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中心市街地活性化協議会支援センター

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駅前地区再開発事業支援と周辺エリア活性化の取り組み
(山口県周南市)

 周南市の中心市街地では、市街地再開発事業が進められています。
 周南市中心市街地活性化協議会では、ただ再開発事業の完成を待つのではなく、中心市街地に必要な取り組みを見つけ出し、今からできる取り組みを始めようとしています。

計画2期目の取り組み

 周南市は山口県の東南部に位置、人口は139,896人(2021年9月現在)。市の中核である徳山は瀬戸内海に面し、かつての日本海軍燃料廠に由来する石油精製業といった重化学工業で栄えてきました。中心市街地は駅、目抜き通り、商業地区を中心に発展してきましたが、郊外型大型店の進出などにより空洞化、その後大型店の撤退など状況が変わってきた歴史があります。

 周南市は認定中心市街地活性化基本計画の2期目を迎えています。1期目では、主に徳山駅前賑わい交流施設の開館や駅前の整備等を行うとともに、テナントミックス推進事業により商店街の空き店舗対策に取り組みました。

(徳山駅地区市街地再開発組合 HPより)

 2期計画では、これまでの取り組みの成果を踏まえ、商業機能の充実等による来街者増加、回遊性向上への対策などに継続して取り組んでいます。

徳山駅前地区の市街地再開発

 2期計画の取り組みの一つとして、現在、徳山駅前地区では、市街地の再開発が行われています。徳山商工会議所の事務所などが入る駅前棟、分譲マンションの住宅棟、ホテル、商業棟、駐車場などが建設されます。
 新たな回遊拠点となる集客施設の実現を目指しており、駅前棟は2022年春以降、施設全体の完成は2023年秋以降の予定です。

(徳山駅前地区市街地再開発組合 再開発事業・計画概要(令和3年3月18日更新)より)
  • (対象地区図)
    徳山駅前地区市街地再開発組合 再開発事業・計画概要(令和3年3月18日更新)より
  • (赤い点線:再開発事業の位置)
    周辺区域でエリアマネジメントを検討
徳山駅前地区市街地再開発組合 再開発事業・計画概要(令和3年3月18日更新)より

ゾーニング&マグネット会議の発足

 徳山駅前地区の再開発が進んでいる中、再開発エリアだけではまちの活性化につながらない、再開発以外のエリアでもエリアマネジメントが必要だという考えのもと始まったのがゾーニング&マグネット会議(以下、Z&M会議)です。
 →(ゾーニング)再開発区域以外のエリア活性化について討議
 →(マグネット)行きたくなるお店や通りの検討

(周南市中心市街地活性化協議会の会議体)
周南市中心市街地活性化協議会では、総会、運営会議などの意思決定を行う機関の下に、中心市街地の活性化を戦略的に進める企画調整機関としてタウンマネジメント会議(以下、TM会議)を設置し、事業の進捗状況確認、課題の共有、対応策検討などを活発に行っています。
Z&M会議は、TM会議から派生した部会で、再開発支援を行っています。

 TM会議では、令和3年度3つの活動の推進を強化しています。
 ・再開発事業への支援
 ・駅と中心市街地を結ぶ回遊性の創出
 ・未来ビジョン「ミライバしゅうなん」の広報と活用

周南市中心市街地活性化協議会 体制図

Z&M会議 これまでの取り組み

 Z&M会議では、再開発エリアを含めた中心市街地の商業者や地権者へのヒアリングや、「買物の際に重視していること」をテーマにグループワーク等を行ってきました。

 グループワークは、徳山駅周辺で働く20代から50代の「まちを知っている」女性が参加し、「街にあったらうれしいお店」「街で魅力的なお店やポイント」について意見を出してもらいました。
このときに出た意見やアイデアが、周南市の「テナントミックス推進事業費補助金」の交付要件等に反映されました。自治体の取り組みに住民の意見が反映されたものといえます。

(周南市のテナントミックス推進事業とは)
 商店街に不足しているテナントの誘致や新規起業家を支援することにより、魅力と活気のある商店街を創造することを目的とした事業です。
 補助対象エリアの空き店舗での出店を促すため、意欲ある出展者に対し補助金を交付します。

