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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

大田原市中心市街地活性化協議会

取り組みのポイント

課題別に専門部会(研究会)を設け、それぞれに事務局担当者を置いて、活動を活発化させ、基本計画事業の実施につなげている。
事業の円滑な遂行のため、運営委員会、調整会議、専門部会など協議会内の各機関相互の情報共有化を重視した運営に取組んでいる。

1.協議会の概要

大田原市
協議会名:
大田原市中心市街地活性化協議会
所在地:
栃木県大田原市
設置日:
平成19年3月28日
主な構成員:
【都市機能増進】(株)大田原まちづくりカンパニー
【経済活力向上】大田原商工会議所
主な構成員:
上町自治会、荒町自治会、大田原商店連盟、大田原市観光協会、東野交通(株)黒磯営業所、大田原赤十字病院、国際医療福祉大学、大田原市社会福祉協議会 他
参考URL:

http://ohtawara.net/ 別ウィンドウで開きます

2.まちの概要

位置・人口

蔵が点在する市内

栃木県北東部に位置し、県北地域の行政・商業の中心都市。
人口は約8万人(平成20年4月現在)、平成元年からほぼ横ばいで推移する一方、中心市街地の人口は若年層を中心に郊外への流出が進み、平成元年に比べ約30%も減少しています。(平成19年比)

交通アクセス

中心市街地は、最寄駅(東北新幹線那須塩原駅)からバスで約15分、東北自動車道の最寄りインターチェンジから車で約20分の距離にあります。市内には内環状線、外環状線、国道461号線が走り、道路網が整備されています。

まちの特色

江戸時代に城下町として、また旧奥州街道の宿場町として発展。市内には往時の賑わいを偲ばせる「土蔵」「見せ蔵」など数多くの蔵が点在し、歴史的なまちなみのたたずまいを残しています。

3.中心市街地の現状について

現状と課題

再開発事業予定地の中央通り

まちなか居住人口の減少や魅力ある店舗の減少により、中心市街地の休日歩行者通行量は3分の1に激減(平成3年→平成17年)。
近年、郊外型大型店の進出が加速し、市内に22店、隣接市町村に26店が出店していることや事業後継者不足もあって、地元商業者の閉店が続き、小売販売額は半分にまで減少(昭和63年→平成16年)し、中心市街地の衰退が顕著となっています。

主な活性化策

こうした課題を克服するために平成20年11月に基本計画の認定を受けました。主な事業として、平成23年に再開発ビルが着工予定の「中央通り地区第1種市街地再開発事業」が計画されています。また中心市街地に点在する歴史的遺産である蔵を活かす「蔵の活用推進事業」やまちのシンボルである金燈籠周辺の「ポケットパーク整備事業」がすでに一部実施に移されています。

4.協議会の組織、活動

協議会運営

協議会組織図

事業の円滑な実施には、協議会内の情報共有が大切と考え、とくに運営委員会、調整会議、部会間の情報共有化を図るために、次の取組みを行っています。

専門部会には必ず事務局と市が出席し、まちづくりの状況と検討課題を情報として伝え、同時に部会員からの意見や要望を拾い上げる。
正副部会長で構成する調整会議を設け、各専門部会の情報交換を行い、事業の調整を図る。
運営委員会のメンバーが、専門部会に一般部員として参加し、上部機関と現場機関との情報の共有化を図る。
こうした取組みは、部会活動への事業者、住民の巻き込みにもつながっています。

事務局

事務局は大田原商工会議所が担当し、専従職員1名、兼務職員3名を充てる体制をとっています。事業実施の推進役として、また市との情報交換の窓口として幅広く協議会運営を支えています。

部会活動

活発な部会活動

課題別に専門部会を設け、事業者、住民に参加を呼びかけ、活動を活発化させ、基本計画事業を推し進めています。
現在組織図にあるように課題ごとに8つの専門部会が活動しています。
各専門部会とも年3回以上、検討事項の多いところでは10回開催され、高い出席率を保っています。

協議会では、こうした活発な活動を支えるために、次の点に力を入れて運営を行っています。

各専門部会に事務局担当者を決め、個別課題の解決にあたる体制をとる。
専門部会毎に毎年具体的なテーマを決め、単年度で一定の成果が得られるよう取り組む。
部会員がまちの情報を入手でき、市や事務局に意見や要望を伝えられる場(機会)として専門部会を活用する。
主な専門部会の取組み

空店舗活用研究会

賑わう「あらまち蔵屋敷」

空き店舗の解消を目指し、空き店舗の利活用と空き店舗の流動化を検討する専門部会。
空店舗活用研究会の有志でNPO法人を立ち上げ、空き蔵を改修してアンテナショップ「あらまち蔵屋敷」をオープンさせ、地元特産の栃木三鷹とうがらしの製品や駄菓子を販売。蔵の活用と賑わいの創出に成功しています。
今後は、隣接の蔵を改修して、カフェバー、甘味処といった寛げる店舗の設置や情報発信のため、AM局のサテライトスタジオの開設を予定しています。

街並研究会

街並みの景観統一を目指し、景観のガイドラインづくりを研究する専門部会。
大田原の歴史を感じさせる「おおたわら・和style」をイメージした街並みの協定案を作成。市へ条例化を働きかけ、制定化までには至らなかったが、建替えには市の助成措置が講じられるようになりました。本年度中には計4店舗の修景化が見込まれています。

IT研究会

ブログサイト

市内店舗の魅力を紹介するWebサイトを活用し、効果的な情報発信を検討する専門部会。
平成18年にブログのポータルサイト「大田原だね!っと」の開設を果たしました。平成22年4月現在41店舗が参加。店舗の効果的なPR方法を研究するとともに、サイト上の消費者の声をもとに店の品揃え・サービス向上に取り組んでいます。

協議会の取り組み

中央通り再開発ビルイメージ図

中核事業は、中央通り地区再開発ビル(敷地面積約5200m2、建築面積3650m2、13階建:商業施設、市営住宅、ケア付住宅、医療ビレッジ、行政窓口、図書館などを整備予定)の建設事業と同ビルへ不足業種を誘致するテナントミックス事業。この事業により、商業振興、賑わい創出、まちなか居住の推進が期待されています。
同事業のカギとなる地権者の合意形成を図るうえで、部会(当時「中央Cブロック市街地再開発研究会」)が有効に機能。多くの意見調整が図られ、再開発準備組合の立ち上げから組合の設立認可までの受け皿機関となり、平成25年竣工への道筋をつけることができました。

5.今後の課題

中央通り地区再開発ビルにより、中心市街地の商業環境は大きく変化することが予想され、こうした変化に適応する地元商業者の意識改革と具体的な取組みが課題となります。
協議会では大型店と差別化した魅力ある店舗形成を図るため、事業後継者を対象とした部会を立ち上げ、個店強化に取り組んでいく計画です。

6.関係者の声、まちの声

中心市街地のカフェ経営者は「再開発ビルができて、人が集まってまちに賑いが出るとうれしい。今はちょっとした買い物でも郊外に車で行っているので、近くで間に合えば本当に便利。診療所や図書館も皆喜んでいる。」と中心市街地活性化への胎動に大きな期待を寄せていました。