります。同様の取り組みを山鹿市の商店街でも実施し始めており、医商連携の取り組みが広がっていくことを期待したいと思います。

<取材日H24年10月>