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中心市街地活性化 全国勉強会2025 レポート
2026年2月2日(月)、東京都港区において中心市街地活性化全国勉強会2025を開催しました。
「持続的なエリアの活性化」をテーマに、90名を超える参加者が全国から集い、活気あふれる雰囲気の中で行われました。
主催:中心市街地活性化協議会支援センター(中小機構 高度化事業部 まちづくり推進室内)
目次
※各目次をクリックすると、それぞれの記事にジャンプします。
1.中心市街地活性化全国勉強会について
中心市街地活性化全国勉強会は、中心市街地活性化に取り組む協議会や、その設立を検討する自治体・関係機関等が一堂に会し、情報共有と交流を図る場として開催しています。主催する中心市街地活性化協議会支援センターでは、協議会に対する情報提供や相談対応に加え、各地域同士のネットワーク形成を重視した交流活動を支援しており、本勉強会もその一環として位置づけています。
本勉強会は毎年度1回開催されており、近年は2020年度、2023年度、2024年度に実施されています。(2021~2022年度はコロナ禍により中止)
今年度のテーマは「持続的なエリアの活性化」としました。午前中は3府省庁による講演(政策動向や方向性、支援制度等)、午後は事例学習とグループディスカッションを行い、実践的な視点で課題や取り組みを深める構成としました。特に午後のプログラムは、出席者同士が日頃抱えている疑問や課題を率直に持ち寄り、他地域の知見に触れながら解決のヒントを得る場となりました。
2.講演
①「中心市街地活性化施策について」
内閣府 地方創生推進室 次長 羽白 淳(はじろじゅん)氏
本講演では、地方創生の最近の動向を踏まえた中心市街地活性化の考え方と、中心市街地活性化基本計画(以下「基本計画」と言う)を実際に運用していく際のポイントについて説明がされました。制度の枠組みに触れつつも、各地域でどのように基本計画を考え、動かしていくかという実務的な視点が示されました。
中心市街地活性化制度の位置づけ
中心市街地活性化制度は、市町村が中心市街地活性化協議会など地域の多様な主体と連携し、一定期間の基本計画を策定し、国の認定を受けることで、関係府省庁の支援を活用しながら取り組みを進めていく仕組みであることがあらためて確認されました。そして、制度そのものを目的とするのではなく、地域の取り組みを後押しするための道具として捉えてほしいという点が強調されました。
地方創生の文脈における中心市街地
地方創生において、中心市街地は「まちの顔」「地域の核」として位置づけられていることが説明されました。中心市街地には、住居、商工業、公共サービス、歴史・文化等さまざまな機能が集積しており、人の活動や関係性が生まれやすい場であること、そのなかで活性化を目指すにあたり、単に人通りを増やすことを目的とするのではなく、人が集まり、関わりが生まれ、新しい動きが起きる環境をどう整えるかが重要な視点とされました。
「計画は作れるが、街はそのとおりに動かない」
基本計画の策定に対する考え方について、紙の上で整えただけの内容では、実際の商店街やまちなかは動かないという現実が語られました。そのため、基本計画では、表面的な課題の列挙にとどまらず、「なぜ今の状況になっているのか」「どこを変えれば状況が動き出すのか」といった点を考え、地域ごとの事情や強みを踏まえた方向性(目指すべき地域の個性をいかした都市像を踏まえた方針※)を描くことが重要であるとの説明がありました。
※中心市街地の活性化を図るための基本的な方針(令和8年3月31日閣議決定)(抄)「該当部分抜粋」
目標と指標をどう考えるか
基本計画における目標設定についても具体的な説明がありました。「なぜその数値を計測する必要があるか」「目標達成のためにどんな行動や事業が必要か」を考える必要があるとされました。
また、中心市街地の課題は、商業施策や施設整備だけで解決できるものではなく、子育て、福祉、教育、交通など、複数の分野が関係する場合が多いことから、部局を越えた整理や、民間の取り組みとの結びつきが欠かせない点も指摘されました。
支援制度の使い方と関係者の関わり
支援制度については、ハード整備・ソフト事業などさまざまな支援策があることが紹介され、制度をどう組み合わせ、どう生かすかが重要であることが示されました。
施設整備を行う場合でも、それがまちなかでどのような役割を持ち、どんな活動につながるのかを考える必要があり、商店街、地権者、住民、事業者など、多様な関係者と協議会の場で議論し、関わってもらうことが重要だと説明されました。
横のつながりと情報共有
