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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

地域の魅力を発信する人材の創出 ~奈良2010年塾~

ポイント

  • 座学より、実体験で学べ。
  • 塾から生まれるネットワーク。
場所:
奈良県奈良市
分類:
【人材育成】
人口:
37万人
協議会:
あり
実施主体:
NPO法人 奈良元気もんプロジェクト推進会議

まちの概要

規模・人口

ならまちの町屋

奈良市は、奈良県の北部に位置する都市で、奈良盆地の北端に位置し、北は京都府、東は三重県と接しています。
平成17年に旧月ヶ瀬村、旧都祁村と合併し、人口約369千人(平成21年現在)であり、同県の県庁所在地となっております。

交通など

新幹線の駅である京都駅より40分程度の近鉄奈良駅、JR奈良駅が中心駅となっています。
自動車では西名阪自動車道・第二名阪道路・京奈和自動車道などのI.C.からアクセス可能であるが、観光客の30~40%は自動車を利用しており、春と秋の観光シーズンには幹線道路を中心に長時間の渋滞が発生することが問題となっています。

まちの特色

奈良時代に平城京が置かれた古都として有名で、シルクロードの終着点として天平文化が花開いた地であり、興福寺や元興寺など歴史的資源に恵まれています。鹿で有名な奈良公園や江戸後期から昭和前期にかけて建てられた伝統的な町屋が立ち並ぶ「ならまち」などもあり、国内外から多数の観光客が訪れる国際観光文化都市となっています。

まちの課題 事業内容

「NPO法人奈良元気もんプロジェクト推進会議」の取り組み(奈良2010年塾)

室内授業風景

「NPO法人奈良元気もんプロジェクト推進会議」は奈良の持つ良さを生かした「できごと(イベントや祭りなど)」を行おうとする者や興味を持つ者に対して、必要な知識・技術等を習得することに関する事業や、その成果を活かしたまちづくりに関する事業を行い、奈良の文化芸術の向上と地域の活性化に寄与するための人材を育成することを目的として設立されたNPO法人です。

その目的達成のために、「奈良2010年塾」、「奈良まちおこし結び会」等の運営を通して、人材の育成、地域の活性化に取り組んでいます。

「奈良2010年塾」は2010年に行われる平城遷都1300年祭(同記念事業協会主催)を支える「文化制作ボランティア」として活躍する人材を育成するための機関です。

「奈良2010年塾」は“塾“の名の通り、毎年、塾生を募集し、実際にイベントを企画し、運営できる人材を生み出してきました。

塾のカリキュラムに座学はほとんどなく、実際のイベントを体験し、実践で学んでいく形式で授業が行われます。これは「実際やってみることが一番」という運営スタッフ全員の共通認識と強い思いにより、貫かれています。塾生は奈良で実際に行われるイベントにスタッフとして参加し、必要な知識を実体験の中から1年間通して学びます。

3月末の卒塾時には塾生が1年間学んできたことを実践する場として卒塾イベントが用意されていて、塾生が中心となり、実際にイベントを企画、運営し、集大成とします。

卒塾生は1期生から5期生まで172名。年齢層も20代~60代まで幅広い構成となっています。

取り組みの効果

卒塾式

「奈良2010年塾」の卒業後、多くの人たちが、「なら燈花会」や「バサラ祭り」など、奈良県内の各種イベントでの中心人物として活躍しており、地域の活性化に大きく寄与しています。

また、卒塾生が各イベント団体で活躍することで、団体同士のネットワークが構築され、各地域でバラバラに行われていたイベントを結びつける「奈良まちおこし結び会」が生まれるなど地域活性化への取り組みが螺旋のようにつながり、相乗効果を生み出し始めています。

今後の課題

「奈良2010年塾」は県(現在は平城遷都1300年記念事業協会)から受託をうけている事業であり、平城遷都1300年祭と同時に終了するため、塾を運営する財源はなくなる。卒塾生が生み出したネットワークや「NPO法人奈良元気もんプロジェクト推進会議」の保有する塾の運営ノウハウやネットワークをどう残していくかが課題となっています。

関係者の声 まちの声

地域の活性化の担い手を生み出す「NPO法人奈良元気もんプロジェクト推進会議」に期待を寄せる方々が多くいらっしゃいます。人材を生み出すスキームや「奈良2010年塾」で生み出されたネットワークを失うのは勿体ないとの声が上がっています。

取材を終えて

今回、「NPO法人奈良元気もんプロジェクト推進会議」の理事長の乾昌弘氏に取材をさせていただきました。「奈良2010年塾」では、運営スタッフと塾生の熱い思いと熱い思いの衝突があり、苦労も多いけれども、最後には「奈良2010年塾」に「入ってよかったですわー」と言ってもらえる達成感がたまらないと語った乾氏の活き活きとした表情が印象的でした。地域の活性化で活躍する人材が次々生まれてくるのも頷ける本当に良い環境であると感じました。ぜひ、塾(人材を育成し、生み出す場)の継続を望みたいものです。