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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

官民複合施設「BiVi藤枝」

ポイント

  • 商業施設と公共施設の一体化
  • 市立病院跡地の有効活用
  • 積極的な補助金活用
藤枝市
場所:
静岡県藤枝市
人口:
14.5万人
分類:
【商業施設】【交流施設】
協議会:
あり
実施主体:
藤枝市、大和リース㈱
支援策:
戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費
補助金(経済産業省)
まちづくり交付金(国土交通省)
暮らし・にぎわい再生事業(国土交通省)
参考URL:

http://www.e-bivi.com/fujieda/ 別ウィンドウで開きます


1.まちの概要

静岡県武道館

(1)規模・人口

藤枝市は静岡県の中央部、静岡市の西約20㎞、浜松市の東約50㎞に位置しています。平成21年には岡部町と合併し、現在(平成24年5月時点)では面積約194k㎡で、人口は約14万5千人の都市です。

(2)交通アクセスなど

藤枝市の中心市街地は国道1号や県道に囲まれており、東名吉田インター・焼津インターや新東名藤枝岡部インターより、いずれも約20分と車でのアクセスが容易となっています。また、鉄道についてもJR静岡駅より在来線で約20分と、東海道ベルト地帯の交通の要衝となっています。

(3)中心市街地の状況

藤枝市は静岡市のベットタウンで、高層マンションの立地、土地区画整理による宅地供給で街なか居住は進んでいましたが、JR藤枝駅南側にあった旧市立病院が平成7年に移転した後、空地のままとなっていたため街の吸引力が低下し、街なかには人が流れず、歩行者通行量の減少、回遊性の低下が顕著になっていました。

また、市民からは「行きたい店がない」「文化・芸術施設が少ない」「駐車場が不便」などの声が多くあり、「買い物の場」「文化・創造活動の場」としての役割が中心市街地に期待されていました。

そのような状況の中、中心市街地活性化基本計画が平成20年に掲げられ、計画が内閣総理大臣の認定を受け、中心市街地活性化の取り組みが本格化し始めました。(藤枝市HPより一部抜粋)

2.中心市街地活性化への取り組み

(1)はじまり

平成20年に認定された中心市街地活性化基本計画において、JR藤枝駅南側に位置する旧市立病院跡地が「中心市街地活性化の拠点ゾーン」として位置づけられ、民間活力による高度な土地利用と図書館を含む官民複合施設の整備が始まりました。(藤枝駅周辺にぎわい再生拠点施設整備事業[BiVi藤枝計画])

事業の実施にあたっては藤枝市が事業者を募集し、大和リース㈱が実施することとなりました。

中心市街地エリア図

(2)活性化の取り組み(「BiVi藤枝」)

BiVi藤枝

「BiVi藤枝」は1階、2階がショップ、3階が図書館、4階がシネマコンプレックスとなっており、商業施設と公共施設が一体となった官民複合施設として、整備され、平成21年2月に開業しました。

これまで、藤枝市の図書館は駅から約2キロメートル離れたところに1つしか存在せず、築29年以上の施設であり、狭く、システム更新もされていない状態でした。市民からも駅南側にも図書館を作ってほしいという要望があり、「BiVi藤枝」の3階に広さ3,300平方メートルという「広く、明るく、ゆったり」とした図書館が完成しました。ICチップによる自動貸出やWeb検索といったIT化など多くの新設備が盛り込まれました。

駐車場の収容台数は470台で、全ての階に設置されおり、目的のフロアと同じ階に駐車すれば、階段を上らずに、スムーズに移動できることから、孫がおばあちゃんを連れて映画を観にくるという光景も見られるそうです。

また、シネマコンプレックスでの上映中映画の原作を図書館で取り上げたり、商業施設のレンタルビデオ屋などで特集を組んだりと、官と民が協力して取り組みを展開しています。

図書館シネマコンプレックスて~しゃばストリート

その他、「BiVi藤枝」(管理運営している大和リース㈱)は、㈱まちづくり藤枝や地域の商店街と一緒に「て~しゃばストリート105」、「ルミスタ藤枝」などのイベントを行ったり、隣接する商業施設「オーレ藤枝」や「アピタ藤枝」などと共に、民主導のまちづくり組織「駅南活性化連絡会議」を立ち上げ、連携したイベントを検討するなど、地域と共に中心市街地の活性化に向け、積極的に取り組んでいます。

(3)活用した支援策

商業施設建設費として経済産業省の戦略的中心市街地商業等活性化支援事業費を活用しています。

また、図書館該当分の土地取得費としては国土交通省のまちづくり交付金、調査設計計画費・土地整備費としては同省の暮らし・にぎわい再生事業を活用しています。

3.取り組みの効果

「BiVi藤枝」開業からの利用者の推移は表1のとおりです。

表1

オープンから利用者数は目標値を毎年、上回っており、予想以上に盛況となっています。図書館の利用者数の目標値(【平成24年度】26万人/年)は中心市街地活性化基本計画に掲げれられており、平成22年3月時点で年間約50万人とすでに目標値を大きく上回り、その後も40万人/年を超える利用者数を記録しています。また、図書館だけではなく、「BiVi藤枝」施設全体の利用者数も平成24年3月時点で年間143万人と目標値(120万人/年)を上回っており、平成24年度の目標達成は可能であると見込まれています。

 「BiVi藤枝」の商圏は静岡市西部~菊川間の約48万人ですが、商圏内に映画館がないこともあり、シネマコンプレックスの利用者も年々増加しております。

 図書館については駅近で午後8時まで開館ということで、市外の住民やサラリーマンの利用も少なくありません。また、ショッピングや映画鑑賞の後、図書館を利用するカップルなどもおり、これまでになかった新しい利用者も増えています。

 また、中心市街地活性化基本計画の成果指標となっている歩行者通行量も表2のとおり、平成24年3月時点で1日8,700人に達しており、既に平成24年度目標値である8,400人を上回っております。「BiVi藤枝」は歩行者通行量の増加にもに大きく貢献しています。

表2

4.今後の課題

現在(平成24年5月時点)、「BiVi藤枝」1階の商業施設の一部がスーパーの撤退により空き店舗となっています。隣接する商業施設「アピタ藤枝」にもスーパーが入店しており、同じスーパーでは競合することもあり、新しい店舗の誘致とあわせて、商業部分の全体コンセプトも改めて検討していく予定です。また、周辺の商業施設や商店街と連携して、街全体として更なるにぎやか創出を図っていくことが必要となっています。

5.関係者の声 まちの声

「図書館は開放感があって絵本を読むスペースもあり、子供と一緒によく行く。」「「BiVi藤枝」は買い物だけではなく、色々な利用の仕方があるのが大きな魅力」など市民からも高い評価を受けています。

6.取材を終えて

「BiVi藤枝」の図書館では学校が近いこともあり、学生も多く見られました。「BiVi藤枝」は図書館(公共施設)も商業施設もあることから、老若男女が利用しており、まさにまちの中核になっている印象を受けました。周辺地域は再開発も活発であり、街なか居住も進んでおり、今後、藤枝市の中心市街地のますますの発展に、期待が持てると感じました。

<取材日H24年5月>