最後に、各地域の取り組みを横断的に共有し、互いに学び合う場として「中心市街地活性化プラットフォーム」や関連事業として、シンポジウムや中心市街地活性化ラボ(現地での事例研究会)、情報提供等を実施し、全国各地のまちづくり関係者の皆様にご参加いただけ、情報共有や学び合いに繋がったことが紹介されました。個々の自治体が単独で悩むのではなく、他地域の取り組みや考え方を参考にしながら、自分たちの地域に合った形を見つけていくことの意義が述べられ、プラットフォームへの参画や他のプラットフォームメンバーへの情報提供をいただきたい旨ご案内がありました。
⓶「地域の課題解決によるまちづくり」
経済産業省 中小企業庁 経営支援部 商業課 課長兼中心市街地活性化室長 伊奈友子(いなともこ)氏
本講演では、中小企業政策全体の位置づけを踏まえつつ、中心市街地や商店街を含む地域経済活性化について、現在の国の考え方と施策の方向性が説明されました。
中小企業政策の全体像と商業施策の位置づけ
講演の冒頭では、中小企業政策の全体像が示されました。中小企業政策は大きく二つの類型に整理されており、急成長や事業拡大を目指す企業を対象とした「スケールアップ型」と、地域に根差し、事業を持続させながら経営力や稼ぐ力の向上を図る「パワーアップ型」とに分けられます。スケールアップ型では成長投資や新事業展開を通じた企業育成が重視される一方、パワーアップ型では、小規模事業者を含め、地域の経済や生活を支える事業者が環境変化に対応しながら持続的に発展していくことを重視した支援が展開されています。
商業施策やまちづくりに関する取り組みは、こうしたパワーアップ型の考え方を軸に進められていることが説明されました。
小規模企業振興基本計画(第Ⅲ期)のポイント
続いて、小規模企業振興基本計画(第Ⅲ期)の考え方が説明されました。賃上げ、人手不足、少子高齢化、人口減少などの急激な環境変化の中で、急成長する事業者だけでなく、地域を支え続ける小規模事業者についても、経営力の向上や「稼ぐ力」の強化が求められています。
計画では、地域経済の活性化や地域の生活・コミュニティの活性化、支援機関の体制・連携強化が、重点施策として明確に位置づけられています。
地域の課題解決と小規模事業者の役割
日本の企業の99.7%は中小企業であり、そのうち約8割を小規模事業者が占めています。特に地方では、商業・サービス業を中心とする小規模事業者が、雇用や生活サービス、地域コミュニティを支える重要な存在となっています。
小規模事業者が地域において、お祭りやイベント、防災活動などに関与し、地域とのつながりを支えている実態が紹介されました。地域住民の多くが、小規模事業者を利用することで地域との関係性を感じていることから、小規模事業者が地域課題解決の担い手として期待されている存在であると整理されました。
ローカル・ゼブラ企業と共助の考え方
地域課題解決の新たな担い手として、ローカル・ゼブラ企業が紹介されました。これは、社会課題の解決と収益性の両立を目指して事業を行う企業を指します。行政が担う「公助」と、民間の市場活動である「自助」の間に位置する「共助」の領域を、ビジネスの手法で担う存在として位置づけられています。
中心市街地・商店街活性化に向けた考え方
後半では、中心市街地や商店街活性化について、国として重視しているポイントが示されました。地域として目指す方向性(ビジョン)を共有すること、そのビジョンを実行する民間主体や体制を構築すること、補助金に過度に依存せず持続可能な事業モデルを構築することが重要であると説明されました。国の支援策は、こうした取り組みを下支えするものとして位置づけられています。
➂「まちづくり施策について(都市再生・まちづくり施策の最近の動向)」
国土交通省都市局 まちづくり推進課 官民連携推進室長 太田裕之(おおたひろゆき)氏
本講演では、都市再生を取り巻く社会情勢の変化を踏まえた、現在のまちづくり施策の方向性について説明がありました。特に、都市再生の考え方の転換、支援制度の体系、そして持続的なエリアマネジメントの重要性について、事例を交えながら整理されました。
都市再生をめぐる考え方の変化
はじめに、都市再生の背景となる考え方の整理が行われました。都市再生特別措置法の制定から約20年が経過し、これまで国際競争力の強化やにぎわい創出、防災機能の向上などに一定の成果があった一方、社会経済情勢に目を向けると、人口減少や建設コスト高騰、価値観の多様化といった新たな課題が顕在化しています。
こうした状況を踏まえ、国土交通省では有識者による懇談会を設置し、「成熟社会の共感都市再生ビジョン」(以下「都市再生ビジョン」と言う)を取りまとめました。安全性や利便性といった「都市の普遍的価値」に加え、歴史や文化、コミュニティといった「都市固有の魅力」を活かし、共感を生む都市づくりを進めることが重要であると示されています。
都市再生ビジョンに示された5つの柱
