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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

岩見沢市中心市街地活性化協議会

取組のポイント

協議会が、市の補助事業の募集・補助決定・評価等を実施。

中心市街地区域

1.協議会の概要

協議会名:
岩見沢市中心市街地活性化協議会
所在地:
北海道岩見沢市
設置日:
2007年11月29日
構成員:
20 団体
【都市機能増進】(株)振興いわみざわ
【経済活力向上】岩見沢商工会議所
主な構成員:
岩見沢商工会議所、(株)振興いわみざわ岩見沢市町会連合会、岩見沢市商店街振興組合連合会、岩見沢市観光協会、岩見沢金融協会、岩見沢消費者協会、北海道教育大学、岩見沢建設協会、岩見沢青年会議所、岩見沢商工会議所青年部、岩見沢地区ハイヤー協会、北海道税理士会岩見沢支部、岩見沢市医師会、岩見沢料飲店連合会、北海道旅客鉄道(株)岩見沢駅、空知中央バス(株)岩見沢営業所、岩見沢地方宅建協会、いわみざわ農業協同組合、岩見沢市
参考URL

岩見沢市中心市街地活性化協議会 別ウィンドウで開きます

2.まちの概要

 岩見沢市の位置・人口・交通アクセス

岩見沢市の位置

 岩見沢市は、明治期の開拓から歴史が始まり、岩見沢駅を中心に市街地が形成され、その後、周辺市町の炭鉱開発の進展とともに鉄道路線が発達し、交通の要衝として大きく発展しました。しかし、その後の相次ぐ炭鉱の閉山によりまちは大きな試練を迎えましたが、北海道空知地域の行政、商業、教育の中心都市としての位置は変わらず、現在に至っています。

 札幌市、新千歳空港からともに40Kmで、道路・鉄道の交通の利便性も高く、札幌から特急列車だと25分です。

 人口は約88,000人です。また、北海道有数の穀倉地帯でもあります。

3.中心市街地の現状と活性化への取組

(1)現状

 大型商業施設の相次ぐ郊外出店により中心市街地の商業は空洞化してきています。平成13・17・21年に1店ずつ市中心部から3店の大型店が撤退しました。空き店舗や低利用の空地等も目立ってきています。

  中心市街地の人口はこの10年で1割弱減少し、高齢化も進み、歩行者通行量は昭和50年代と比べると1/2以下に大きく減少しています。
 また、駅を中心に鉄道で栄えたまちですが、平成12年に駅が全焼し、再建が望まれていました。
 このように中心市街地をめぐる経済・社会環境は厳しいものがあります。

(2)活性化への取組

 平成20年に基本計画が認定され、「住みたいと思う暮らし環境づくり」「ふれあいと交流のある賑わいづくり」「地域産業の活力を生み出す環境づくり」の3つの基本方針の下、多くの事業が取組まれています。主なものは次のとおりです。
   (1)4・3地区再開発事業(4条西3丁目地区での公的施設と住宅の複合施設)
   (2)ラルズ跡地活用事業(大型店撤退跡地への商業施設、駐車場、集客シンボル構築物等の設置及びイベントの拡充)
   (3)ポルタビル再生事業(撤退大型店[西友]施設の再生)
   (4)複合駅舎施設の設置(市役所施設、駅舎、駐輪場・跨線連絡歩道等)
   (5)生涯学習センター整備事業 ほか
  このうち(4)の複合駅舎は、全国初の一般公募型コンペでデザインを選定し、平成21年3月に全面開業しました。駅舎はグッドデザイン賞大賞、日本建築学会賞を受賞しています。

ラルズ撤退跡地の施設

4.協議会

(1)組織

協議会の組織構成

 平成19年に岩見沢商工会議所と(株)振興いわみざわを必須構成員として設立され、構成員は20団体です。協議会の下に「運営委員会」と「専門部会」が置かれています。事務局は岩見沢商工会議所です。

 「運営委員会」は、岩見沢商工会議所と(株)振興いわみざわを中心に協議会会長が指名した14名で構成されています。「専門部会」は当初、基本計画の取組事業毎に数多く設置されましたが、現在は、2期基本計画策定に向けた内容を協議するための1つが設置されています。

 開催回数は、平成24年度で協議会が5回、運営委員会が6回です。

(2)取組

 岩見沢市中心市街地活性化協議会を最も特徴づけるのは、「中心市街地活性化事業支援補助金」という岩見沢市の単独補助金について、「(ア)募集・受理・審査」、「(イ)補助決定・補助金額確定」、「(ウ)事業の評価・検証」といった手続き等を協議会が主体となり、平成25年度から取組まれているところにあります。

 そもそもこの補助金は、平成17年度から市で措置しており、市が実施していました。

 しかし、平成19年に協議会が設立されたことを機に、平成20年度から協議会が「(ア)募集・受理・審査」を行うことになりました。

 そして、平成25年度からは、更なる効率的・効果的な事業の推進を図るため「(イ)補助決定・補助金額確定」と「(ウ)事業の評価・検証」も協議会が行うようになりました。

 協議会としては、これに対応するため、「運営委員会」の規程を改正し、書面審査での権限を強化するとともに統一した事業の評価・検証の方法を検討することとしました。

 申請された事業計画は、「運営委員会」による書面審査の後、「協議会」の会議で申請者によりプレゼンテーションされます。協議会メンバーは申請者に質問を出し回答を得た後、各自の視点で所定の審査得点表に得点を記入します。それを集計し点数化した評価の他に「付帯条件」を付け、補助を決定します。

*付帯条件の例
今年度の新たな取組みとその効果を提出すること。
見込み集客数20,000人の根拠とそのカウント方法を提出すること。
今後、どのように自己資金を確保していくかについて提出すること。
アンケートの実施など、それぞれの事業効果を把握すること。
団体として事業を実施する旨の意思決定がわかる書面(総会や理事会などの議事録)を提出すること。
この事業は、平成20~24年度までに30以上が取組まれています。主な事業は次のとおりです。

4・3地区ポケットパーク設置事業
とく得朝市事業
百餅祭り4条通り商店街協賛事業
中心市街地コンバージョン事業
ホテル新築工事

採点表他

 この取組の効果として、協議会内部では、「構成員の主体者意識の醸成・強化」、協議会外部では、「商業者等をはじめとする地域での協議会の認知度・存在感の向上」と「意識ある多数の企業、団体等のまちづくりへの参画」が関係者から指摘されています。

5.アンケート調査の実施

岩見沢会議所各氏

 協議会では、平成24年12月に、期間満了の最終年度(平成25年度)を迎えるにあたり、協議会構成員等にこれまでの協議会の取組に関するアンケート調査を実施しました。

 このアンケートの設問には、「組織体制の在り方」、「構成員内でのコンセンサスの有無」、「協議会の意見の地域代表の有無」、「中心市街地活性化への取組情報の周知」、「(協議会が手続き等の主体である)中心市街地活性化事業支援補助金事業の評価、審査方法」等が設定されており、今後改善すべき多くの課題が浮彫になりました。

 協議会ではこれを受け、協議会のあり方や運営そして周知等の課題を検討し、2期基本計画に繋げていきたい意向です。

6.取材を終えて

 岩見沢市では、協議会が中心市街地活性化に一歩踏み込んだ立場で取組んでいます。

 今年度からは、中心市街地活性化事業支援補助金の手続き等すべてが委ねられました。責任は一層重くなります。

 また一方で、アンケート調査を実施し、組織のあり方や事業効果等の結果を正面から受け止め、次のステップに進もうとしています。  今回の取材で、これら一連の取組みに触れ、新たな視点を得ることができました。

取材日 平成25年6月