(株)まちづくり田辺
取り組みのポイント
(株)まちづくり田辺は、地元若手グループの連携の中心で、若手グループとともに活性化に向けた様々なソフト事業を実施し、賑わい創出にあたっている。
市、商工会議所の協力により(株)まちづくり田辺のスタッフを強化し、認定を受けた基本計画の実施体制の確立を図っている。
(株)まちづくり田辺の財政基盤の確立が今後の課題。
会社の概要
- 会社名:
- (株)まちづくり田辺
- 所在地:
- 和歌山県田辺市
- 設立日:
- 平成20年4月
- 資本金:
- 1600万円
- 主な出資者:
- 田辺市、田辺商工会議所、
金融機関、商店主
- 従業員:
- 4名
まちの概要
位置・人口
田辺市は紀伊半島西部に位置する和歌山県第二の都市
人口8.3万人(中心市街地人口1.1万人)の紀南地方の中心都市
交通アクセス
紀伊半島に沿って走るJR特急で大阪まで2時間、また市内に高速道路のICが開設され、大阪へ車でも約2時間で行くことができます。
まちの特色
近畿最大の面積を有する市で、梅、ミカン、海産物など豊富な地域資源に恵まれています。
世界遺産熊野古道中辺路ルートの玄関口として近年注目が高まっています。
中心市街地の現状
現状と課題
市郊外部への相次ぐ大型店の出店や商店主の高齢化等により、ここ10年で中心市街地の商店数は3割減、販売額は7割減と衰退が著しい。賑わいを回復するには、駐車場の整備、不足業種や魅力ある店舗の誘致など商業機能の充実が課題となっています。
活性化策
こうした課題に対応するため、(株)まちづくり田辺を設立し、平成20年5月に中心市街地活性化協議会を設置しました。平成21年3月には基本計画の認定を受け、交流の促進と商業機能の再構築による賑わい創出に向け、本格的に取り組んでいるところです。
まちづくり会社の取組み
(株)まちづくり田辺は、基本計画の民間事業の中心的担い手として、また協議会事務局として地元の大きな期待のもと設立されました。課題であったスタッフの強化では、当初、商工会議所と行政の協力で1名ずつの専従による実施体制を確立し、更に9月からは2名を新規に採用し、4名体制となりました。
現在まちづくり田辺が中心となり、事業の計画、実施段階で、商工会議所や行政と頻繁に打ち合わせを行い、緊密な連携を図っています。
また、戦略補助金を活用し商店街の中心に位置する古い洋館を飲食や交流のできる複合施設(「銀座複合施設」)として再生させる事業に取組み、地権者との交渉、テナントミックス計画の作成にあたっています。
また空き家空き店舗の情報を収集・提供し、まちなかへの出店や居住の希望者とのマッチングがスムーズに行える情報一元管理システムの構築に取り組んでいます。
とくに地元若手グループとの強い連携により、様々な事業を行っていることに田辺の特色があります。あがら☆たなべぇ調査隊や田辺市商店街振興組合連合会青年部などの若手グループとともに、次の事業に取り組み、賑わい創出に貢献しています。
扇ヶ浜海水浴場への観光客をまちなかに導くレンタサイクル事業
まちなかを知って楽しんでもらう「手作りまち歩きマップ」の作成
Webを使ったまちなか観光発信事業
イルカふれあい体験事業
(地元マスコミに取り上げられ、集客に大きく貢献しました。)
市民参加で若い人にアイデアを出してもらう意見交換会を開き、若い人たちが活動に参加しやすい環境作りにも努めています。また若手グループに信頼の厚いまちづくり田辺の尾崎さんは「イベントに参加して、多くの人とふれあい、意見交換することで若い人は育っていく。そういった機会を多く提供していくことが必要」と話されます。それが若手グループの育成に繋がっているようです。
今後の課題
今後とも若手グループと連携をとり、田辺市で生まれた弁慶をモチーフにした、地元で人気のキャラクター「たなべぇ」の商品化事業やアート性のあるイベントなどに取り組んでいく考えです。
一方これからの課題は、不動産情報の収集提供事業など収益確保のできる事業を早急に確立し、持続的な事業活動ができる財政基盤を確立することです。
関係者の声、まちの声
あがら☆たなべぇ調査隊やイベントに参加している若い女性からは、「魅力あるリーダーががんばっているから応援したくなる」、「気楽に参加できる雰囲気があって、やっていても楽しい」との声が上がっています。
取材を終えて
田辺市では基本計画の事業に着手したばかりですが、(株)まちづくり田辺を中心に様々な組織がみんなで汗をかきながら取組んでおり、今後の事業成果が大いに期待されます。