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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

県によるまちづくり支援(NEXT商店街プロジェクト)(埼玉県)

課題
  • 消費者ニーズの多様化や大型商業施設の進出、後継者不足などにより。商店街をはじめとする地域商業の厳しい環境の打破

県によるまちづくり支援(埼玉県NEXT商店街プロジェクト)

商店街を軸とし、市町村の商店街を中心としたエリア改革に取り組んでいるのが埼玉県です。今回は埼玉県が取り組む「NEXT商店街プロジェクト事業」について埼玉県産業労働部 商業・サービス産業支援課の清水副課長、新保主査にお話を伺いました。

【NEXT商店街プロジェクトについて】
 NEXT商店街プロジェクトとは、「危機感が強く、意欲の高い商店街を外部の専門家が支援するもの」と定義されています。このNEXT商店街プロジェクトを行うにあたっての経緯を説明すると、平成29年に「埼玉県商店街振興のあり方検討会」(以下「検討会」という)を設置し議論を重ねてきました。商店街をはじめとする地域商業を取り巻く環境は、消費者ニーズの多様化や大型商業施設の進出、後継者不足などにより厳しい状況が続いています。これからの商店街振興のあり方を考え、より効果的かつ新たな施策の方向性を検討するために商業・まちづくり・金融・メディアなど各界の有識者が集まって検討を重ねてきました。
 この検討会では4つの課題が顕在化されました。
1.商店街の「ビジョン」が不十分
2.慢性的な人手不足
3.画一的な支援
4.見える化・PR不足

そして、課題の対応策として3つの視点と4つの方向性が見出されました。
〈3つの視点〉
1.共感を生む仕組みづくり
2.スモールサクセスの積み重ね
3.新たな消費者動向をキャッチ

〈4つの方向性〉
1.ビジョンの策定・・.3~5年後の目指す姿を共有し、事業をKPIで検証する。
2.よそ者、わか者、ばか者による協力体制・・・外部専門家チームの結成など
3.計画的かつ集中的な支援・・・モデル商店街を集中支援、空き店舗リノベーション企画コンペ、
4.消費者視点で共感創出・・・SNSなどの発信、商店街と大型店との連携によるPRなど

(埼玉県商店街振興のあり方検討会概要)
(埼玉県商店街振興のあり方検討会概要)

「モデル商店街を集中的に支援し、県全体の商業活動のベースアップを図る」ことを目標に、平成30年度には埼玉県内の8つの市町村(越谷市、蕨市、ふじみ野市、寄居町、熊谷市、所沢市、本庄市、深谷市)を選定し、NEXT商店街プロジェクトとして埼玉県予算での集中支援を行いました。各市町村が課題を明確にし、それぞれ取組を行っています。

(NEXT商店街プロジェクト骨子)
(NEXT商店街プロジェクト骨子)

【平成30年度の各地域の具体的取組】
・越谷市の取組
 「創業支援徹底型」をコンセプトに、空き店舗物件見学ツアー、創業支援・空き店舗情報発信の拠点となるシェアオフィスの整備、創業希望者によるイベントでのトライアル出店、創業塾等受講者への支援メニュー及びアフターフォローの充実などに取り組む。
(成果)新規出店者数4件、トライアル出店者数9名、空き店舗の貸店舗化数2件

・蕨市の取組
 「空き店舗対策徹底型」をコンセプトに推進。空き店舗の貸店舗化及びデータベース化、イベント等でのトライアル出店から創業塾及び空き店舗ツアー実施など創業支援との連携、物件のサブリース(転貸)事業の運営など一貫した空き店舗対策を実施。
(成果)新規出店者数11件、空き店舗情報のデータベース化54件、創業支援サイトの立ち上げ、まちづくり及び地域商社機能を持つ団体の設立

・ふじみ野市の取組
 「学生・地域住民連携型」をコンセプトに、地域の大学生と地域住民が活性化の活動に参画。大学生による空き店舗活用事業(駄菓子屋出店)、商店街のPR新聞発行、地元主婦が企画する地域連携型ハロウィンイベントの実施、大学主体の連携チーム(まちづくり研究センター)の立ち上げ、創業希望者を対象とした空き店舗ツアー実施。
(成果)商店街・大学・地域住民による連携チームの立ち上げ26名参加、空き店舗の貸し店舗化2件

