街へ飛び出せ!「金沢ジャズストリート」開催
- 場所:
- 石川県金沢市
- 分類:
- 【イベント】
- 人口:
- 46万人
- 協議会:
- あり
この秋、金沢は熱く燃えた
9月シルバーウィークの4日間、金沢はジャズで熱く燃えた。
金沢市では、ゴールデンウィークのラ・フォル・ジュルネ金沢(クラッシックの音楽祭)に続き、今年初めて「金沢ジャズストリート」が金沢市中心部で2009年9月19日から22日まで開催され、金沢市中心街は大いに賑わった。
18会場で150の「まちかど・ライブ」と「ホール演奏」
このイベントでは、アマチュアバンドによる無料の「まちかど・ライブ」と有名アーティストによる有料の「ホール演奏」を合わせ、金沢駅から片町までの市内中心部18会場で150講演が行われ、街はまさにジャズ一色となった。
「まちかど・ライブ」には、一般応募を含む地元の大学生、高校生、社会人のバンドに加え、県外からも演奏者を招き、山野ビックバンドジャズコンテストで最優秀賞を受賞した国立音楽大学のビックバンド他、実力ある演奏者が出演し会場を盛り上げた。会場には、広場や公共スペースの他空き店舗なども活用しているが、いずれもほとんど満席状態でショッピングや食事の合間に、気軽にスイングする姿が見られた。もちろんトップアーティストによる「ホール演奏」も盛況であった。
また、金沢市民芸術村では出演した世界のトップ・アートティストによる「ワークショップ」も開催され、直接その指導が受けられるこの企画は、出演者や愛好家の好評を得た。
このイベントのPRには、全国のジャズクラブなどに直接協力を求めたほか、旅行代理店の協力も得て観光とジャズをセットにした商品により関西方面へ呼びかけた。マスコミ利用のCMは県内に限られるが、地元の各マスコミに広くパブリシティとして採用され、地元での期待が窺える。
賑わいは自分たちで
この期間中、地元商店街による独自のイベントも企画された。
広坂商店街では、金沢工業大学と協力し「月見光路」と題した幻想的なライトアップ照明と地元小学生が作成した「ミニあかり」により、商店街の通りから金沢市役所・21世紀美術館周辺を照らした。また、新天地商店街では、「ザ・ニューワールド 一夜限りのジャズクラブ」という酒と肴と生のジャズを楽しめる企画を入場無料で開催した。このようなイベントにより、昼間の来街者の取り込みに工夫を凝らした。
実施は実行委員会方式
主催は金沢ジャズストリート実行委員会であるが、実行委員会事務局として動いたのはまちづくり会社である「金沢商業活性化センター」であった。会場の手配や運営には、数多くの市内イベントを手掛けた同センターのノウハウは遺憾なく発揮された。
共催としては、金沢市の他、金沢市教育委員会、(財)石川県芸術文化協会、(財)北國芸術振興財団、北國新聞社など幅広い団体が協力し、特別協賛として金沢市中心商店街まちづくり協議会も参加している。
多様な参加は危機感の共有から
予算規模は約5,800万円で、市の補助を中心に企業等の支援により対応し、国の支援は受けていない。実施体制は、実施までは半年以上前から専用の事務所を設置し、実行委員会による企画・運営会議を中心に活動した。当日のスタッフは、商店街、銀行、学生などを中心として幅広いボランティアの参加も得て、会期中の4日間1日平均50名、延200人が運営にあった。また、地元商店街は統一したバナーフラッグで装飾し、オープンカフェも開いた。他にも飲食物の提供やジャズタクシーの運行などの協力もあった。
今回初めてのこのイベントが成功した要因としては地元商店街の盛り上がりも大きい。現在の商業環境の厳しさは金沢でも例外ではなく、行政、地元商業者の危機感がその背景にある。このイベントによる賑わいが自信となり、次の活動にも結びつくことが期待される。
「また来たい」99%、出演者の交流も
期間中好天にも恵まれ、参加者は約8万人程度に達した。40~60代の昔ジャズを聴いた層が中心で、アンケートによると50~60代が38%、30代~40代29%、10代~20代27%であった。参加者は金沢市内が57%と半数以上であるが、県外からの参加者も25%あり、「来年開催されたらまた来たいか」という質問には99%が「来たい」と答えている。
また、参加した全国の学生バンドが自主的に交流会を開催する等出演者同士の交流も生まれている。
単なる賑わい創出に留まらず、人材の育成にも成果が見られたこのイベントが、是非継続し実施されることを期待したい。
(文責:小川雅人 写真提供:金沢JAZZ STREET実行委員会)