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中心市街地活性化協議会支援センター

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コンセプトの軸をぶらさず、コンテンツの世界観をまちの賑わいに活かす。
徳島県徳島市

ポイント

  • コンテンツやイベントの世界観を表現する
  • 自然景観を活かす
  • 多様な人々がまちづくりに関わる
徳島市マップ
場所:
徳島県徳島市
人口:
26.5万人
分類:
【イベント】【農商工連携】
【その他】
協議会:
なし
実施主体:
徳島市、徳島市観光協会、文化庁、アニメまつり実行委員会、徳島県、アニメ映画祭実行委員会(マチ★アソビ=各回で異なる)。とくしまマルシェ事務局(とくしまマルシェ)。
支援策:
重点分野雇用創造事業(徳島県)ほか
参考URL:
マチ★アソビ
 

http://www.machiasobi.com/ 別ウィンドウで開きます

 
ユーフォーテーブル
 

http://www.ufotable.com/index.html 別ウィンドウで開きます

 
とくしまネットマルシェ
 

http://tokushima-marche.jp/home/ 別ウィンドウで開きます

 
徳島商工会議所
 

http://www.tokushimacci.or.jp/ 別ウィンドウで開きます

 
徳島経済研究所
 

http://www.teri.or.jp/ 別ウィンドウで開きます


1.まちの概要

徳島市の概要

新町川とボードウォーク全景。

 徳島市は、四国三郎の別称を持つ吉野川の河口に発達した人口約26万人の県都です。天正年間から蜂須賀家の城下町として阿波の政治・経済の中心地であり、江戸時代から明治にかけては藍の集散地として栄えました。文学にもうたわれた徳島市のシンボル眉山(びざん)から見下ろせば、吉野川から派生した支流に囲まれた中心部「ひょうたん島」が印象的で、「心おどる水都・とくしま」がキャッチフレーズになっています。また、お盆には阿波踊りが繰り広げられています。

中心市街地の概要

 まちの中心部は、そごう徳島店(店舗面積約20,000㎡)を核とするJR徳島駅周辺と東新町商店街を中心とする新町地区です。東新町にはかつて地元資本の丸新百貨店があり、ダイエーとともに県内一円から集客しましたが、平成7年に丸新百貨店が閉店、平成17年にはダイエーも撤退しました。一方で徳島市に隣接する北島町、藍住町では大型店や商業集積が相次いで出店しています。平成23年11月には県下最大の規模となる「ゆめタウン徳島」(店舗面積約40,000㎡)がオープンするなど中心部からの流出に拍車がかかる(※)と見られています。

※ 「ゆめタウン徳島」出店後の徳島県民の買回品の購入先地域構成の変化をハフモデルで推計したところ、徳島市中心部の内町地区、新町地区ではそれぞれ約17%減少との結果(徳島経済研究所 平成23年夏調べ)。

2.中心市街地活性化の取り組み

(1)マチ★アソビ

 衰退する中心市街地に危機感を持った人々によって、まちを楽しむイベントが活発に開かれるようになっています。そのひとつがアニメコンテンツで集客する「マチ★アソビ」。JR徳島駅とサブカルチャーに力を入れるポッポ街、新町川沿いのしんまちボードウォークと新町橋東公園、阿波おどり会館とロープウェイで上がる眉山山頂などを舞台に、まちを回遊してまちの魅力を遊び尽くすイベントです(主催者は各回で異なる)。

 エンターテイメント関連会社や声優が一堂に会してさまざまなイベントを繰り広げた結果、平成21年10月に開かれたマチ★アソビvol.1(来場者数12,000人)から平成23年10月のマチ★アソビvol.7(来場者数43,000人)へと発展し、これまでまちに来なかった若者たちで賑わっています。