・寄居町の取組
「まちの総力結集型」をコンセプトに住民の意識改革を軸に展開。駅前の空き店舗を地域の交流・創業支援の拠点として整備、若者とベテランが地域の未来を語り合う定期交流会の実施、貸店舗見学ツアーによる創業希望者とのマッチングなどを実施。
(成果)新規出店数3件、まちづくりプレーヤー37名発掘、シェアオフィスを活用した創業件数6件

・熊谷市の取組
「若手商業者育成型」をコンセプトに、20代若手商業者を中心とした活動を推進。地元商店街(星川通り)で毎月1回開催するナイトバザールの企画運営を実施。ラグビーワールドカップ開催都市という好機も活用。
(成果)新規出店者数3件、ナイトバザール平均来場者数1,199名、イベント開催を通じた若手商業者のネットワーク形成

・所沢市の取組
「都市型モデル推進型」をコンセプトに、地域住民などがクラウドファンディングを通じて商店街活動を支援する新たな形の商店街の立ち上げ、創業希望者発掘のためのマルシェなどイベントの開催、空き店舗を活用した高校生起業プランの実践支援などを実施。
(成果)新規出店者数4件、新規出店希望者数35名

・本庄市の取組
「小商いチャレンジ型」をコンセプトに、空き店舗調査及びオーナー交渉による空き店舗のリスト化、DIYによる空き店舗のリノベーション、マルシェの開催、店主が講師となって専門知識や楽しみ方をゼミ形式で客に伝えるまちゼミなどを実施。
(成果)新規出店者3件、まちづくりプレーヤーの育成43名、まちゼミ講座主催者数29名

・深谷市の取組
「女性商業者主体型」をコンセプトに、「若女将の会」や地元商業者を中心に活動。区画整理中の空き地を暫定的な広場「FUKA-YARD」として整備。活用した同所にて隔月でマルシェ(わかおかみーけっと)開催、個店のスキルアップのための定期勉強会開催などを実施。
(成果)新規出店者数4件、女性が企画するイベント実施数14件




【今後の展開】
埼玉県の「NEXT商店街プロジェクト」による指定した地域への集中支援は2年で完了となる事業です。大きな成果としては、支援した市町村内で活性化の活動に向けて自主運営をする運営団体(まちづくり会社など)ができたことです。支援期間終了後、各地域には「自立自走」していただくことが必要であり、その受け皿となるものです。ただし、こうした受け皿を運営していく資金の獲得が課題となっています。
埼玉県としては、課題や対応方法の共有化、実施手法のオープン化などを行い、県内市町村や商工団体と連携しつつ、NEXT商店街プロジェクトが他の地域へ波及することを目指しています。
令和元(2019)年度は2年目となる熊谷市、所沢市、本庄市、深谷市に加え、新たに春日部市、狭山市、羽生市、北本市が集中支援地域となります。

(平成30年度NEXT商店街プロジェクト総括)
(平成30年度NEXT商店街プロジェクト総括)

【中心市街地活性化協議会支援センターのコメント】
 この「NEXT商店街プロジェクト」を通して、各地域の実施主体(市町村、商工団体)とのコミュニケーション構築につながったことも成果として挙げられています。そして、「NEXT商店街プロジェクト」の活動は中心市街地活性化を目指すまちづくりの一環でもあります。
課題として、地域団体自立化のための収益源確保、2年間での短期的支援に留まってしまうという点を挙げられているため、継続的な活動推進を図る上では中心市街地活性化法に基づく認定も期待できるかもしれません。
(平成30年の集中支援先では蕨市と寄居町が中心市街地活性化基本計画の認定を受けています。)
このような点からも中心市街地活性化支援センターとしては埼玉県のような「県による支援」について、中活認定を目指す候補地として期待するとともに連携していかなければならないと考えます。