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中心市街地活性化協議会支援センター

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まちづくり事例さまざまな市街地活性化課題解決のヒント
まちづくり事例

ドアtoドア 乗り合い・ふれあい e-まちタクシー

場所:
福島県南相馬市小高区
分類:
【公共交通】
人口:
7万人
協議会:
あり
実施主体:
おだかe-まちタクシ-
URL:
おだかe-まちタクシ-
 

http://www.uyou.gr.jp/odaka-shokokai/taxi/taxi.html 別ウィンドウで開きます

 
全国デマンド交通導入機関連絡協議会
 

http://www.demand-kyougikai.jp/ 別ウィンドウで開きます


信州新町商店街のたたずまい

 中心市街地の活性化には、周辺地域から市街地に人を移動させる、交通手段の利便性の確保についての検討も欠かせません。100円バス、無料パ-キング、LRT等いろいろな試みがなされていますが、最近注目されているのが「デマンド型乗合タクシ-」

 バス並みの低料金で、複数の者同士でタクシ-に乗り合わせるもの。それを日本で最初に実現した、福島県南相馬市小高区を訪問しました。

 昨年1月合併し南相馬市となった小高区ですが、「小高町」だった平成11年当時、江井町長(現小高区長)の元に、「福祉バスを走らせて欲しい」という千名以上の署名が提出されました。しかし試算してみると、年間2~3千万円の経費が必要とわかりました。

 ちょうどその時、福島県の商工会連合会では高齢者の外出機会を増やし、商店街を振興しようという検討を進めていました。そこで小高町商工会がモデル事業の実施者として指定を受けることとし、ニ-ズ調査や新しい交通システムの検討を進めました。

 ビジネスモデルは福島大学の奥山教授が考案。ITシステムはNTT東日本、法律・規制等の面は行政書士の方から支援を受け、町内タクシ-会社2社の協力を受けて平成13年に事業化したのが「おだかe-まちタクシ-」。

 基本的な仕組みは、以下の通りです。

 希望者は事前に、住所と電話番号を登録。(→システムのデ-タベ-スへ)
 時刻表を見て、原則利用の30分前までに電話で予約。
 電話番号から、希望者の家の位置がシステムの画面に自動表示される。
 オペレ-タ-が、最寄りを走るタクシ-(GPSで位置表示される)を画面で確認し、メ-ルで配車を指示。
 ドライバ-は表示画面に従い、希望者の家の玄関までお迎え
 定められたル-トと時刻表に沿い、希望者を乗せながら運行し定められた場所(病院、ス-パ-前等)で停車。
 運営主体は小高町商工会。タクシ-は9人乗りジャンボ車4台を、地元タクシ-会社2社から借り上げて運行。オペレ-タ-は3名交代で、朝7時から15時半の最終便まで受け持ちます。
 土日祝祭日はお休み。料金は中心市街地内は100円。東部・西部の郊外エリアはそれぞれ300円で、事前に購入する利用券で支払います。

 気になるコストですが、行政の補助は1千万円程度。バスを前提とした当初試算の、何と半分以下の金額で低料金、ドアtoドア、電話で呼べるデマンド交通システムが完成しました。
 今年で7年目ですが、町にすっかり定着し、1日平均約120人、年間3万人以上が利用しています。

セレモニーふるさと

 e-まちタクシ-実現の中心人物である小高町商工会、鈴木副会長は「お年寄りが外に出かけるようになって、表情も活き活きしてきた。タクシ-内や停留所前では世間話に花が咲いている」と喜んでいます。
 停留所前のお店は、イスを用意して待合室をつくったり、お年寄りに代わってタクシ-を呼んでくれるサ-ビスもしているとか。

 その甲斐あってか、e-まちタクシ-の運行デ-タによると、商店街で降りる人より乗る人の方が3倍多いそうです。つまり病院など他の用事で来たのに、帰りは商店街に寄るという回遊が生まれているという事です。

 小高での成功をモデルとしたこの仕組みは「デマンド型乗合タクシ-」と呼ばれ、今や全国30か所以上に拡がっています。
 e-まちタクシ-のもう一人の功労者、小高区長の江井氏(前出)は、「初めての試みだったので法律の規制等色々苦労したが、住民の役に立つとわかると法律の方が変わった。法律はただ守るのが目的でなく、人のために変えていくものなのだと感じた。」と語っておられました。