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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例

豊田市の中活とエリアマネジメント(愛知県豊田市)

豊田市の中活とエリアマネジメント

【公共空間活用】
愛知県豊田市では、2019年に開催されるラグビーワールドカップにおいて4試合を豊田スタジアムで行われることを踏まえ、外国人を含む多数の来訪者に対し“おもてなし”につなげる準備しています。
 今回は豊田まちづくり株式会社の杉本恭一氏に、平成30年9月1日に開催されました「Toyota Street Market」を中心に公共空間の活用についてお話を聴きました。

 第3期目に突入した豊田市中心市街地活性化基本計画においては2期目に引き続き「公共的空間活用等研究事業」を掲げ、公共空間の活用を推進しています。その一環で、STREET&PARK MARKETは毎月第3土曜日に桜城址公園において①公共空間における賑わい創出のための活用の促進を図ること、②中心市街地で出店・起業する人材の発掘、を目的に開催されています。

今回はSTREET&PARK MARKETの特別企画として「Toyota Street Market」
のタイトルで、来年のラグビーワールドカップ開催時のおもてなしに向けた実証実験を兼ね、豊田市駅と豊田スタジアムを結ぶ通り、広場(駅前通り、参合館アトリウム、参合館前広場)において実施されました。

(豊田市駅から豊田スタジアムを結ぶ通りの地図)
(豊田市駅から豊田スタジアムを結ぶ通りの地図)

150mを超える通りではアート&クラフト、アンティーク、フード、ワークショップ等の物販、体験を、広場では飲食系中心のキッチンカーでの販売が行われました。

(愛知県警協力の下、車両を半日以上通行止めに)
(愛知県警協力の下、車両を半日以上通行止めに)
(広場では主に飲食系の販売が行われています)
(広場では主に飲食系の販売が行われています)
(駅前の大きな通りを完全に封鎖し、実施。出店は道路中央に位置し、緊急車両の通行幅の確保と(歩道の)歩行者にも見える配置。)
(駅前の大きな通りを完全に封鎖し、実施。出店は道路中央に位置し、
    緊急車両の通行幅の確保と(歩道の)歩行者にも見える配置。)
(多くの方が訪れ、賑わいが創出されています)
(多くの方が訪れ、賑わいが創出されています)

【都市再生推進法人として】
豊田市中心市街地活性化協議会(以下中活協協議会)における「都市機能の増進を推進する者」としての位置づけは豊田まちづくり株式会社です。豊田市では平成20年に中心市街地活性化基本計画を推進する機関として、イギリスのTCM(タウンセンターマネジメント)をモデルに、豊田商工会議所、豊田まちづくり株式会社が中心となって中活協議会内に  TCCM(豊田シティセンターマネジメント)を設置しました。そして、平成29年2月に既存のTCCMの強化と、エリアマネジメントを推進する団体として法人化し、一般社団法人TCCM(以下、(一社)TCCM)を設立しました。豊田まちづくり株式会社と(一社)TCCMは密な関係性でコミュニケーションがとられていますが、明確な役割の違いがあります。それは(一社)TCCMが豊田市より「都市再生推進法人」の指定を受けていることです。
 都市再生推進法人とは、都市再生特別措置法に基づき、地域のまちづくりを担う法人として市町村が指定するものです。

 この「都市再生推進法人」のメリットとして広場等の整備管理を行う「都市利便増進協定」や、道路を占用する場合の許可基準を緩和する「道路占用の許可の特例」などがあります。民間の会社でありながら公共の道路空間を活用しイベントを実施したり歩道の一部に出店することが可能となるわけです。

 今回の「Toyota Street Market」は、豊田市とともに(一社)TCCMが主催し、自治会、商店街、豊田商工会議所、豊田まちづくり株式会社、及び地元メディアのエフエムとよたなどが協力という形で実現しています。

(イベントの主催と協力)
(イベントの主催と協力)

主体が行政や都市再生推進法人でも、道路を通行止めにし、公共空間を活用するためには、課題や制約はあります。通行人に歩道の確保をしなければならないこと、交通事業者、隣接の再開発ビル、商店街及び地域住民等への説明と了解、そして別に警察に対し道路使用許可を取らなければならないこと、などが挙げられます。特に警察に対する説明は市のバックアップがあるとはいえ、十分にコミュニケーションを取り、指導等への適切な対応が必要となります。

中活認定都市のまちづくり会社等でも都市再生推進法人の認定を受けるところが増えてきています。
豊田市中心市街地活性化協議会((一社)TCCM)では、都市再生推進法人ならではのメリットを活用し、歩道上でのオープンカフェの展開や、広告塔の設置なども視野に入れていきたいとのことです。



【中活法とその他の法令活用】
最近、言葉に出てくる“エリアマネジメント”について、豊田市は中活基本計画上に明記しています。
中心市街地活性化において、中活基本計画上の「エリアに関わる個別事業」とエリアマネジメントはどう違うのでしょうか?
明確な切り分けは難しいですが、大きな違いは行政計画の中心市街地活性化基本計画における区域は、ヘクタール単位の大きな面積を対象としていることに対し、エリアマネジメントは民間が運営管理できる狭い範囲を対象としています。
内閣府からは「特定のエリアを単位に、民間が主体となって、まちづくりや地域経営(マネジメント)を積極的に行おうという取組み(平成28年)」と定義されており、国土交通省によると「地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等による主体的な取組み(平成20年)」と定義されています。

中心市街地の活性化は、限られた手法と主体で大きな区域を対象にすることだけでなく、公民が連携して、公的な役割、位置づけを付与された民間主体が、限定したエリアの活性化を推進していくことも必要です。中活法以外の法認定を活用しまちづくり活性化に繋げることも考えていかなければならないと考えます。


【まちの概要】
豊田市は名古屋市の中心部から約25 km東方に位置し、県下最大の市域約918.32 km2(愛知県全体の17.8%)と県下2番目の人口約42万6千人(平成30年8月1日)を有する中部圏の経済を支える中核都市のひとつです。また、トヨタ自動車(株)の企業城下町として発展し、製造品出荷額等が全国第1位を誇るわが国を代表する産業拠点です。