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地域資源の活用と学生との連携で「タイガ-スのまち」を活性化
~(株)ティー・エム・オー尼崎~

場所:
兵庫県尼崎市
分類:
【地域資源・地域特性】【情報発信】【研究会・勉強会】
人口:
45万人
協議会:
あり
実施主体:
(株)ティー・エム・オー尼崎
URL:

http://www.genki.or.jp/ 別ウィンドウで開きます


尼崎というと、「阪神タイガースのお膝元」と思われがちですが、ホームグランドの甲子園球場は、実は西宮市にあります。
尼崎=タイガースの街というイメージ定着に貢献し、にぎわいを創出しているのが地元のまちづくり会社、(株)ティー・エム・オー尼崎です。

尼崎市

(株)ティー・エム・オー尼崎の誕生

阪神間随一の商業集積といわれる尼崎市の中心市街地。その中の「中央・三和・出屋敷商店街」では、それぞれ地元商業者主体で活動が行われていました。

しかしバラバラではスケール効果が出ません。これらを統合し「まちをひとつに」をスローガンに、尼崎市、尼崎商工会議所の出資を得て「地元自ら動く企業体」として平成14年6月(株)ティー・エム・オー尼崎は設立されました。

メイドインアマガサキ事業 ~地域資源の発掘と情報発信

尼崎市内は「工場の街」=「公害の街」のイメージが強い反面、多くの住民は工場でどんなモノを作っているか意外に知りませんでした。そこで(株)ティー・エム・オー尼崎は、地元のマイナスイメージを払拭し再認識を図るため、平成15年8月「メイドインアマガサキ事業」を開始しました。

メイドインアマガサキ

尼崎の特産品発掘と情報発信を通じ、地域ブランド化、オンリーワン商品の競争力強化を目的に、尼崎にしかないもの、尼崎にこだわった製品・商品を募り、紹介するコンペ事業です。

平成20年度はあたらしもん部門(工業製品)と最強のアテ部門(食料品)の2部門で募集。毎年部門ごとにグランプリ(計2点)を決定するほか、平成18年までの3年間で99点が「メイドインアマガサキ」に認証され、それらをまとめた書籍「メイドイン尼崎本」も出版。商品誕生秘話が綴られ、楽しい物語に仕上がっています。

19年度も33点を新たに認証。今年度は12月1日にエントリーを締め切り、審査を行います。「メイドイン尼崎本」も今年度中に第2版を刊行予定です。

これらの商品を販売するため、三和本通商店街の空き店舗を活用し、平成17年8月「メイドインアマガサキショップ」もオープンさせました。ネットショップでも楽天市場に「アマガサキタウン」の運営を開始しています。     

最近は認証商品同士のコラボレーションで、異なるメーカー3社の醤油・ソース・ポンズのセット、洋菓子メーカーと豆腐店とのコラボ「とうふケーキ」などさまざまな商品が開発され、売上拡大を図っています。

メイドインアマガサキ 本&ショップ

駐輪機の設置 ~迷惑駐輪の防止で安全で歩きやすい街並みへ

尼崎の商店街は自転車利用客が多く、迷惑駐輪が多発。二重駐輪も見受けられ、地域住民からの苦情が頻発していました。

駅前や高架下に駐輪場はあるものの利用率は極めて低く、行政も対応に苦慮していました。そこへ商店街と共同で「迷惑駐輪の防止」を研究してきた甲子園大学が、駐輪場の新設や開放、地元協議会の設置などを提言。これがきっかけとなり、住民、行政、警察が1つとなって、迷惑駐輪の防止に向けた検討が始まりました。

駐輪機の設置前後

平成18年の道路法施行令改正で、道路管理者以外でも新たに駐輪場を設置できるようになったことから、ティー・エム・オー尼崎は、中央商店街北側に計324台の駐輪機(電磁ロック式)を設置。迷惑駐輪は激減しました。

稼働率は平均80~95%程度。90分まで無料、その後8時間まで150円、それ以降8時間ごとに150円となっており、月間売上は150万円あります。

設置当初は商業者の反対もあったそうですが、迷惑駐輪が減り来街者の評判も上々で、反応も良くなってきたとのこと。中央大通りに新たに154台分の駐輪機を増設しました。

大学との共同研究 ~学生とともに行うまちづくり~

平成16年より市の支援事業を活用し、4大学とティー・エム・オー尼崎、地元商業者、地域住民が一緒にまちづくりを考える取組みがスタートしました。

当初は手探り状態でしたが、それぞれの大学が独自の研究テーマで各商店街を担当し、一緒に取り組むうちに少しずつ共通認識が形成されていきました。
平成17年からは5大学に増え、平成18年までの3カ年間にわたり研究活動を行ないました。それぞれの大学(ゼミ)と主な研究テーマは次の通りです。

関西大学 商学部(三谷ゼミ)

新三和商店街担当、「地域資源を生かした商店街」をテーマに「タイガース地元商店街の演出」「お年寄りが集まる街」を目指し活動。

関西学院大学 総合政策学部(片寄ゼミ)

三和市場担当、「市場が持つ機能を生かした市場活性化策」をテーマに、お客様がどんぶりを持って市場内を回り、おかずを乗せてもらうというユニークな発想のイベント「どんぶり市場」の実施や、各店のコラボによる「おせちチラシ」の作成等を実施。

どんぶり市場

甲南大学 経営学部(西村ゼミ)

商店街周辺地域を担当、「オリジナルタイガースグッズの開発」をテーマに「アマレンジャー」のコスチュームを企画・開発。その後、多くのイベントで活躍。

アマレンジャー

流通科学大学 商学部 向山ゼミ

三和本通商店街を担当、「地域密着の強みを生かす仕組みづくり」や一店逸品運動をテーマに取り組む。

甲子園大学 現代経営学部 滋野ゼミ(平成17年より参加)

中央商店街を担当、「まちの安全・安心」をテーマに迷惑駐輪の防止等を提案。(※前述の駐輪機設置のきっかけとなる。)

平成19~20年の2ヵ年で第2次の共同研究が進められ、商店街と寺町との連携、中心市街地全体をテーマにした自主映画の製作などが進められています。

阪神タイガース関連イベント ~タイガースの地元商店街としてのイメージ定着化

春3月。アーケード天井に「マジックナンバー144」を点灯させタイガースを応援する尼崎の商店街風景は、プロ野球開幕時のお約束ニュ-スとして尼崎の名前を全国に発信しています。

数多いタイガースがらみのイベントのうち最大のものは、平成15年から行われている「場外ライトスタンドin阪神尼崎」です。阪神尼崎駅のペデストリアンデッキが甲子園球場のスタンド席に似ていることから、「場外のライトスタンド」に見立て、28年ぶりの優勝がかかった数試合を5千人で応援する「パブリックビュー」を実施しました。

平成15年の「場外ライトスタンドin阪神尼崎」

平成18年の優勝時にも5千人の集客がありました。今年もティー・エム・オー尼崎や地元商店街で開催準備をしていましたが、タイガースのV逸で残念ながら中止になりました。

しかしそれでめげる尼崎ではありません。「地元自ら動く企業体」ティー・エム・オー尼崎と、尼崎の中心市街地は元気の中心となり、来年の秋は、「場外ライトスタンド」が鈴なりになっていることでしょう。