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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

福井市が作り出すまちづくりプレーヤーの発掘育成(福井県福井市)

課題
  • まちで活動するプレーヤーの発掘育成
  • 空き店舗の活用

取組と課題
  • プレーヤー発掘育成の仕組みづくり
  • 新たな商業者の開拓

【まちで活動する人を増やす】
 福井市は第2期中心市街地活性化基本計画を平成30年3月に終了しました。1期目(平成19年4月)はハード整備とともに商業を中心とした活性化策を行い、2期目(平成25年4月)は継続してハード整備を行政が進めるとともに、まちづくり福井株式会社では“まちで活動する人を増やす”ことを進めてきました。

 “まちで活躍する人を増やす”活動として、平成24年3月から始められた「まちの担い手プロジェクト」は予想をはるかに超える139名の参加者がありました。計5回のシリーズで始められましたが、その後強い要望により開催された「まちの担い手実践プロジェクト」(計4回)と合わせ、計9回のワークショップが開催されました。
このワークショップ終了後1ヶ月でまちづくりの組織が立ち上げられ、地元の新栄商店街を拠点に地域活性化に向けた取り組みが開始されます。当初は月1回空き店舗でイベントが実施されましたが、そこに出店した人などが実際の空き店舗で営業を開始するという効果が現れてきました。
このような取組によって、シャッター街であった商店街から空き店舗がなくなり、平成24年には約100店舗中28店舗が空き店舗であったのに対し、平成30年には16店舗まで減少しました。
(残りの16店舗はオーナーの意向など、オープンできない店舗であるため現時点で埋められる店舗は全て埋められた状況です。)

 このプロジェクトの核となる組織が特定非営利活動法人きちづくり福井(以下きちづくり福井)です。
きちづくり福井は1人1万円の志金(志あるお金)で任意団体として始められました。平成26年に特定非営利活動法人化となり、現在では250名のサポーターがいます。

【プレイヤーを発掘する仕組みづくり】
 きちづくり福井は「つどう、つながる、たのしむ」を理念とし、人と人がつながり、「まちづくりは気楽に誰でも出来る」といった「まちづくり=難しい」という概念を緩和させていることが特長です。
その代表的な取組が“キチバル”という懇親会です。
毎週第4木曜日に開催されるキチバルは福井駅前に近い新栄商店街内のきちづくり福井事務所で開催されますが、参加者が多い場合は商店街の通りを使って開催されます。18歳から82歳までの多様なメンバーが集まり、誰でも参加可能でfacebook告知や口コミなどで参加人数が増えています。
 このキチバルは“まちづくりについて思いを伝える場”というコンセプトが根底にあり、キチバルで知り合い、まちづくりアイデアを出し合い共感した者同士がプロジェクトを作り、様々なプロジェクトが生まれてきました。
まちづくりを行いたい想いがあっても行動に移すことが出来ない人が多い中で、このキチバルがまちづくりを気楽に行える仕組みとなっています。
ハード整備などのまちづくりを計画的に行うことは行政が担い、イベントなどは市民がアイデアを出し実行する。福井市ではこのように価値で活躍する人を発掘する仕組みづくりが出来上がっています。
 キチバルの運営についてですが、食べ物については近くのお店にデリバリーを頼む、飲み物については酒屋に発注する。会費は一般が2,500円、学生500円となっており、飲食の手配は、じゃんけんで勝った人が次回を担当するという制度となっています。
人のつながりから部活動も生まれ、コーラス部や写真部、民踊部などの部もキチバルから派生しており、趣味を活かしながら人のつながりを深める仕組みにもなっています。
 きちづくり福井の今後の課題については、新たな事業を立ち上げる体制づくり、としています。きちづくり福井では常に新たな事業が生み出されるプラットフォームとしての役割を担い、地域活性化を図ることとしています。

キチバルの様子
特定非営利活動法人きちづくり福井のみなさま