都市再生ビジョンでは、今後の都市再生の方向性として、①協働型都市再生によるウェルビーイングの向上、②余白を楽しむパブリックライフの浸透、③地域資源の保全と活用によるシビックプライドの醸成、④業務機能をはじめとする多様な機能集積による稼ぐ力の創出、⑤共創・支援型エリアマネジメントによる地域経営、の5つが柱として整理されています。
特に、ハード整備にとどまらず、公共空間の利活用やエリアマネジメントといったソフト面の取り組みを、公共貢献として適切に評価していく流れが強調されました。
都市再生に関する主な支援制度
続いて、都市再生に関する支援制度の説明がありました。都市再生整備計画に基づく事業(旧・まちづくり交付金)を基本に、立地適正化計画と連動した「都市構造再編集中支援事業」、歩行者中心の空間づくりを行う「まちなかウォーカブル推進事業」が紹介されました。
都市構造再編集中支援事業は、都市機能誘導区域等における施設整備や防災強化等を対象とし、都市構造全体の再編を支援する制度です。一方、まちなかウォーカブル推進事業は、徒歩圏内のエリアを対象に、道路や広場の改変、滞在空間の創出を行うもので、官民が一体となった取り組みが前提とされています。
まちなかウォーカブル推進事業
まちなかウォーカブル推進事業では、行政による道路や広場の整備に加え、民地のオープンスペース化や建物低層部の開放など、民間側の取り組みを組み合わせて展開することの重要性が説明されました。人中心の空間を実現するためには、行政のみで完結するのではなく、官民が将来像やビジョンを共有した上で、公共空間と民有地を一体的に活用していくことが前提となります。
こうした取り組みを後押しする仕組みとして、補助制度や税制優遇、占用に関する規制緩和などが用意されていることも紹介されました。事例を挙げながら、空間整備に先立ち、関係者間でビジョンを共有し、試行を重ねながら進めていく点が共通していることが説明されました。
持続的なエリアマネジメントの推進
最後に、まちづくりは「つくって終わり」ではなく、継続的に価値を高めていくことが重要であり、そのための方策としてエリアマネジメントが位置づけられていることが説明されました。多様な主体が参加するエリアプラットフォームを構築し、将来ビジョンを共有した上で、社会実験や管理運営を行う流れが示されました。
あわせて、都市再生推進法人制度が紹介され、公共空間の活用や調整役を担う主体として、全国で約150団体まで広がっている現状が説明されました。
3.事例学習・グループディスカッション
午後の事例学習・グループディスカッションは、5つの個別テーマに合わせて実施しました。出席者は、あらかじめ希望した2つの個別テーマのグループに入り、90分間×2回のディスカッションに臨みました。各グループでのファシリテーションは、中心市街地活性化やまちづくり等に精通する中小機構の中小企業アドバイザーが担当し、知識や経験に基づく事例を示しながら、ディスカッションを進行しました。
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グループ名
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個別テーマ
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A
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インバウンド・観光 「チャンスをつかもう!無理なくできるインバウンド・観光対応」
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B
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地域ブランディング 「その地域ブランドは、なぜうまくいかないか?」
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C
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エリアマネジメント 「自分たちでつくるまちの未来と運営のポイントを知りたい」
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D
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人材の発掘・巻き込み 「人材の見つけ方や、内外の人材の巻き込み方を知りたい」
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E
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収益事業 「商店街やまち会社ができる様々な収益事業について知りたい」
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事例学習・グループディスカッションの様子