■ テナントミックス推進事業費補助金 別ウィンドウでpdfファイルを開きます

周南市まちづくりセミナー開催

 その後、前回グループワーク参加者からの要望があったこともあり、再開発エリア周辺の回遊性向上等を目的に、中小機構のセミナー型支援を活用して「中心市街地に欲しいコト、中心市街地でやりたいコト」という、さらに一歩踏み込んだテーマでセミナーを開催しました。

(セミナー型支援)
中心市街地での個別事業の実施や中心市街地活性化協議会の活動のヒントを提供するセミナー・研修会などの企画・立案支援、講師の派遣を行います。

(参考リンク) 中小機構 中心市街地活性化支援 別ウィンドウで開きます

 徳山商工会議所の内山氏より周南市中活協の取り組み等現況の説明があった後、周南市中心市街地活性化推進課の近松氏より、「前回のワークショップの意見を踏まえてテナントミックス推進事業の重点出店業種や補助額の傾斜を決定した」と報告がありました。

  • (徳山商工会議所 内山氏)
  • (周南市役所 近松氏)

講演「人が集う魅力づくり」

 講演では、株式会社プランニングコンサルタント代表取締役 大橋賢也講師より、前回グループワークで出た意見「よかったこと」「改善事項」の振り返りと、「まちに人を集める方法」のテーマでお話いただきました。

  • (大橋賢也講師)
  • (中小機構 実際にセミナーで使用した資料)

ワークショップ

 講演後、中小機構の専門家が進行役を務めながら、「中心市街地に欲しいコト、やりたいコト」をテーマにワークショップを実施。まず、各班で取り上げたいテーマを選び、
・良い点をさらに伸ばすため、「どんなモノ(商品・買い物)、コト(サービス・体験)があれば、魅力を備えられるのか」
・改善事項は、「どんなモノ(商品・買い物)、コト(取組)があれば改善できるのか」
必要なハード(施設)やソフト(イベント)、「誰がやるか」を話し合いながら、アイデアを出し合い、思いつくものを付箋に記入していきました。

  • A班テーマ
    (良い点)お店・人のディープなつながり
  • B班テーマ
    (改善点)子供と楽しめる環境づくり

発表

〇A班のテーマ 『(良い点)お店・人のディープなつながり』
 A班はさまざまな世代の女性が集まったグループで、お店と人のつながりをどう深めていくか、をテーマに検討しました。「商店街に子供に集まる仕組み」を作っていったらどうか、「大人も商店街のお店を知る機会があったらいい」「チャレンジショップ的なものがあったらいい」等の意見が出ました。

〇B班のテーマ 『(改善点)子供と楽しめる環境づくり』
 B班は小さいお子さんがいる世代の女性が集まったグループで、「子供と楽しめる環境づくり」のため、何があると良いかをテーマに話し合いました。「休める場所が少ない」「歩道が狭い」といったハード面での不足のほか、子供が帰り道に寄れる拠点や親同士が交流できるきっかけになるような場など、「コト(サービス・体験)」についての意見が多くありました。

総括

 オブザーバーとして出席した中小機構まちづくり推進室の安達室長は、閉会挨拶としてワークショップを振り返りながら、「皆さんはまちをよく知っていると思いますが、実際歩いてみてわかることもあります。今日のワークショップを思い出しながら歩いてみて、気づいたこと等を協議会にフィードバックしていただけるとありがたい。」と総括しました。

今後の展開

 今回の参加者は、前回のグループワークに出席者した女性達ということもあり、積極的に意見を交わす様子が見られました。ワークショップで出た意見やアイデアは「事業テーマ」と「事業主体」にまとめて、今後のZ&M会議で議論する予定です。
 女性のグループだったこともあり、「子供」の着眼点で、子育てにおける様々なシーンを想定した意見・アイデアが生まれました。今後はさらに幅を広げて、エリア内で事業をやっている方や大学生など、別の層でもワークショップ開催を検討中です。

 周南市中心市街地活性化協議会では、引き続き再開発エリア周辺の活性化、回遊性向上を目指して、事業案つくりや事業主体の掘り起こし等、取り組みを進めていく予定です。