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中心市街地活性化協議会支援センター

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屋台村(ハード)とバル(ソフト)の相乗効果で、まちなかの賑わい回復・拡大を目指す

ポイント

  • 観光客と住民双方の集客アップで商店街の賑わい回復・拡大
  • “交流の場”、“憩いの場”としてのバル(イベント)の活用
  • まちづくり会社が主体のまちの活性化への取組
函館市街の夜景
場所:
北海道函館市
人口:
27.9万人
分類:
【イベント】【商業施設】
協議会:
あり
実施主体:
株式会社 はこだてティーエムオー
参考URL:
株式会社 はこだてティーエムオー

http://www.hakodate-tmo.com/ 別ウィンドウで開きます


1.まちの概要

 函館市は、北海道南端の渡島半島南東部に位置し、北海道にあっては温暖な気候です。自然環境に恵まれ、歴史と伝統に培われた文化や豊富な歴史的建造物を有し、また各種の都市機能が集積しています。函館市は、北海道と本州を結ぶ交通の結節点として、また南北海道の行政・経済・文化の中核都市として成長してきました。

 近年は、函館駅、函館港、函館空港といった交通拠点に加え、高速道路など高速交通網の整備が進み、国内外との観光・交流機会が増大しているほか、北海道新幹線の開通も予定されており、新たな飛躍の可能性も芽生えています。

北海道における函館市の位置

2.まちの活性化への取組み

(1)まちの課題

 函館市も他の都市と同様、市郊外部への転出による中心市街地人口の減少、郊外型の大型店の進出などにより、中心市街地(駅前、大門地区、五稜郭・梁川地区)商業の地盤沈下傾向が著しい状況にあります。

 全市に占める中心市街地の販売占拠率は、平成6年の39%から平成19年は29%に低下、中心市街地の商業小売販売額も1,620億円から947億円へと大幅に減少しています。 まちの課題としては、中心市街地商業の地盤沈下傾向に歯止めをかけること、さらに、平成27年度の北海道新幹線新函館駅(仮称)開業を見据え、市の顔にふさわしい中心市街地の商業施設づくりが求められています。

(2) まちの活性化への取組

 函館市では、平成12年4月に旧中心市街地活性化法に基づく基本計画を策定するとともに、函館商工会議所などとともに、同年9月に㈱はこだてティーエムオー(まちづくり会社)を設立し、中心市街地の活性化に向け取組んできました。

 平成21年3月には総合計画を策定し、平成23年11月に、改正中心市街地活性化法に基づく中心市街地活性化協議会を設立しました。平成24年度中の中心市街地活性化基本計画の認定を目指して、現在策定作業を進めているところです。

(3) 大門地区における屋台村の開業及び大門バルの実施

【屋台村(函館ひかりの屋台「大門横丁」)の開業】

函館ひかりの屋台「大門横町」

函館市には、年間約500万人が観光に訪れています。函館駅前周辺に朝市など観光施設がありますが、近接する大門商店街などへの回遊が少なく、賑わいの回復と観光消費の誘発が大きな課題となっています。

 そこで大門地区(大門商店街エリア)では、㈱はこだてティーエムオー(まちづくり会社)が事業主体となり、観光客を誘引するため、帯広で成功している「北の屋台」を参考に、平成17年に函館ひかりの屋台「大門横丁」をまちの活性化の一つとして開業しました。敷地面積約800㎡、建築面積約430㎡に、ジンギスカン、塩ラーメン、郷土料理など26の様々な常設屋台が並びます。

 年間約15万人(平成22年度)が訪れ、「食のコミュニティ」として、賑わいの創出に貢献しています。

 函館市を訪れた観光客へのアンケート調査でも、大門地区周辺にある金森倉庫群などのウォーターフロント、朝市・自由市場などの観光施設に来た観光客の多くが大門地区を訪れており、「大門横丁」が集客の核になっていると推察されます。

大門バルの実施
大門バル加盟店

 「大門横丁」は観光客の集客に一定の成果をあげましたが、(株)はこだてティーエムオーでは、観光シーズン閑散期における屋台村利用者の減少が大きな課題となっていました。

 (株)はこだてティーエムオーでは、観光シーズン閑散期の集客対策として、観光客だけではなく、住民にも利用してもらえるように、函館市西部地区の飲食店が実施している「函館バル街(ガイ)」(函館市の西部地区の飲食店約60店が、チケット(5枚綴り、3,500円)により、参加飲食店をハシゴしてもらうイベント。「函館バル街」として全国的に有名になり各地で同様なイベントが実施されている。)に着目しました。函館西部地区バル街実行委員会から協力を得て、平成18年11月から「大門横丁」にて「横丁バル」を開始しました。

賑わう「大門バル」

 当初、屋台村のみで実施していましたが、「横丁バル」の賑わいをみて、周辺の飲食店からも参加したいとの声が上がり、「大門横丁」にある飲食店だけではなく、大門地区にある飲食店も参加して「大門バル」として実施しました。参加者もバルスタート時の26店舗から現在は50店舗に倍増となっています。

 「大門バル」では、ワンコイン(500円)でのメニューの提供をしています。

 開催は年4回程度で、「大地の恵みバル」、「ウィンターバル」など毎回異なるテーマを加盟店による役員会で決め、地産の食材や季節の食材を使い、来街者に楽しんでもらえるよう工夫を凝らし実施しています。

3.取組の効果と今後の課題

(1)取組の効果

 平成18年度から始めて平成23年度で5期目となり、これまでに25回開催しています。函館市及び周辺市町村の住民にも「大門バル」の開催が浸透し、「いろいろな店を回れて楽しい」など、毎回楽しみにしている固定客が増え、大門地区に足を運ぶ住民も増加しています。

 参加者からは「知らない人との会話ができて楽しい」との意見もあり、「大門バル」が集客イベントとしてだけではなくて、「コミュニティの場」、「憩いの場」として活用されている効果も表れています。

大門バル実施実績

(2)今後の課題

 北海道新幹線の開通により、さらに観光客が増える可能性があり、「大門横丁」や「大門バル」の実施にあたっては、北海道新幹線を利用して訪れる観光客をどのように取込むかなど次の戦略が求められています。

4.関係者の声

 函館市は中心市街地活性化の基本計画の認定に向け動き出しています。

 こうした動きに対し、まちづくりを担う(株)はこだてティーエムオーの佐藤敏夫企画部長は、次のように抱負を語られました。

「これまで「『大門横丁』と『大門バル』の相乗効果で、まちなかの賑わいの回復に努めてきましたが、新幹線の開通を考えると、より多くの人を受け入れるための基盤整備が必要です。まちなか観光施設の設置など活性化に向けた新たな計画案を考え、中心市街地活性化基本計画案への登載を図るなど、大門地区のさらなる活性化に取組んでいく予定です。」

<取材日H24年5月>