事例学習・グループディスカッションの終了後、結果の共有が行われました。
A グループ(インバウンド・観光)
1回目のディスカッションでは、インバウンドが順調に推移している地域が多く、オーバーツーリズムなどの深刻な課題よりも、さらにうまく推進するための工夫やアイデアを共有する議論が中心となりました。クルーズ船が寄港する都市もあれば、観光基盤が限られる地域もあることから、地域の特性に応じた取り組みが必要であるという点を確認しました。2回目では、インバウンドに限らず、広域からの集客をどのように図るかという視点へ話題が広がり、観光全体の戦略に関する議論となりました。
B グループ(地域ブランディング)
「キャラクターや商品を作っても認知が広がらない」「ブランドとして軌道に乗らない」といった悩みが多く挙がりました。誰に向けて発信すべきかが明確でないケースも多く、ターゲット設定の難しさが共有されました。「地域の誇りとして身につけたいもの」「贈り物として渡したい地域の品」を考える場面がありましたが、意外にもすぐに思いつかない状況が見られました。一方で、子どもの頃から親しんできたお菓子など、身近なものこそ本来のブランドになり得るのではないかという気づきも共有されました。ブランドづくりは新しい商品をつくるだけではなく、生活文化や自然そのものが価値となる場合もあることから、まずは地域内で誇りを共有するインナーブランディングが重要であるという認識に至りました。
C グループ(エリアマネジメント)
エリアマネジメントについて、すでに取り組みを進めている地域と、これから検討する地域に分かれており、後者からは、エリアマネジメントという言葉の意味が分かりにくいという声もありました。そのため、エリアマネジメントがまちづくりにどのように影響するのかという基本的な点から議論を進めました。ショッピングセンターの最新動向として、売り場づくりよりも滞在時間を重視し、快適なサードプレイスとしての空間づくりに重点が移っているという事例が紹介され、中心市街地でも同様に、商業に頼るだけでなく滞在価値を高める空間づくりと継続的なマネジメントが必要であるとの意見が示されました。こうした視点を踏まえ、中心市街地が新たな価値を創出し、再生につながるようなマネジメントのあり方が求められることを共有しました。
D グループ(人材の発掘・巻き込み)
関わる人材が固定化しており、商店街役員や学生の関わり手が長期間変わらず、アイデアも固定化してしまうという課題が挙がりました。また、行政やまちづくり会社では人事異動や出向により継続性が確保しにくく、取り組みが十分に引き継がれないという問題も共有されました。さらに、アイデアは出ても実行する人材が不足していることが大きな課題として指摘されました。巻き込みたい人材像としては、地域にネットワークを持つ人や、イベントなどの主体者となり得る人、多様な関係者をつなぐコーディネーターやアドバイザーといった、巻き込み力のある人材が重要であるとの意見が多く出されました。行政は公平性の観点から積極的な巻き込みが難しいため、第三者的な立場の人が関係者をつなぎ、巻き込みの役割を担うことが有効ではないかという考えが共有されました。
E グループ(収益事業)
収益性がある事業であれば通常は民間が担っており、地域の規模や特性によって課題が収益事業になるかどうかが分かれるという点が共有されました。収益事業化が難しい場合には、周辺の事業と組み合わせて財源を補完するなど、柔軟な発想が必要であるとの意見が出されました。また、デジタル技術の発展により、従来は収益化が想定しにくかった領域でも可能性が広がっているため、地域資源や事業候補をあらためて洗い出すことが有効であるという提案もありました。さらに、人材の配置については専任と兼務の選択や、出向、協力隊などの仕組みの活用が議論されました。民間のみでは対応が難しい領域に自治体が関与することで成果につながった実例として、株式会社みらいもりやま21(滋賀県守山市)の事例が紹介されました。
本勉強会は、全国各地から多様な立場の皆さまにご参加いただき、各地域の経験や課題、実践知を率直に共有していただく貴重な機会となりました。ご登壇いただいた各府省庁の皆さまをはじめ、事例学習・グループディスカッションで積極的に議論を交わしてくださった参加者の皆さまに、心より御礼申し上げます。
中心市街地活性化は、制度や枠組みの活用にとどまらず、地域の主体性と継続的な実践に支えられて進んでいくものです。今回いただいた示唆や意見は、今後の地域づくりを進めるうえでの大きな力となるはずです。当センターとしても、引き続き各地域の取り組みに寄り添い、ネットワークづくりや情報共有の場を提供しながら、皆さまとともに持続可能な中心市街地の実現に向けて取り組んでまいります。
改めまして、ご参加・ご協力いただきましたすべての皆さまに深く感謝申し上げます。
