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中心市街地活性化協議会支援センター

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人を留め、地域を富ます~めざせ!観光入込39万人~ 長井市中心市街地活性化協議会

取り組みのポイント
  • 3セク鉄道や地場産センターの代表として、市長自ら最前線で陣頭指揮
  • まちづくりも創業も、観光も手がける地場産センター
  • 観光、創業、オリンピックなど、知恵、努力、政策、人脈を総動員した取り組み

市長が熱弁!熱く活発な協議会

内谷重治市長

長井市中心市街地活性化協議会の議事が始まりました。冒頭から、長井市長の内谷重治氏が、事業の進捗状況を熱く語っています。その席をよく見ると、協議会副会長席です。

活性化協議会は、商工会議所などの経済団体と、まちづくり会社など都市機能を担う団体を核に構成され、通例ではそれらの団体の長が会長・副会長職を担います。

長井市の場合、都市機能を担うのは市出資の「(一財)置賜地域地場産業振興センター」。市長はその理事長であるため、協議会副会長としても第一線でまちづくりに関わっているのです。

市民が問い、市長が答える。居並ぶアドバイザーからも提案が

そんな熱い市長同様、協議会の議論も大変活発です。市民団体が、閉店した大規模店の利活用について問うと、交渉の進捗状況や公共利用の可能性を市長自ら答えます。

また、協議会には通例、国や県、大学等の関係者が「オブザーバー」として参加しますが、長井市にあっては「アドバイザー」。居並ぶ識者からも、次々提案がなされます。

中活計画と地域再生計画ダブルで認定

長井市は県南部、西置賜地域の中心都市ですが、高速インターや新幹線の駅は無く、人口は現在約2.7万人。減少の一途を辿っています。

そのような状況下、長井市では、中心市街地活性化基本計画と同時に、国が地域再生に取り組む自治体を支援する「地域再生計画」も立案。平成28年3月、同時認定を受けました。

これにより長井市は、観光交流センターの整備、木造小学校校舎の再活用、日本版DMO※1の創設を目指し、全国版の雑誌を媒体とした戦略的なプロモーション等々多彩な事業を実施。市の総力をあげて活性化に取り組んでいます。

※1 日本版DMOは、「観光地経営」の舵取り役として観光庁に登録された法人。多様な関係者と協同しながら調整を行う。

観光入込39万人をめざす取り組み

1.観光交流センター「川のみなと長井」

長井市のまちなかを訪れる観光客は、現在20万人弱です。活性化基本計画では、これを平成32年までにほぼ倍の39万人まで引き上げることとしています。

長井市はかつて、最上川の舟運で栄えたまちです。それにちなんで、最上川に隣接する観光交流センター「川のみなと長井」を整備します。軽食・休憩ができ、観光ガイド、地元農産物や土産品の紹介も行う観光の玄関口とする予定です。

「川のみなと長井」完成予想図
「川のみなと長井」完成予想図

2.築84年文化財校舎のリノベーション

市内の長井小学校第一校舎は昭和8年建築。赤い外観、内部は船底天井、廊下は長さ10メートル米松正目板を張り合わせた見事な造りで、国の登録有形文化財です。

多くの市民が学び、大切に保存されてきたこの校舎を耐震補強した上で、親子や来街者が自由に立ち寄り、学び、遊べる集客施設にリノベーションする予定です。

長井小学校第一校舎
長井小学校第一校舎

3.日本版DMOをめざす「やまがた長井観光局」

観光プロモーションは、平成28年4月に発足した「やまがた長井観光局」が担っています。市の部局のような名前ですが、日本版DMOをめざすべく、(一財)置賜地域地場産業振興センターが事務局をつとめています。

パンフレット作成や観光情報の提供だけでなく、市内のまち歩きや観光タクシーで巡る旅行商品の企画・販売も手がけています。

地場産業振興センター内には、平成28年10月、イノベーションLab.長井「i-bay」あい-べいもオープン。まちづくり、観光に加え創業支援にも取り組んでいます。

やまがた長井観光局のホームページ、長井市観光ポータルサイト
やまがた長井観光局のホームページ、長井市観光ポータルサイト

参考リンク) 長井市観光ポータルサイト 別ウィンドウで開きます

4.地元の魅力を発信するプロモーション活動

長井市では、3セクの山形鉄道、フラワー長井線が貴重な市民の足。同社の社長も、内谷長井市長が務めます。沿線市・町ゆかりの花をあしらった「ラッピング列車」が軽快に走っていますが、さらに食事のできる食堂車両もデビューしました。

長井市あやめ(左上)、白鷹町紅花(右上)、 南陽市さくら(左下)、川西町ダリア(右下)の各ラッピング列車
長井市あやめ(左上)、白鷹町紅花(右上)、 南陽市さくら(左下)、川西町ダリア(右下)の各ラッピング列車

長井の魅力を首都圏へ、全国へ発信するため、「月刊文藝春秋」「CREA Traveller」などの大人向け高級路線の雑誌を通じた観光プロモーションも行っています。さらに市では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて参加国と交流を図る「ホストタウン」にタンザニア連合共和国を相手国として登録されました。

高級路線の雑誌によるプロモーション
高級路線の雑誌によるプロモーション

平成29年1月にも中心市街地活性化協議会が開催されました。会議は毎回、地場産業振興センタービル内のホテルで行われます。同ビルには長井商工会議所も入居しており、長井市活性化の本丸といった感じです。

議事の後は講演会。福島県白河市のまちづくり会社、楽市白河の古川取締役を招き、同社の取り組みを学びました。終了後、古川氏を囲み交流会を開催。市長がホスト役となり、協議会や外部のアドバイザーも加わり長井の将来について語り合いました。

知恵、努力、政策、人脈も総動員した長井市の多彩な取り組み。中心市街地活性化協議会はそれを見守り、激励し、熱く後押しをしているように感じました。

長井市の概要

山形県の南西部、西置賜地区の拠点都市。東はなだらかな出羽丘陵、西は朝日山系の険しい山岳地帯の「水と緑と花」のまち。江戸時代に最上川の舟運が開かれ、「山の港町」となり、高度経済成長期には戦時中に誘致した東芝の企業城下町として栄えた。

協議会の概要

協議会名:長井市中心市街地活性化協議会
所在地:山形県長井市館町北6-27
設立日:2014年7月29日
【都市機能増進】一般財団法人置賜地域地場産業振興センター
【経済活力向上】長井商工会議所

参考リンク) 長井市中心市街地活性化協議会 別ウィンドウで開きます

取材日:平成29年1月29日