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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

若者によるまちづくり企画の支援取り組み(福井県福井市)

若者によるまちづくり企画の支援取り組み(福井県福井市)

 【2023年を見据えた取り組み】
福井市は人口263千人(令和元年12月現在)、中心市街地活性化基本計画は2期目を終了、民間の投資も促進され、活発なまちづくり推進が行われています。
その中心ともいえるまちづくり団体がまちづくり福井株式会社(以下、まちづくり福井)です。まちづくり福井は都市再生推進法人の認定も受けており、占用許可の特例を活用した地域の歩道や車道などでのイベントも積極的に行っています。
 そのような背景の中、まちづくり福井では実践型リノベーションまちづくり講座(DiscoveRe-FUKUI)を開催しました。この講座は、2023年の北陸新幹線福井開業を見据えて動き出している再開発事業とリノベーションが共存し補完し合うことで、他市にない福井独自の個性と魅力を生み出すための取り組みであり、まちなかの使われていない建物とともに、地域の公園や河原などの公共空間を有効活用し、そのエリアの価値を高めていく「エリアリノベーション」を企画し実践するプレーヤーの発掘、そしてまちづくり福井がその実現のための支援を行うというものです。



この講座の参加者に対しては、あらかじめ3つの遊休不動産に対するリノベーション案件が準備されており、リノベーションやまちのレクチャー、グループワークなどを通し、参加者が練り上げた企画案を遊休不動産のオーナーなどにプレゼンをしていただきました。
まちづくり福井では現在この3件の企画実現に向けた支援を行っています。



(実践型リノベーションまちづくり講座 DiscoveRe-FUKUIの募集チラシ)
(実践型リノベーションまちづくり講座 DiscoveRe-FUKUIの募集チラシ)

【補助金に頼らない施策】
 今回行われた実践型リノベーションまちづくり講座(DiscoveRe-FUKUI)の運営資金はクラウドファンディングによって調達されました。まちづくり福井としては初めての取り組みでありながら、目標額150万円に対し170万円を調達することができました。
これはこのプロジェクトに賛同した方々が寄付という形で出資を行うものです。まちづくりを行う上では、企画運営する資金をどう調達するのか、という大きな課題が付いてまわります。
行政などからの補助金・助成金は資金調達の課題解決としては大変ありがたいものである反面、補助金・助成金がもらえなくなったら事業が止まってしまうリスクもあります。
 資金調達方法も多様化し、クラウドファンディングを活用したまちづくりプロジェクト推進という形態も選択肢のひとつとして検討すべき事項です。




(クラウドファンディングによる調達)
(クラウドファンディングによる調達)


【プロジェクトの推進】
 今回は実行されている3件のうちの1つ、プロジェクト「ヨシダ組」の企画会議に伺ってきました。
 ヨシダ組の企画は、福井駅から徒歩10分、足羽川(あすわがわ)に面した国道沿いに立地した遊休不動産を軸に、目の前に広がる足羽川河原をも活用したものです。当初の提案では廃棄野菜を中心にしたファーマーズマーケットを、足羽川(あすわがわ)の橋上や堤防の歩道を使って行いつつ、平日夕方や休日はバルや水上アクティビティで絶えず人が集う空間づくりを目指すものです。
 メンバーは総勢5名で福井工業大学の学生2名が中心となって行っており、1級建築士の丸山晴之氏からアドバイザーとして力を貸していただきながら進め、まちづくり福井は行政とのパイプ役や都市再生推進法人としての占用許可の特例など、企画を進める中での課題解決のためのサポートを行っています。

 


 打合せはフリーディスカッション形式で行われ、企画のブラッシュアップを行ないました。学生らのクリエイティブな案に対し、できることできないことを明示するのもまちづくり福井の役割です。例えば、歩道で物販を行うこと、足羽川(あすわがわ)河原でイベントを行うこと、などは都市再生推進法人として占用許可の特例を活用すればできる可能性が高いこと、反面、足羽川(あすわがわ)に掛かる橋でイベントすることは簡単ではないこと、など可能性を狭めない中での対応をされていました。
 対象となる遊休不動産に対し、リノベーションを含めた費用調達など課題はありますが、
その課題をどうクリアし、実現させていくか、企画者とともにまちづくり福井も担っていくことになります。まちづくり福井としても、中心市街地の魅力を高める意味で、川や河川敷を中心市街地の資源の一つと捉えてこれらの活用がこれから重要になってくるため、今回の提案を事業として成立するレベルにまで高めていきたいと考えているところです。



(企画会議の様子)
(企画会議の様子)
(メンバーである福井工業大学 饗庭(あいば)大喜さん(左)と平瀧友惟さん(右))
(メンバーである福井工業大学 饗庭(あいば)大喜さん(左)と平瀧友惟さん(右))

【実施による効果】
 この実践型リノベーションまちづくり講座(DiscoveRe-FUKUI)では、遊休不動産を含めたエリアの活用によってまちの活性化が期待できるといった直接的な期待効果に加え、
将来のまちを創造し守るプレーヤーの発掘育成にも効果があると考えます。
参加している饗庭さん、平瀧さん曰く、アイデアが具体化し、目に見えるようになってくれば友達や知り合いも数十人単位で参画が見込めるとのことです。
まちづくりプレーヤーの予備軍となりうる地元大学生との接点を持ち、一緒になってまちづくりを推進することで、コミュニケーションが図れ、口コミなどによりまちづくりに対し興味を持っていただく人を増やすためにも理にかなった手法と言えます。




【福井市の概要】
福井市は、福井県の県庁所在地で、人口は263千人です。
市の中心部は、室町時代のころ「北ノ庄」と呼ばれ、現在に至るまちづくりの始まりは、戦国武将柴田勝家の城づくりからといわれています。
昭和20年7月の空襲、昭和23年6月の福井大震災と再度にわたって壊滅的な打撃を受け、さらに水害、風害と幾多の災害に見舞われましたが、市民の不屈の精神によって不死鳥のようによみがえりました。
主な産業は、江戸時代からの繊維産業と近年の化学工業です。