SNS活用による、まちの魅力発信(観音寺市)
SNS活用による、まちの魅力発信(観音寺市)
今回は、いち早くSNSを活用し、まちの魅力を発信し続ける取り組みを行っている香川県観音寺市のRe:born.K(リボーンドットケー)代表の薄谷司郎氏、観音寺商店街連合会理事の豊浦孝幸氏、観音寺商工会議所の松尾直哉氏に話を伺いました。
【SNS活用のきっかけ】
スマホ元年と言われる2012年、様々なSNS(social networking service)が登場してきた年でもあります。観音寺商工会議所では、会員からSNSを知りたい要望もあり、早い段階からSNS活用の勉強会を実施し、SNSの良さやリスクなどを共有してきました。
「スマートフォンはひとりひとりがテレビ局を持っているということ。」
会員である商店街商店主などからは市民らと双方向の交流ができることを感じ早速取り入れてみたいということになりました。観音寺まちなか活性化プロジェクトであるRe:born.Kが中心となり、SNS活用の推進に取り組みました。
SNSの活用について、当初は商店主などに理解していただくのには時間がかかりました。そのため、まずは協力していただける人を探して成功事例を作ることから始めました。
まずは商店街にある呉服屋さんで手ぬぐいをSNSで販売し始めたところ、2週間で売り上げが10倍になりました。この成功事例により、SNS活用の取り組みに賛同する方が一気に増えました。
SNSの理解促進を進める上で、利用者ごとに興味を持っていただくことが重要であるとのことです。観音寺市の場合は、商工業者には商工業者の興味持っていただくことから、市民は市民の興味を持つことからSNSを理解いただいた上で最後に情報発信内容を統合した経緯があります。
【facebookの活用】
最初に「今宵も始まりました」と題するfacebookページの作成を行いました。
これは観音寺市の商店街のお酒好きな方が居酒屋で晩酌する投稿写真から派生したものです。今宵も始まりました活動が徐々に広がりを持ち、facebookページの会員が約2,000人まで増え、観音寺に行ってみんなと飲みたい、などのムーブが起きました。今では「まちづくり今宵サミット」として、全国で開催されるようにまでなっています。
また、facebookは商店街の情報共有としても活用されています。
但し、直接会って話すことの重要性も留意されており、会って話すコミュニケーションも併用されています。
- 「今宵も始まりました」facebookページ
【まちの情報発信番組の制作配信】
Re:born.Kでは2週間に1回、生放送でまちづくり情報の発信を行っています。
2014年から現在も継続して行っています。この番組制作には準備に一年間かけたとのことで、当初は2週間に1回もできるか不安だったそうです。そのような不安に対し、実際はいろいろな方が企画を持ち込んでくれることもあり、観音寺の情報ネタの多さに気づいたそうです。
番組放送は、開始当初観音寺商工会議所内のスペースを活用し行っていましたが、家主の方にこの活動の趣旨に理解をいただき、空き店舗を番組スタジオとして利用することとなりました。今では「ShareStationK2」の名前でスタジオとして活用されています。
撮影機材については数十万円かかっていますが、この資金は、まちの魅力を伝えるために制作されたCMがよしもとクリエイティブ・エージェンシー主催の第6回沖縄国際映画祭「JIMOT CM COMPETITION」全国部門のグランプリを受賞、そこでいただいた賞金なども活用しています。
配信は当初Ustreamを活用していましたが、現在ではyoutubeにて行っています。
- 沖縄映画祭グランプリ受賞URL
番組では現時点で広告収入などは取ってはいませんが、時には地元居酒屋やイベント会場などの出張配信を行う中で、商店街などの料理店などから料理を提供されることなどもあり、番組で取り上げるなど、地元商店などとのwin-winの関係も構築できています。
今後もプロでもなく素人でもない「ゆるいテイスト」の制作を目指したいとのことです。
【情報発信体制】
Re:born.Kでは連携推進チームと情報発信チームがあり、番組制作は情報発信チームが担っています。活動をしている中で、徐々に若者などが加わっており、撮影は毎回8人くらいが携わっています。
情報発信チームではSNS活用や番組制作の他に、まちの魅力発信CM制作、キャラクター商品展開(いりこマン)、各地での講演活動などを担っています。
連携推進チームにおいては、まちづくり今宵サミット運営の他に、夜のまちが楽しくなるイベント企画、空き店舗を活用したシェアスペース(shere stationを活用したパブリックビューイングなど)、shop in shop(既存店舗内のデッドスペースを活用し創業や出店を考えている方への店舗提供を行う事業。店舗内に2つの業種が存在する店舗形態。)、いりこだ市立銭形高校事業(まちづくりを通して、地元住民と共に地元の良さを学び、地元のために活動する人材育成を目的とした活動。)などを担っています。
【SNS活用の今後のビジョン】
SNSを活用することでのメリットとしては、まちに住むいろいろな方がまちの情報発信を行ってくれるようになったことが挙げられます。
まちの情報発信量が増えたことで、まちの魅力がより多くの方に知っていただけ、商売やイベントなどでも活性化につながっているとのことです。
反面、SNSが普及し、情報量が多くなりすぎている現状は情報が届かないことも多くなります。情報は年々伝わりづらくなってきているため、これから情報を戦略的に出していかなければならないと考えています。
今後のビジョンについては、SNSもマーケティングが必要であり、女子向け、シニア向け、子供向けなどのターゲット別ジャンルを作り、多展開多チャンネル化していきたいと考えているそうです。
そして、継続させるには肩肘張ってやらずに、ゆるくのんびり行うことが重要とのことです。
【観音寺市の概要】
観音寺市は、香川県の西南部に位置し、西は瀬戸内海の燧灘(ひうちなだ)に面し、沖合には伊吹島などの島しょを有している。南は讃岐山脈の雲辺寺山、金見山などを境に徳島県や愛媛県に接し、高知県にも近く、四国のほぼ中心に位置している。市の中央部には三豊平野が広がり、東部から西部に向かって財田川、柞田川などの河川が流れ、豊かな田園地帯となっており、河口付近に市街地が形成されている。東部から南部にかけては山間地が、北部には七宝山などの丘陵地が連なっている。三豊平野にはため池が多数点在し、観音寺市の地勢の大きな特色となっている。
本市には、国道11号、377号が北東から南西に走っており、それに平行して四国横断自動車道があり、大野原インターチェンジを有している。また、特急列車の停車するJR観音寺駅ほか、豊浜駅、箕浦駅があり、通勤、通学等の要所になっており、高松、岡山までそれぞれ約1時間と交通の便に恵まれている。