昔に返るまちづくり「七日町御殿堰」
ポイント
- 歴史的資源「御殿堰」の復活で賑わい創出
- 三つの新名所の回遊性の高まり
- 場所:
- 山形県山形市
- 分類:
- 【地域資源】
- 人口:
- 25万人
- 協議会:
- あり
- 実施主体:
- 七日町御殿堰開発(株)
まちの概要
規模・人口
山形市は、山形盆地の東南部に位置し、奥羽山脈と白鷹丘陵に囲まれた面積約382km2の都市です。山形市の人口は約25万人で、減少傾向にありましたが、近年は横ばい傾向になりつつあります。
交通など
山形市の中心駅である山形駅は新幹線つばさの通過駅となっています。また、高速道路の開通により、山形市へは東縁で隣接する仙台市から移動時間が約一時間と縮まり、両地域間の交流人口は増加しています。中心市街地では山形商工会議所が「中心街100円循環バス」を運行しています。
まちの特色
山形市の中心市街地は城下町、商業都市として発展してきましたが、平成12年以降、相次ぐ大型店の撤退、県立病院の郊外移転、仙台圏への買物客の流出などにより、中心市街地の空洞化が進みつつあります。
事業内容
事業の概要・目的
中心市街地のにぎわいを取り戻すために、山形市は中心市街地に三つの新名所(七日町拠点「御殿堰」、山形まなび館(第一小学校旧校舎拠点)、山形まるごと館)づくりを進めています。
「御殿堰」は約400年前に、山形城主の鳥居忠政が山形の町の生活用水や農業用水を確保するために作った「山形五堰」のひとつです。この「御殿堰」を復元させ、市民の憩いの場とし、それを活用した商業施設を整備することとなりました。
七日町御殿堰開発事業
周辺の地主や地元の人で作られた七日町御殿堰開発(株)を中心に事業は進められました。
暗渠となっていた堰隣の旧ビル跡を買収して造った木造建築や、昔ながらの蔵の再利用による商業施設が、御殿堰と組み合わさり、魅力的な空間が創出されています。
七日町御殿堰開発(株)が設立されてから4年後に商業施設がオープン。市長や県知事もご出席され、御殿堰前にて、テープカット、くす玉開披、やまがた舞子による祝舞などの催しが盛大に行われました。
テナントは、山形で最も古い創業150年の歴史ある蕎麦屋、創業100年を超える呉服屋、そして山形出身の世界的デザイナー奥山清行氏のショールームなどが出店しています。今後、物販・飲食等のテナントが順次出店する予定となっています。
支援策
七日町御殿堰開発株式会社が実施した七日町御殿堰の商業施設開発事業の総事業費は約4億円(うち土地代1億円弱)で、土地代は自己資金と地域金融機関からの融資で賄いました。また、建設費には国の戦略補助金1.2億円、県の制度融資1.5億円、市の制度融資0.4億円を活用しました。
取組みの効果
商業施設がオープンしたゴールデンウィーク初日から終わりまでで、約4万人の観光客や市民が訪れました。商業施設の各店にも多い時では1日に600人程の来客がありました。
また、山形市の推進する3つの新名所である、山形まるごと館「紅の蔵」(平成21年にオープン)、山形まなび館(御殿堰と同時にオープン)との回遊性が高まりつつあります。
さらに、中心市街地の北に位置する国の重要文化財「文翔館」を訪れる観光客が七日町御殿堰にも流れてきています。
今後の課題
七日町御殿堰の商業施設のテナントはまだ全ては埋まっていません。今後、テナント誘致が進めば、ますますの来客が見込まれます。また、現在、商業施設と堰を挟んだ反対側にも敷地があり、イベント等を実施していく予定となっています。
今後は敷地の整備やイベントの企画等を進め、集客力を高めていくことが必要となります。
関係者の声 まちの声
七日町御殿堰開発株式会社の代表取締役である結城康三氏は御殿堰についてこう語っています。
「堰は創られたオブジェではなく、我々の身近に何百年にあったもの。だからこそ老若男女に受け入れられています。憩いの場、安心できる場となりえるのです。」
“何の気なしに人が立ち寄り、子供たちは堰の周りを走り回る”、そんな結城氏が御殿堰の開発前に望んでいた光景がそのまま広がっていました。