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創業支援と遊休不動産の活用で中心市街地活性化を目指す (株式会社まちづくり三原)6
山脇邸の整備について
三原市の旧城下町地区は、15年ほど前までは造り酒屋や商家建築を中心に重厚な古い街並みが残っていました。しかし、バイパス通りの整備などにより、こうした建物の多くは取り壊されました。こうした流れにもかかわらず、取り壊されずに残った山脇邸は、築90年の歴史を持つ本町のシンボル的な存在です。それ故、山脇邸を心のよりどころとしている市民も多く、山脇邸をリノベーションし、新たな拠点として活用することを望む声が多くありました。
一般的に、このような古民家などのリノベーションは、不動産所有者や市民活動グループのまちづくりに対する理解がキーポイントになるといいます。三原市はどのようにこうした課題を整理し、山脇邸のリノベーションを成功させたのでしょうか。
市民活動やイベント開催を通して不動産所有者や市民活動グループの理解を得る
三原市では山脇邸のリノベーションに際し、平成24年には調査事業を実施し、その中で本町の住民を対象としたワークショップを行いました。一方で観光協会の観光コーディネーターが発案者となり、まず、市民ボランティアを募り山脇邸の掃除・修復を行いました。さらに、観光協会や地元のNPOのネットワークを活用してイベントにも取り組みました。
これらの様子をインターネット・SNSなどで発信したところ、その様子が地元新聞やテレビでも取り上げられ、山脇邸をイベントの場として使いたいという人が増えてきました。
山脇邸を活用し、イベントや建物の価値といったポジティブな情報をメディアなどで発信したことは、山脇邸のリノベーションを大きく後押ししました。周囲の山脇邸に対する期待や山脇邸の持つポテンシャルを形にすることで、山脇邸のリノベーションが家主に好意的に受け取られるようになったのです。さらに、家主の説得にあたっては三原商工会議所の会頭が支援したことにより、大きく前進しました。
こうして、平成27年の調査事業を通じて資金分担を検討し、補助金(商店街・まちなかインバウンド促進支援事業費補助金)、テナント(株式会社よがんす白竜)負担、まちづくり三原の3者の拠出により山脇邸のリノベーション整備が行われました。また、まちづくり三原が山脇邸の不動産所有者と賃貸借契約を結ぶとともにサブリース契約の了承を取り、山脇邸の管理委託を受けました。
山脇邸は株式会社よがんす白竜がテナント運営を行う、「カフェ・レストランよがんす」に改修され、平成29年4月にオープンしました。「カフェ・レストランよがんす」は、市民の憩いの場として機能するとともに、まちなかに新しい人の流れを作り出しています。今後は先述の創業支援と連携し、周辺の遊休不動産の活用につなげ、中心市街地活性化に寄与することが期待されます。