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中心市街地活性化協議会支援センター

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令和7年度「地域交流会in沖縄~持続可能なまちづくりを考える~」レポート

 2025年12月8日(月)、沖縄県那覇市において令和7年度の沖縄地域交流会を開催しました。
 「持続可能なまちづくりを考える」というテーマのもと、基調講演とパネルディスカッションという内容で行われました。県内を中心に53名の参加者が集まり、会場は活気あふれる雰囲気に包まれました。

 主催:内閣府沖縄総合事務局
 共催:独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)




会場の様子
会場の様子

目次

1.基調講演

2.パネルディスカッション

※各目次をクリックすると、それぞれの記事にジャンプします。

 【プログラム】 
12/8 1.開会挨拶 15:00
2.基調講演 15:05~16:05
「創造的かつ持続可能な街づくりへの挑戦」
 高松丸亀町商店街振興組合 理事長 古川康造 氏
3.パネルディスカッション 16:15~17:25
 【モデレーター】
  全国タウンマネージャー協会会長 松井洋一郎 氏
 【パネリスト】
  高松丸亀町商店街振興組合 理事長 古川康造 氏
  たじみDMO COO(最高執行責任者) 小口英二 氏
  合同会社イドムス 代表社員 廣瀨 陽氏
  一般社団法人デポアイランド通り会 会長 奥原 悟氏
4.名刺交換会

 

1.基調講演「創造的かつ持続可能な街づくりへの挑戦」 

高松丸亀町商店街振興組合 理事長 古川康造 氏

講演する古川さん
講演する古川さん

 高松丸亀町商店街は、香川県高松市中心部にある全長約470メートルのアーケード商店街で、400年以上の歴史を持ちます。環境変化に伴う存続の危機にあった1990年代から再開発に着手し、現在も一部の区域は開発進行中ですが、地域一帯は「商住一体型」の街として復活しつつあります。当初約1,500人だった住民は一時約75人にまで減少し、その後約1,000人にまで回復したそうです。
 高さ約20〜30メートルのガラスアーケードや「壱番街ドーム広場」が特徴で、ハイブランドからファッション、グルメ、雑貨など多彩な店舗が並びます。

7つの街区に分かれる商店街をスライドで説明
7つの街区に分かれる商店街をスライドで説明

 古川さんは、丸亀町商店街における課題解決の核心を「土地の利用権と所有権の分離」と話されました。具体的には、定期借地権を活用し商店街の地権者全員に利用権を60年放棄してもらうことで、まちづくり会社が一体的に商店街の再開発を行ったとのことです。また計画を進めるにあたっては、従来のまちづくりの発想を転換し、「①失敗例から学ぶ、②客ではなく「居住者」を取り戻す、③前例主義にこだわらない民間主導」という考え方に基づいて計画を進めたそうです。
 将来的な高齢人口の増大や車社会の限界も見据え、商店街の上層にマンションを設置、さらに自治会で運営する総合メディカルクリニックを設けて、まちなかで暮らしが完結できるようにしたとのこと。高齢者が暮らしやすいまち目指しているそうです。

 これからの商店街は公共性に目覚める必要がある、そのうえで官民連携が重要とも話されました。そして「再開発にはリスクが伴う。こういうまちを創りたいという思いを叶えるための‘手段’としてとらえるべきだ」と結びました。


2.パネルディスカッション

 パネルディスカッションは、パネリストが自己紹介を兼ねてご自身の取り組みについて説明をした後、モデレーターの松井さんから質問をする形で進みました。

【自己紹介】
(小口さん)
 岐阜県多治見市の「たじみDMO」は、観光地域づくり法人として、空き店舗をリノベーションした「ヒラクビル」や古民家を活用した「かまや多治見」などの複合施設の運営を行っているそうです。「たじみビジネスプランコンテスト」「さかさま不動産」などの地域プレイヤーの発掘と開業に向けた伴走支援に取り組んでいるとのことです。

(廣瀨さん)
 沖縄県沖縄市の「合同会社イドムス」は、コザ商店街の中心市街地活性化を目的とするまちづくり会社で、商店街の振興やイベント企画などを行っているそうです。補助金に頼らないまちづくりを目指し、現在は中央パークアベニューの双方向通行化や防犯等の課題に取り組んでいるとのことです。

