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全国中心市街地活性化まちづくり連絡会議第24回勉強会

全国中心市街地活性化まちづくり連絡会議第24回勉強会

2019年7月4日から5日にかけて東京都新宿区で開催された「全国中心市街地活性化まちづくり連絡会議第24回勉強会」に参加させていただきましたので、概要を紹介します。

   

参考リンク)全国中心市街地活性化まちづくり連絡会議(以下、「全まち会議」) 別ウィンドウで開きます

全国中心市街地活性化まちづくり連絡会議第24回勉強会 次第

(1)勉強会1【7月4日(木曜)14時15分~17時00分】
1)講演①「立地適正化計画の現状とこれから」 国土交通省 都市局 都市計画課
課長補佐 松村知樹氏
2)講演②「和歌山市のまちづくり~和歌山市の現在とこれから~」
和歌山市 都市建設局 都市計画部 都市再生課
中村英人氏
3)国からの情報提供 内閣府 地方創生推進事務局
参事官補佐 伊藤嘉道氏

経済産業省 経済産業政策局 地域経済産業グループ 中心市街地活性化室
室長補佐 鈴木貴嗣氏

国土交通省 都市局 まちづくり推進課 官民連携推進室
企画専門官 塚田友美氏
(2)勉強会2【7月5日(金曜)9時30分~11時30分】
1.グループ討議

2.成果発表

2.全まち会議第24回勉強会の概要

立地適正化計画の現状とこれから

国土交通省 都市局 都市計画課・松村課長補佐より、立地適正化計画の現状とこれからについて説明いただきました。

まず、コンパクト・プラス・ネットワークの計画制度として、立地適正化計画と地域公共交通網形成計画が連携して好循環を生むことや、土地用途を規制する性格を持つ都市計画とインフラを誘導する性格をもつ立地適正化計画を組み合わせることで人口減少におけるスポンジ化への対応を図ることが出来るなど、立地適正化を軸としたスキームの説明がありました。

次に、立地適正化計画に関する国の主な取組経緯が示され、それに呼応するように立地適正化計画を作成する市町村数が増加してきた現状が示されました。

その上で、立地適正化計画に取り組む市町村の事例が示されました。立地適正化計画を土台に子育て世代の流入・定住・交流に特化した大阪府大東市の事例、立地適正化計画を都市計画と組み合わせ、防災対策を進める神奈川県藤沢氏の事例、広域連携の事例として複数の地域が連携し都市機能の役割分担と連携が進む中播磨圏域の例などが示されました。

さらに、立地適正化計画に取り組む市町村データを集計し、立地適正化計画に関する成果と課題を示した上で、コンパクトシティ政策の充実に向けた4つのポイントが以下のように示されました。

  1. コンパクトシティの意義を再認識すること
  2. 市街地の無秩序な拡散を抑制すること
  3. 居住誘導区域の魅力を高めるとともに、区域外でも各々の特性に応じた地域づくりを促進すること
  4. 分野や市町村域を超えた連携、中でも防災対策との連動を推進すること

以上の4つのポイントを踏まえながら、今後も立地適正化計画の推進を図り、2025年時点で立地適正化計画を作成する市町村数を600にしたいとしました。

国土交通省・松村知樹氏
国土交通省・松村知樹氏

和歌山市のまちづくり~和歌山市の現在とこれから~

和歌山市都市建設局都市計画部都市再生課・中村英人氏より、和歌山市のまちづくりの現状とこれからについて説明いただきました。

まず、和歌山市の人口や世帯などの基本データ、食や歴史・史跡、自然、産業など、和歌山市の紹介がありました。

その上で、和歌山市の現在の課題が示されました。人口減や人口密度の低下、中心市街地の衰退です。

人口減少は、出生率の低下や域外への進学が要因となっています。人口密度は、和歌山市は戦災による旧市街地消失が大きな要因です。現在の中心市街地は戦災復興区画整理により形成されたものですが、旧市街地の消失を発端に、高度経済成長を経てDIDは3倍に拡大してしまいます。
また、先述の人口減少は中心市街地を中心に起こっており、それが原因で中心市街地の魅力は失われ、遊休不動産・駐車場の増加、路線価の低下などが顕著となりました。