 企画を担当したのは民間のアニメ等の企画制作を行うユーフォーテーブル有限会社。同社は、徳島市観光協会から依頼されて制作した阿波踊りのPRポスターがネットオークションで高値を付けるなど話題を呼びました(平成23年はポスターの一般販売を行い収益の一部を東日本大震災の義援金に充てています)。コンテンツ会社ならではの原作の世界観を尊重した企画がファンの共感を得ています。

マチ★アソビ

(2)とくしまマルシェ

買い物風景

 徳島県は全国有数の野菜の産地ですが、そのことは地元でもあまり知られていません。そこで農業ビジネスの高付加価値化、観光振興、中心市街地活性化をねらって、平成22年12月から新町川沿いの「しんまちボードウォーク」を舞台に事務局(サーブ=金森直人代表)が厳選した生産者等によるおしゃれなマルシェ(市場)が開かれています。

トマトの試食

 生産者が自らつくった高品質の野菜や個性豊かな加工品、ここでしか手に入らない珍しい野菜やおいしい食べ方などをアピールして対面販売しています。生産者の金銭的負担は初回の備品購入費(11,000円)と毎回の施設使用料(3,000円)のみ。

 生演奏が聞こえるおしゃれな会場からホンモノの食の魅力を提供するなど既存のスーパーや産直市と異なる価値を提供していることが人気の秘密です。将来的には「とくしまマルシェ」をブランドとして確立することが期待されています。

3.取り組みの成果

 マチ★アソビでは、来場者による交通や宿泊、飲食等で集客による波及効果が現れ始めています。さらにユーフォーテーブル社では、東新町商店街の空きビルでアニメ作品等を常時上映する映画館を運営することを計画し、徳島県と徳島市も支援を表明しています(平成24年3月オープン予定)。

 とくしまマルシェでは毎回平均して1万人以上を集客し、周辺の商店街で売上が上がるなどの相乗効果が出ています。生産者にとっては、一個50円の卵が完売するなど客層の良さも特徴です。さらにマルシェから出品者同士のつながりが生まれ、コラボ商品の開発や農業ビジネスの新たな展開(農商工連携)のきっかけにもなっています。

4.今後の課題

 徳島の中心市街地では多様な参画者による集客イベントが相次いで行われるようになっています。個別事業の課題は、収益を確保して持続性のあるビジネスモデルを構築すること、それぞれの連携による波及性を実現することでしょう。

 プロジェクトとしては、東新町に隣接する新町西地区での再開発、市内の主要施設が川沿いに立地する水都の特性を活かした「川の駅」構想なども打ち出されています。しかし、成果につなげるには、まちづくりの理念(グランドデザイン)や方針を共有し、短期的に実施すること、長期的な視点で捉えること、事業の関係性などを整理する必要があるのではないでしょうか。

5.関係者の声

 徳島商工会議所のまちづくり支援員・高田真希さんは「徳島商工会議所主催の徳島わくわく日曜市やマチ☆アソビ、とくしまマルシェが呼び水となり、現在では多様なイベントが中心市街地で開催されるようになりました。周辺商店街ではイベント開催時に特別営業や独自の企画を行い、来街者に複合的な楽しみを提供できるよう工夫をしています。積極的にイベントに関わる商店街や団体が増えたことは大きな成果であり、今後のまちづくりにおいても重要な力であると感じます」と語られました。

 またマルシェの仕掛け人で民間シンクタンク「徳島経済研究所」の田村耕一専務は、「全国に発信するには他にはない徳島ならではの産直市のコンセプトが必要。とくしまマルシェは、こだわりの出店者、ヨーロッパの朝市を上回るおしゃれ感、ICTの活用(ネット販売、ユーストリーム、Twitter、Facebook)が特徴です。いまでは全国メディアにも取り上げられ、県外からマルシェバスツアーが訪れるようになってきました」と話されました。

 さまざまな人々の夢と熱意をまちづくりに活かす—。水の都徳島の中心市街地の発展を願ってやみません。

<取材日H23年11月>