廣瀨さんの説明の様子
廣瀨さんの説明の様子

 (奥原さん)
 沖縄県北谷町の「一般社団法人デポアイランド通り会」は、美浜・アメリカンビレッジ内の商店街を中心に、エリア全体の運営・調整・プロモーション等を担っているそうです。「電線地中化・回遊性向上・公共空間の創出」により安全性・賑わい・美観の維持向上を図っているそうです。

奥原さんが説明したデポアイランド通りについてのスライド
奥原さんが説明したデポアイランド通りについてのスライド

 【質問】
 はじめに、松井さんから「持続のための資金調達方法」と「課題解決のための思考」について質問がありました。
 小口さんは、リノベーション事業や創業支援といった収入につながりにくい事業を、駐車場管理等の不動産事業での収入で補っていることを紹介しました。不動産事業では、管理中心から直営の物件が増え、その分売上がアップしているとのこと。更にサブリースや物件購入等も進めているそうです。
 廣瀨さんも、駐車場の管理・運営を自動化して売上につなげているそうです。また、若手がまちづくりに取り組めるような土壌を作ることを心がけているそうです。
 古川さんは、財源を確保してから新しい取り組みに動くことを強調されました。駐車場運営での収入のほか、商店街上層の総合メディカルクリニックが新たな収入源として成長しているとのことです。
 奥原さんは、稼ぐという発想よりもまちを創るという発想を大切にしているそうです。まちの発展の仕組みを構築すれば人が集まり、それが賑わいや収入にもつながるとのこと。そのためには人材の活かし方が重要だと話されました。

 次に、「まちづくり会社の収支」について質問がありました。
 廣瀨さんは、商店街の衰退の原因の1つとして「補助金頼りの体質」にあるとしました。補助金がなければ何もやらない・行政が何とかしてくれる、という依存体質から抜け出し、自ら汗をかきつつ、官民がWINWINになるようにすることが大切と話されました。
 小口さんは、たじみDMO(観光地域づくり法人)が行政出資会社であることに触れ、行政と連携しながら事業を行っていると話されました。その際、民間や市民の声を取り入れることを重視するとともに、事業の民営化なども行っているそうです。
 奥原さんは、まちの価値を上げるという視点を挙げました。民間がまちの価値向上に関わる投資を積極的に実施し、行政が制度設計のなかで協力・支援する姿を「民間の妄想力・行政の受入れ力」という表現で示されました。
 古川さんは、公的補助金の活用について「補助金があるから何かやろうではなく、民間でやりたいことがあるから使う」という考え方を示されました。補助金はまちへの投資であり、それによってまちの価値が高まれば、固定資産税の増により還元可能であるとも話されました。

(右から)松井さん、古川さん、小口さん、廣瀨さん、奥原さん
(右から)松井さん、古川さん、小口さん、廣瀨さん、奥原さん

 続けて、「まちづくりと行政の関わり」について質問がありました。
 古川さんは、1つ成功例ができれば行政は協力的になってくれる、やりたいことの実現のために制度や規制の緩和をどのように引き出すか、行政との協力・連携は重要だとしました。
 奥原さんは、民間が責任をもって、地域の発展に向けた成果を出すという姿勢を示すことが大切としました。
 廣瀨さんは、行政での人事異動等が方向性の統一に影響することがあること、一方で商店街側でも方向性をきちんと持つことを指摘されました。また、まちづくりにかかる規制だけでなく、規制緩和についても、行政側がアイデアを出すことが大切としました。
 小口さんは、現状にとどまらず、行政と課題感を摺り寄せていくことが大切としました。

 最後に松井さんから、パネルディスカッションを通じて「人の存在の大切さを改めて感じた。人材がいたからこそまちづくりが進んだ」と感想を述べられました。「どんな人でもどのような立場の方でもまちづくりはスタートできる。3年後、10年後の未来がどうなるか分からなくても、こうありたい、と人は将来を描くことができる。皆さんとともに、明るい未来を描いていきたいです」と結びました。