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百貨店が商店街に 売り場を"出店"
~大阪 心斎橋筋  商店街と百貨店の連携による賑わい~

場所:
大阪府大阪市 心斎橋
分類:
【空き店舗・空きビル】
人口:
266.5万人
協議会:
なし
実施主体:
心斎橋筋商店街

中心商業地の復活には、商店街と大型店の連携が重要と言われます。しかし商店街が空き店舗を抱える一方、大型店は建設投資しての増床には慎重で、なかなか進まないのが現実です。しかし、商店街と百貨店が危機感を共有し、百貨店が商店街に、館外路面店を出店するというコラボレーションにより賑わいを復活させた事例をご紹介します。

大阪心斎橋筋の歴史

LEDでシンボルマーク輝くアーケード

大阪市の中央に位置する心斎橋筋商店街は、御堂筋の東側を平行に走り、北は長堀通りから南は戎橋がかかる道頓堀までの全長580m。江戸時代初期から380年間続く歴史ある商店街です。

店舗数は180で江戸時代からの老舗も多数残り、百貨店、ファッションビル、有名ブランドビル等の新旧店舗がぎっしりと軒を連ねる大阪を代表する繁華街です。1日の来街者数は、平日6万人、休日12万人。老舗あり、新しい文化の発信拠点あり、賑わいと活気あふれるまちです。1622年に心斎橋が架けられ、芝居小屋と郭を回遊する道筋として、自然発生的に百余りの店が集まったことに始まるこの商店街は、日本中の物資が集まる大阪で、小売りの中心的役割を果たしてきました。

商店街による賑わい・活性化への取組

近年の商店街を取り巻く厳しい経営環境下で、心斎橋筋の魅力の1つであった老舗が退店し、全国チェーンの増加やキャッチセールスが増える等のまちのマイナス要因が目立ってきました。来街者から通りを歩くのが怖いとの声も聞こえ、対応が迫られていました。

そんな折、一旦閉店した百貨店のそごうが、5年後の2006年にそごう心斎橋本店として再オ-プンしたことを機に、大人のお客様が戻り始めました。そこで心斎橋筋商店街として「お客様が安心してお買い物・お食事を楽しんで頂ける街」「心斎橋筋商店街"だからこそ""だけにしかない"商品、サービスを提供できる街」「ヤングからシニア層まで家族で賑わう街」を目指し新たな取組を開始しました。

最近の公演例

ホームページ
・日本語、中国語、英語、韓国語で店舗案内、イベント情報等提供
イベント開催
・夏の「ゆかた祭り」では毎年300人を超える応募者からクィーンを含む14名を選び、1年間商店街のイベントに協力
・冬のイルミネーションイベント等
・近隣4商店街共同でミナミの伝統文化である、上方落語、能、文楽等を守るための舞台公演「ミナミ花舞台」を"そごう劇場"で開催
・4商店街が手を繋ぎ、ブランドイメージ向上のための連絡会議、意見交換、将来ビジョンの作成等「ミナミ・オンリーワン・ネットプロジェクト」への取組等
環境改善
・1時間毎の街内放送(歴史、心斎橋ソング、交通事故・キャッチセールス防止等)
・アーケードサインのLED活用&省エネ蛍光灯に転換等のエコ対策
・各個店の通りへの「はみ出し陳列」や「客引き行為」を全面禁止
・たばこのポイ捨て改善、喫煙エリアの設定(商店街規約)等
統一感の演出
ロゴタイプとシンボルマークの設定

「オーナー会」「テナント店長会」を設置

2001年以降、70店舗もの入れ替えがあり、店舗のテナント化が進んだ心斎橋筋商店街では、望ましくない業種・業態の出店に配慮が出来る仕組みが必要と考えました。
そこで既存の組合組織に加え、オーナーとテナントとの交流をより密にするため、「オーナ-会」、「テナント店長会」を新たに設置しました。例会や親睦会の交流等を通じ、テナント導入のルールの徹底や、優良テナント情報を交換する等、関係者の相互理解を深めることで、お客様に支持される商店街の店舗構築を図り、心斎橋筋のブランドイメージ向上にも貢献していきたいと考えています。

増床スペ-スは商店街にあった 百貨店の「路面店」戦略

商店街店舗と隣合う路面店

商店街には、前述のそごうの他、大丸百貨店心斎橋店が軒を並べ、集客に大きく貢献しています。大丸心斎橋店は、昭和60年に心斎橋筋にアーケード建設が持ち上がり、今の商店街組合が法人化して以降2代、20年以上にわたり、心斎橋筋商店街振興組合に事務局長を派遣し、商店街と共に共存・共栄をはかっています。

大丸は、立地環境の制約から増床が難しいため、路面店の企画開発・運営をトータルに推進する「部」を設け、商店街の空店舗を、借上げや買取りにより、「館外の店舗」にしてました。そうした路面店は大丸の店舗として、従業員教育レベルも高く、商店街にとってもブランドイメ-ジが向上するため積極的に協力。こうした「エリア向上のための共同意識」が路面店の実現を可能にしてきました。

百貨店と商店街が共同で、アジア観光客を誘致!

さらに心斎橋筋では、百貨店・商店街共同で海外からの観光客誘致に取り組んでいます。特に中国人観光客は過去5年間で4.5倍となっており、日本滞在中の消費額の平均は13万円にもなります。彼らを心斎橋筋に取り込もうという発想から、「大阪ミナミおいでやすプロジェクト」を立ちあげ「多文化おもてなしのまち 大阪ミナミ」を目指しました。

商店街に軒を並べる周辺店舗

実施体制は心斎橋筋商店街振興組合、大丸百貨店のほか、旅行会社、カード会社などが連携・協力し、中国現地の旅行社、カード会社等を訪問しての、プロモーションも2年目になりました。また、受け入れ体制整備としては、中国の方々が飲食や買物を楽しめるように、モデル店舗作りや販売促進ツールの作成、人材育成などを行っています。

モデル店舗ショウウィンドウ

商店街のモデル店舗は、中国人客が多数訪れているか、デビット機能により外貨制限枠を超えて買物が出来る中国の「銀聯カード」が利用可能か、中国語が話せる店員がいるか、免税店であるか等迎え入れる店舗のインフラ状況を見ながら33のおもてなしモデル店舗を選定しました。

人材育成では、商店街の店員、旅行会社添乗員を対象に講習会を開催、中国語ガイドブック(おいでやすマップ)の作成。
心斎橋筋商店街ホームページでは中国語版を作り、店頭では中国語のPOP表示も進めています。

百貨店にも、商店街にも、まちにもメリット

こうした百貨店と商店街の連携は、

百貨店は、大規模な増改築を伴わず、増床や面的展開が実現できる。
商店街側は、空き店舗が即、埋まり、粗悪店の出店を防ぎ、ブランド力が向上する。
百貨店、商店街ともにエリアマネジメント効果の向上により、来街者が増加、回遊性の高まり、賑わい向上に繋がっている。
等、それぞれに大きなメリットがあります。
江戸の昔からにぎわいの続く心斎橋筋。中国やアジアからのお客様も加わり、いよいよ、にぎやかです。