この課題に対応するため、行政主導の活性化計画が展開されましたが、解決に至りませんでした。それに対し危機感を抱いた民間が立ち上がり、和歌山市は立地適正化計画を軸に官民連携の活性化策に乗り出すこととなります。

まず、立地適正化計画、市街地調整区域の開発基準を連携させ都市マスタープランを改定。規制と誘導を一体的に取り組む計画により実効性を確保しました。

その上で打ち出された中心市街地の再編策は、①中心市街地の教育・生活環境を再編・整備して居住人口を回復させること、②従業・就学人口を呼び戻し、就業・賑わいのコンパクトシティの核として再構築することです。
具体的には、市内の4つの小・中学校を小中一貫校として1つに集約しました。そして、残り3つの学校跡地には、教育学部や看護学部、薬学部の3大学を誘致しました。その結果、約1,300名の学生を中心市街地に呼び込むことができました。さらに、学校跡地には認定こども園や地域交流センターなどを設置し都市機能の充実を図りました。

また、和歌山城周辺には、回遊性向上を図るため、交流センターや公園の整備・充実が予定され、和歌山駅周辺においては、オフィス・商業・ホテル・公益施設が一体となって整備され、まちの利便性を高めています。

これに呼応する民間の動きは、マンションなどの居住施設の投資が進むと同時に、リノベーションやソフト事業が展開されています。具体的にはリノベーションスクールの実施によりまちづくりプレイヤーが育成され、5社のまちづくり会社が設立されました。
リノベーションスクールで提案されたものの中で7件が事業化されました。また、その後もリノベーションスクール受講生が携わり事業化されたものが10件にものぼり、まちなかのコンテンツが充実しつつあります。

さらに、和歌山市では、全国最多の9法人が都市再生推進法人として、マーケットや水辺を活用したまちづくり事業を展開し、まちに活気を与えています。この取り組みが評価され、2019年6月には、和歌山市の都市再生推進法人のひとつである株式会社紀州まちづくり舎が第8回まちづくり法人国土交通大臣賞を受賞しました。

最後には、和歌山市のこれからの取り組みの説明がありました。
和歌山市では、2017年には、宿泊者数や外国人労働者が過去最高数値を更新するといったビジネスチャンスの拡がりを示唆する事象がありました。
これをチャンスと捉え、若年層や子育て世代など次世代を担うまち、既存商業だけでなく新規創業ができるまちとして成長していくために、人と人が交流し新たな発見ができる場や、自己実現や個性を醸成する場が必要であり、その支援を市役所は果たしていきたいとしました。

和歌山市・中村英人氏
和歌山市・中村英人氏

国等からの情報提供

講演後は、内閣府 伊藤嘉道氏、経済産業省 鈴木 貴嗣氏、国土交通省 塚田 友美氏から、各府省の取組について情報提供がありました。詳細は以下、URLをご参照ください。

内閣府

内閣府地方創生事務局ホームページ

内閣府 伊藤嘉道氏
内閣府 伊藤嘉道氏
経済産業省

経済産業省中心市街地活性化ホームページ
経済産業省の主な支援について

経済産業省 鈴木 貴嗣氏
経済産業省 鈴木 貴嗣氏
国土交通省

国土交通省 都市局 まちづくり推進課 官民連携推進室ホームページ

国土交通省 塚田 友美氏
国土交通省 塚田 友美氏

グループ討議

2日目は、中心市街地活性化に係るケーススタディを行いました。「新幹線の開業を契機とした中心市街地活性化とコンパクトシティ化の潮流を作り出す施策」や、「郊外ロードサイドのショッピングセンターの利便性が高まる中、中心市街地の商業施設の利用促進を図る施策」、「中心市街地の空き家・空き地の有効活用策」など地域課題として顕著な事例についてグループごとに対応策を議論し、共有しました。

グループ討議・発表の様子
グループ討議・発表の様子